フジフィルム ファインピクス50iについて


Finepix50i

☆ジャンク度☆
十字キー右側不良
撮影可能


Finepix50i Finepix50i
 丸と四角を合わせた愛嬌のあるボディ。
 ライカ判換算で36mmF2.8の単焦点レンズを搭載。


Finepix50i
 ファインピクス50iと「スーパーCCDハニカム」のロゴが眩しい。


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 ボディ上部はシンプル。
 オーディオ切り替えスイッチは電源スイッチを兼ねる。


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 液晶ビュワーは小さいが晴天下でも見やすい。
 ボタンはせせこましく液晶ビュワーの右にまとめられ、操作はし難い。


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 スライドスイッチによるスチル撮影モード、再生モード、動画モードの切り替え。
 ロータリー式上下レバー+左右ボタンの変形十字キーでズーミング、諸設定を行う。


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 光学ファインダーは欠かせない。


Finepix50i
 電源は専用充電池を使用、記録媒体はスマートメディア。






 「出る出る出島」の例に洩れず(?)、名は体をあらわす例はカメラにも現れているようだ。ニコンのクールピクスなら紫系色に強そうだし、ヒデのパワーショットならパワーマスを感じる。いやいや、ヒデはIXYデジタルであったか。それは兎も角として、ブランドやメーカー色と言うのは製品に反映される物である。ファインピクスなら誇張気味だが美しい肌色や空色の発色や豊かなラチュードを挙げることができるだろう。しかし、ファインピクスにはもう一つの特徴は壊れやすいことだ。これは売れたと言う裏返しもあるのだろうけど、特にF401A310、F700/710は何かしら壊れている場合が多い。拙僧のではF401はCCDが砂の嵐になる物が多く、A310は露出制御やAFユニットの不良が多い、F700/710はやはりCCDの不良が多いな。圧倒的に見られるのがレンズカバーの不良である。これはアルミ板1枚のファインピクスには例外なく見られる傾向である。構造的欠陥とも思えるのだが、長いことフジはこの構造を踏襲し続けた。本カメラはレンズカバーがフジの言うところの「ムーンフェイスレンズバリアー」という大きな部品になっており、レンズカバーの不良は少ないようである。それでも、都合3台ほどの本カメラが拙僧の手元を通り過ぎて行ったが、やはり何かしら壊れているようだ。ファインピクスシリーズには「華奢」という特性があるといえる。
 本カメラは旧世紀末に登場したMP3プレイヤー機能搭載型デジカメのファインピクス40iの上位機種という位置付けだ。電源がファインピクスF401に使われるような専用電池「NP−60」になり、ボイスメモなど複数の付加機能が搭載された。しかし、拙僧から言わせれば改悪となった傾向がある。まずは仕様面から本カメラを紹介しよう。
                    ☆            ☆
 受光素子は240万画素のスーパーCCDハニカムで400万画素級の出力画素を得られる。レンズはライカ判換算で36mmF2.8相当で双方ともファインピクス40iを踏襲した物だろう。絞りはF2.8とF9.8の二段階。シャッタースピードは最高で1/1000とフジの公式コンテンツにはあるが1/1600まで可能と言う情報もある。最短撮影距離はノーマルモードで50cm、マクロモードで6cmだからかなり寄れる。
 電源が単三型電池2本から薄い専用電池に変更になったのでボディは薄くなった。しかし、そのお陰で汎用性は劣っている。充電や画像転送はクレードルを介して行う。拙僧はジャンク籠からボディのみを拾い上げたので、充電はファインピクスF401なりの他のNP−60を使用するデジカメで行う必要がある。このNP−60は旧世紀末に登場した物で、大きさの割には放電が大きいのか持ちが悪い。性能劣化もあるのだろうが、もし、本カメラをメインに使用するなら前日に充電しておいた方がいいだろう。記録媒体はスマートメディアのままである。
 拙僧は持っていないので知らないが、MP3リモコンが大型になって液晶に曲名等が表示されるようになったらしい。他にはボイスメモ機能が追加され、1画像に30秒のボイスメモを記録できる。また、ボイスレコーディング機能も追加され最大9時間のボイスメモが記録できる。但し、この場合、128MBのスマートメディアとACアダプターの併用が必要だ。更に、音に反応して自動的にシャッターを切る「パーティーモード」を搭載している。コニカのKANPAIを思い浮かべるな。
 記録画像はスーパーCCDハニカムお得意の400万画素モードの他、200万画素モード、130万画素モード、35万画素モードの4種類が用意されている。ファインピクス40iでは400万画素モードの下はいきなり130万画素モードだったから、受光素子本来の200万画素モードが搭載された意義は大きい。
                    ☆            ☆
 さて、実際に撮影してみよう。まずは半円形のレンズカバーを手動で開いてボディ上部の電源スイッチをスライドさせる。レンズカバーはプッシュ・リターン式で節度はあるが、電源ONに2アクション必要なのは煩雑だと感じる。これは、自動で待避するレンズカバーの信頼性がイマイチで、いっそ手動にして欲しいと思ってしまうのとは矛盾するのだけれども。レンズが繰り出して撮影可能状態になるには周囲が暗くフラッシュチャージが必要な場合でも2秒弱で完了する。これはリチウムイオン電池のパワーの恩赦だろう。
 背面のモードスライドレバーでスチル撮影モード、再生モード、動画撮影モードを選択するが、このレバーは分解すると分かるが強度的に問題が有って信頼性は低い。また、ファインピクス40iでは独立していたフラッシュモード設定ボタンが省略され、フラッシュモードの設定は階層メニュー内にて行うようになってしまった。これらは、明らかにコストダウンを狙った物であり、退化だ。また、3つの主要ボタンもせせこましく右端に追いやられ操作性に劣る。
 本カメラは単焦点だが、130万画素モードでは1.875倍、35万画素級モードでは3.75倍のデジタルズームが可能である。これは画像をトリミングしているのに過ぎないが、コンテンツ作成用のメモ用と割り切れば400万画素や200万画素ものデータ量は必要ないであろうし、メモリーの節約にもなる。但し、ロータリー式のズームレバーは節度に欠ける。また、ロータリーレバーとその左右のボタンで十字キーを形成し、カメラの諸設定を行う際に使用するが、定価ベースで88000円のカメラとしてはチープだと言わざるを得ない。もっとも、ボイスメモなどの機能が無い前モデルのファインピクス40iも同じ価格だから、機能が増えて代わりにボディの作りが安普請になっているかもしれないな。
                    ☆            ☆
 本カメラはカタログスペックでは心地よいものである。実際にフジの肝いりのスーパーCCDハニカムの映し出す画像は美しく、それが正常に働いていれば文句は無いだろう。しかし、他のファインピクスシリーズと同様に本カメラは華奢で現在(2009年)では壊れている固体が多い。拙僧の個体も十字キーの右ボタンが不良で、押下するとメニュー表示時にカーソルが左に動いてしまうのだ。これはレンズカバーのような構造的な欠陥ではなく、不思議な壊れ方である。
 ファインピクス4700Zの登場時、水増し疑惑でミソが付いたスーパーCCDハニカムだが、その実力は兎も角ボディに恵まれなかった例も多い。もっとも、受光素子の不具合も決して少なくないから、やはり旧世紀から今世紀初頭にかけてのファインピクスシリーズは華奢というイメージは拭えない。フジは2007年から国内生産を打ち切り、中国での生産に全面的に切り替えたと言うが最近のカメラの信頼性はどうなのだろう?残念ながらジャンク籠にはファインピクスZ1より新しいカメラが転がっていないので不明である。

 では、撮影結果を見て頂きたい。

(了:2009/10/27)

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