フジフィルム ファインピクス30iについて


Finepix30i

☆ジャンク度☆
電池蓋破損
撮影可能


Finepix30i
 スクエアボディに大胆にサークルイメージを組み合わせたボディ。


Finepix30i
 ライカ判換算で38mmF4.8の単焦点レンズを搭載。


Finepix30i Finepix30i
 モデルネームと「FinePix」のロゴ。


Finepix30i Finepix30i
 電源スイッチとフラッシュモード切替ボタンはボディ上部に位置する。
 諸設定は変形十字キーと3つのボタンで行う。


Finepix30i
 マクロモード切り替えスイッチ。


Finepix30i
 USBジャックの他にオーディオリモコンジャックを持つ。


Finepix30i Finepix30i
 液晶ビュワーは小さいが見やすい。




Finepix30i
 伝統的にファインピクスシリーズはオート撮影モードとマニアル撮影モードを持つ。




Finepix30i Finepix30i
 電源は単三型電池2本を使用、記録媒体はスマートメディア。






 旧世紀末。突然フジから発売されたのがファインピクス40iを筆頭に発売されたMP3プレイヤーの機能を搭載した200万画素級デジカメだ。当時、フジのデジカメの採番は4桁目が画素数、3桁目がボディ形式を表していた。ここでファインピクス4500は240万画素だしファインピクス6800Zは330万画素じゃないかと思った貴公は正しい。フジは独自のスーパーCCDハニカムという受光素子を蜂の巣状に配置し、約2倍の出力画素情報を得られる受光素子ユニットを搭載していた。なので240万画素級は出力画素数は432万画素の画像データを出力したのである。これは理屈なのだけれども、そういう風になっていたのだ。兎に角、その採番ルールと一線を画していたのがMP3プレイヤー機能搭載モデルなのだ。「i」の意味は全く分からない。その後、新世紀になってファインピクスF401のように先頭のアルファベット1文字がボディ形式、それに続く一見意味がありそうで明快でない番号とルールが変わっている。MP3プレイヤー機能搭載モデルはファインピクス40i・50i・30iの順で発売されたが、本カメラ「ファインピクス30i」が発売された頃には採番ルールは後者になっていた。
 さて、MP3プレイヤー機能搭載モデルは前述の通りファインピクス40i・50i・30iの順で発売された。ファインピクス40iファインピクス4700Zの受光素子を搭載し、レンズはライカ判換算で36mmF2.8の単焦点で電源は単三型電池2本を採用していた。受光素子は本物の400万画素級受光素子の作り出す画質には及ばない物の、並の200万画素級デジカメものに比べれば確かによいもので、汎用性の高い電源と相まって完成度の高いカメラに仕上がっている。それに比べるとファインピクス50iは拙僧に言わせると改悪だった。廉価版の単三型電池使用モデルに対し、専用電池を使用する高位モデルの登場、或いはその逆と言うのはよくあるパターンなのだが、専用電池のパワーはある意味存在意義を感じる物であったが、ボタンの配置などはせせこましくなりスライドスイッチなどは強度に問題があるものだった。クレードルが使用できるようになっていたが、こんなことは評価に値しない。最後に登場した本カメラはMP3プレイヤー機能搭載モデルとしては最も廉価なモデルだ。
 まず、受光素子は1/1.7型の大型スーパーCCDハニカム240万画素から1/2.7型の並の従来型200万画素にグレードダウンとなり、レンズはライカ判換算で38mmF4.8とぐっと暗くなってしまった。これには理由も有って、AFユニットが廃止されマクロポジション付き固定焦点(パンフォーカス)になった。絞りはこれにF11が加わる。比較的暗い室内撮影した画像と明るい屋外の画質が謙虚に異なることから、絞りはNDフィルターではなくおそらく穴の開いた板がレンズを覆うのだろう。撮影範囲はノーマルで60cm〜∞。最短撮影距離はマクロモードで8cmだ。勿論、クレードルは無い。電源は単三型電池2本で、これはこのクラスのカメラとしては妥当的である。
 数字だけを見ると大幅なスペックダウンだが、実際の運用からするとそれ程悲観的な物ではない。固定焦点は拒絶感を感じる方もいらっしゃるだろうが、そもそも猫の額ほどの受光素子に5.8mmのレンズを組み合わせた物だからそこそこにピントは有ってしまうのだ。従来型受光素子はスーパーCCDハニカムの独特のふくよかなダイナミクスレンジと柔らかで繊細な発色に比べると薄っぺらい感は拭えないが、フジらしい発色はそれなりに健在である。レンズもスーパーEBCフジノンからノーネームフジノンになってしまったがそれなりに逆光には強い。
 拙僧が一番本カメラで評価できるのはそのデザインである。上位機種に対して廉価機種ほどデザインが飛んでいる傾向にあるのはカメラ以外でも自動車など工業製品ではよくある。カメラならニコンF401などエキサイティングなボディだし、ポンティアックや現代(ヒュンダイ)なども安いモデルほどデザインはエキセントリックになっている。本カメラのデザインも相当大胆だ。スクエアなボディに丸のイメージの組み合わせはMP3プレイヤー機能搭載モデルに共通したコンセプトだが、本カメラは中央に大ききな丸のモールドを施し、その中に中心点をずらした丸いレンズカバーが乗っかっている。このレンズカバーはスライドし、スライドさせるとレンズが露になると共にレンズカバーのあった位置がミラーコーティングされているのだ。これはひょっとすると自分撮り用ミラーなのかとも思ったが、固定焦点最短撮影距離60cmでは自分撮りは厳しいか。パワースイッチは楕円形となり、ロータリーレバー+左右ボタンの変形十字キーも楕円形を描いておりスタイリッシュになっている。銀のペイントも微笑ましいものである。ファインダー周辺も楕円のモールドが施されており、本カメラはスクエア+円/楕円のイメージで統一されている。なかなかユニークではないか。
                    ☆            ☆
 実際に使ってみると固定焦点と言うのはAFユニットのタイムラグも無く、これはこれで快適である。スナップ撮影には概ね問題は無い。240万画素のスーパーCCDハニカムで撮影した画像と従来型200万画素受光素子で撮影した画像では確かに差はある。特にラチュードが本カメラの方が狭く、背景が白く飛んでしまう場合がある。また、画像に斜めに横切る電線等はジャギーが目立つ。ただ、並の200万画素級デジカメと比べて劣る物ではないと思う。人工物の色は派手に再現する。空の色や花など自然色は作り物っぽく感じてしまうが、これも味だろう。問題はマクロ撮影時にフォーカスが液晶ビュワーで確認できない点だ。これに慣れるのは相当の訓練が必要だろう。不思議と室内のフラッシュ使用マクロ撮影では満足な結果が出た。絞りがF11になって被写界深度が広くなるのだろうか?室内撮影ではレンズが暗く、感度がISO100固定なのでフラッシュが必須である。フラッシュの有効範囲は0.6〜3mだ。
 レンズもスーパーEBCフジノンからノーネームのフジノンになってしまったが逆光には強い。但し、ラチュードが狭いので背景が白く飛んでしまう場合がある。
 あまり使うことは無いかもしれないが、光学ファインダーはレンズの上部に位置し、パララクスの影響を軽減させる工夫がなされている。これは進化だ。
                    ☆            ☆
 拙僧が手に入れた固体は電池蓋が壊れていた。この種のカメラはプラスチックで形成された電池蓋を引っ掛けるモールドが欠けてしまう事が非常に多い。これはファインピクスに限ったことではないが、昔のフィルムカメラの方がもう少し丈夫なプラスチックで出来ていた気がするのだが気のせいだろうか?
 尚、本カメラの大きな特徴であるMP3プレイヤーとしての機能については殆ど触れなかったが、それは拙僧が音楽プレイヤーを携帯する習慣が無いためだ。現在なら音楽を携帯したかったら携帯電話を使用した方が運用上楽だろう。
 かなり大胆にコストダウンされたカメラだが基本性能はおもちゃデジカメ等とは一線を画している。スペック的にはファインピクスA201に似ているが、固定焦点でさくさく撮影する楽しさもあるのだ。軽いのりのカメラとして楽しんで欲しい。

 では、撮影結果を見て頂きたい。

(了:2009/10/21)

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