フジフィルム ファインピクス40iについて


Finepix40i

☆ジャンク度☆
無し
撮影可能


Finepix40i
 丸と四角を合わせた愛嬌のあるボディ。


Finepix40i
 ライカ判換算で36mmF2.8の単焦点レンズを搭載。


Finepix40i
 ハニカムCCDのロゴ。


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 電源スイッチとフラッシュモード切替ボタンはボディ上部に位置する。
 電源スイッチはオーディオモード切り替えスイッチを兼ねる。


Finepix40i
 ダイヤルスイッチによるスチル撮影モード、再生モード、動画モードの切り替え。


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 変形十字キーも扱いやすい。ベーシックカメラとして機能は抑え目なのでボタンは少ない。


Finepix40i
 スリットがグリップを形成して効果がある。




Finepix40i
 電源は単三型電池2本を使用、記録媒体はスマートメディア。






 初期のデジカメにはスチルカメラとしての機能の他にデジタル機器として特徴のある付加機能を付けた物があった。例えばリコーのDC−2Lには文字撮影機能や音声記録機能が有ったし、ニコンのクールピクス300は画像にペンでメモが書き込めた。それらは価格が高価だったり使い勝手がイマイチだったりしてデジカメはカメラとしての機能を充実させる路線に向かうことになる。それは常識的で正しい選択だったと思われるのだが、折角のデジタル機器としての特性を捨て去るのも惜しい。そうフジが考えたのかは不明だが、本カメラはMP3プレイヤーの機能を搭載している。過去にはラジオと110判ポケットカメラを合体させたコーワのラメラなどがあったが、あれは機構が連動しているわけではなく、独立したカメラとラジオを無理やりくっつけた物だ。本カメラの場合は書き込み可能な記録媒体に画像や音楽データを保存し、再生できるという点で機能が一致しているのである。
 もっとも、拙僧は音楽プレイヤーを携帯する慣習が無いのでMP3プレイヤーとしての実績が無いため、その評価は出来ない。付属する専用ソフトで音楽データを転送し、専用リモコンで操作を行うと音楽が聴けるそうだ。スクエアボディはファインピクス1500を継承した物とも思えるが、携帯MDプレイヤーを髣髴とさせる物もある。64MBのスマートメディアで60分の音楽が聴けたらしい。他にもコニカなどからMP3プレイヤーの機能を搭載したデジカメは発売されたが、受光素子は35万画素級のおもちゃデジカメのようなクラスであまり市場には認知されなかったようだ。そういう機能は端末が一層小さくなるか、もっと身近に隣接する携帯電話にとって代わることになる。このMP3プレイヤーの機能を搭載したシリーズはファインピクス30i・40i・50iと3モデル発売されたが、本カメラからMP3プレイヤーとしての機能を省略したファインピクス4500も発売されている。これなどは500系ファインピクスの正当な後継者であろう。
 そういう訳で、本コンテンツでは本カメラのMP3プレイヤーとしての一面は大きく扱わず、カメラの機能を報告させていただくことにする。本カメラの特筆すべきはファインピクス4700Zに次ぐスーパーCCDハニカムを搭載している点である。これはフジ独自の受光素子を蜂の巣上に配列させた物で実際には240万画素なのだが出力解像度が432万画素相当になると言うものだ。勿論、本物の400万画素級デジカメよりは画質は落ちる物の確かに並の200万画素級デジカメの画像よりは解像度の高い画質が得られると言うもので、それはそれで価値のある物である。しかし、本当は240万画素なのに本物の432万画素デジカメとしてファインピクス4700Zを発売してしまったために評判を落としてしまった。当初は丁寧に「4.3M」のステッカーまで貼られていたのである。実際には200万画素級デジカメのファインピクス4700Zは当初200万画素級デジカメとしてはかなり高価だったそうだから、カラクリを知らなかった方からすれば詐欺に思ってしまっても仕方が無いだろう。スーパーCCDハニカムそのものはよく出来ているのに残念な評価がついてしまった。本カメラはその受光素子を使用した高解像が期待できるコンパクトデジカメだ。
 レンズはライカ判換算で36mmF2.8の単焦点でスーパーフジノンの名を冠している。丁度、ファインピクス4700Zの広角側と一致するが、レンズその物は非常に小さくちょっと不安になる。しかし、この小さなレンズにフジの技術が凝縮されているのだ。最短撮影距離は6cmと中々健闘しているだろう。感度はISO200で固定だがレンズが明るいのである程度暗い室内でも撮影は可能だ。絞りはF2.8とF9.8の自動切換えである。シャッタースピードは1/4〜1/1000なので快晴時にオーバーにならないか少し心配だ。
 ボディは正方形に近く、中央に丸いモールドが施されていてやはり携帯MDプレイヤーを意識しているのだろう。外装は金属製でアルミとマグネシウム合金だという。この正方形のボディに丸いイメージの組み合わせは後のファインピクス30iファインピクス50iに踏襲されていくが、その丸いイメージの役割が全く異なるのには注目するべき物がある。本カメラの場合は丸いイメージは単にモールドとして盛り上がっているだけだが、ファインピクス30iでは丸そのものがレンズカバーになっている。本カメラの場合は丸いモールドの中に更に丸が切り込まれていて、そこにレンズが埋め込まれている。レンズカバーは薄いアルミ板一枚で電源ONと共に自動的に待避するタイプで、この頃のファインピクスシリーズに非常に広く採用されたタイプだ。このタイプは非常に壊れやすいことで知られている。
 電源は単三型電池2本でファインピクス4700Zを踏襲している。これは汎用性が有って扱いやすい。本カメラは光学ズームを動かすギミックも無いし、撮影情報を表示するモノクロ液晶パネルも無いから消費電力も少ないと思われるのだがどうだろう?何れにしろ、エネループを使用している限りはあまり気にならない。
                    ☆            ☆
 実際に使ってみよう。電源ONはボディ上面のスライドスイッチを「POWER→」の方向にスライドさせればレンズカバーが待避し、約1秒で撮影可能状態に移行する。但し、環境光が暗いとフラッシュのチャージに時間が掛かる。反対側の「AUDIO」の方向にスライドさせればリモコンで音楽が聴ける筈だが拙僧はやったことが無い。レンズの繰り出し量は僅かでこの状態ならボディケースからはみ出さない。ボディ上部には他にレリーズボタンと独立したフラッシュモード切替ボタンがある。これは非常にありがたい仕様で、後裔のファインピクス50iはフラッシュモードの切り替えにイチイチ階層化されたメニューを操作する必要がある。
 スチル画像撮影モード、再生モード、動画撮影モードへの切り替えはボディ背面のダイヤルで行う。このダイヤルは信頼性も高く扱いやすい。ファインピクス50iではスライド式レバーに変更になったが、明らかにコストダウンで壊れ易く節度が無い。液晶ビュワーの上に位置する三つのボタンは小さいが間隔が広く押し易い。これもファインピクス50iでは狭苦しい配置となってしまった。左右ボタン+ロータリーレバーの変形十字キーは階層メニューの選択のほか、ロータリーレバーはデジタルズームにも使用する。本カメラは前述の通り出力画素数が432万画素と情報量が多いため、130万画素モードでは3.75倍のデジタルズームが可能だ。これは大きな画面をトリミングするに過ぎないが、その豊富な情報量から画像劣化を少なく見積もることができる。スマートメディアの限られた撮影枚数を生かしたい場合もあるだろうから有効な方法だろう。逆に、本カメラには432万画素モードと130万画素モードと35万画素モードはあるのに240万画素モードが無い。これは本もとの受光素子が240万画素なので何かはぐらかされている気になってしまうのだが、どうだろう?
 液晶ビュワーは小さいが見やすく気にならない。光学ファインダーもあるが、パララクスが結構あるので出番は少ないだろう。「表示」ボタンを押すと3分割された格子を表示し、フレーミングのアシストとして使うことができる。勿論、液晶ビュワーの非表示も可能だ。フジのデジカメには伝統的にオート撮影モードとマニアル撮影モードがあり、オート撮影モードでは「メニュー」ボタンを押下すると「マクロモード」「セルフタイマー」「設定(MODE)」の設定カーソルを表示する。マニアル撮影モードへは「設定(MODE)」の階層メニューから設定を切り替える。マニアル撮影モードといっても本カメラは基本的にはオートカメラなので露出の設定などは出来ない。マニアル撮影モードでは常に液晶ビュワーに「マクロモード」「セルフタイマー」「露出補正」「ホワイトバランス」「設定(MODE)」を表示し、各諸情報が設定可能である。
 レリーズボタン半押しでフォーカスをロックし、液晶ビュワーには露出情報を表示する。感度はISO200で固定なので露出計代わりにもならなくは無い。レリーズボタンの全押しで画像は速やかに記録される。殆どタイムラグは無く、プレビューも一瞬なので実際に撮影した画像を確認するためには再生モードへ移行する必要があるだろう。
                    ☆            ☆
 本カメラの登場した2000年は正に世紀末であった。初代IXYデジタルが登場した年で、キヤノンが本格的にデジカメに参戦を表明した年でもある。それまで、デジカメは一部のおもちゃデジカメを除いて薄らでかいソープケースというのが定番であったが、それを覆したのが初代IXYデジタルの登場だったのである。そのすぐ後に登場したのが本カメラだ。単焦点レンズの本カメラに対し、初代IXYデジタルは3倍ズームレンズを搭載した万能カメラだったが汎用性の高い単三型電池2本で動作する本カメラの取り回しの良さは充分な魅力があった。勿論、フジの肝いりのハニカムCCDとスーパーフジノンレンズにより生み出される画質には期待は充分であったし、実際それに見合った物だろう。
 今となってはスマートメディアが多少なりとも足かせにはなるが、PC環境などが揃っていればモノクロフィルムを詰めた中判フィルムカメラのサブ等として、充分実用となる懐刀に値するだろう。

 では、撮影結果を見て頂きたい。

(了:2009/10/20)

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