エプソン L−300について


L-300

☆ジャンク度☆
レリーズボタン欠落(1台目)
画像記録不良(2台目)
ニコイチし撮影可能


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 レリーズボタンが欠落した1台目。ご覧の通りスイッチは残っているので撮影は出来る。
 当時、300万画素級デジカメが525円というのは破格の安さだった。

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 鏡筒のネームプレートが外れている2枚目。これだけなら問題ないのだが・・・。

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 2台目で撮影した画像。
 受光素子が不良なのか、このように2枚に1枚は画像に光が入る。
 フィルムカメラではないのに露光漏れではないと思うのだが。
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 2台を並べてみる。これをニコイチにすれば正常な個体が出来るはずだ。

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 さくさくっと3枚に下ろしてしまう。

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 このレリーズボタンが重要なのだ。

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 正常な個体が出来た。

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 電源をONするとボディ前面のLEDが青色に光る。
 レンズはライカ判換算で34〜102mmF2.8〜4.9を搭載。

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 ボディ背面には十字キー+8個のボタンを持つ。
 ボタンがやや多いがピッチが離れているため、操作はしやすい。
 操作系もこなれていて扱いやすい。

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 電源は単三型電池4本を使用。記録媒体はSDカード。

 エプソンはかつてデジカメメーカーの一つであったがCP−80Zの発売から1年半沈黙を守った。しかし、あのすっとこどっこいカメラのCP−80Zでは有終の美を飾れないと思ったのか完成度の高い300万画素級デジカメの本カメラが登場する。かつて、エプソンのカメラと言うのは特異なデザインでうすらでかく、カメラ好きの癒しに耐える物ではなかったが、今回ばかりは金属製ボディも中々スマートでクールなカメラとなった。もともと、エプソンのデジカメは絵作りの良さは知られていたから、これは鬼に金棒である。しかし、時は既に遅かったのだろうか、コンテンツで情報を集めようとしても中々ヒットしないのだ。あのCP−80Zですら充分な情報を得られたのに。どうも、ポータブルフォトビュワーやプリンターとセット販売された形跡があるので、毎度の事ながらデジカメ単体としてはエプソン自身も積極的に展開しなかったのかもしれないな。実際、本カメラの実勢価格とプリンタとのセット価格では3000円しか差が無かったと言う旨の情報もある。しかし、本カメラは良いカメラである。
                ☆           ☆
 あまり情報ソースの無いカメラだが、エプソンは面倒見の良いメーカーで、現在でも取扱説明書がダウンロード出来るので諸情報の入手や取り扱いは問題ない。受光素子は300万画素級。レンズはライカ判換算で34〜102mmF2.8〜F4.9と明るめな3倍光学ズームレンズを搭載する。絞りは広角側でF4.8、望遠側でF8.4と記載があり、NDフィルターによる切り替えかとも思ったが、取扱説明書には電磁駆動アイリス二段切り替えとあるので絞り羽で絞り込むのであろう。最短撮影距離は50cm〜∞、マクロモードで11cmまで寄れるがズームレンズは広角側に固定されてしまう。ブツ撮りには望遠側で通常撮影した方が効果が高いかもしれないな。シャッター速度は1/2〜1/2000秒。電源は単三型電池4本なので少々重くなってしまったが、充分な撮影枚数をこなすことが出来ると考えれば良い点だと思う。
 操作系は難解になりがちだった従来のエプソンのカメラに比べるとオーソドックスで扱いやすい。ボディ上部にはレリーズボタンの他に電源ボタンを中心に置いたモードダイヤルがあり、「動画撮影モード」「スチル撮影モード」「再生モード」「セットアップモード」を切り替える。ボディ背面には十字キー+8つのボタンが用意されており、やや多いがそれぞれが離れて配置されているので操作はしやすい。ボタンのタッチングには節度がありCP−80Zとは雲泥の差である。プリントボタンが独立しており、専用ソフトや対応プリンタを併用すると3回のボタンの押下でプリント撮影が出来るそうだ。これはプリンタとセット販売で購入された方には福音だろうが、ボディのみをジャンク籠で拾ってきた拙僧にはあまり縁が無い。ズームボタンは親指の位置にあり自然である。MENUボタンと十字キーで諸情報の設定を行う。液晶ビュワー下の2つのボタンは左がフラッシュモード、右がマクロモードの切り替えに割り当てられているが、これらは汎用性があり場合によっては機能がその上の液晶ビュワーに表示される。これは伝統的なエプソンのデジカメの操作系を踏襲した物である。
 スチル撮影モード時、露出補正や感度、ホワイトバランス等を液晶ビュワー上部に表示され、電池残量や撮影可能枚数は液晶ビュワー左側にスーパーインポーズされて表示される。撮影画像の大きさは星の数で表示される。設定はMENUボタンの押下と十字キーによって行い、星の数が1つだと35万画素モード、2つだと200万画素モード、3つだと300万画素モードになる。同様に圧縮率もノーマルとファインを選択できる。これも従来のエプソンのデジカメを踏襲したルールだ。
 シーンモードは「ノーマル」「風景」「ポートレイト」3種類から選択可能で、まあ、3種類もあれば充分であろう。感度はAUTOの他、ISO100、200、400モードを選択可能で、広角側の開放値がF2.8と明るいことから室内程度の暗さなら充分ノーフラッシュで撮影可能だろう。
 本カメラの最大の特徴は「PRINT Image Framer」という機能で、これは予め用意されたフレーム画像と撮影画像を合成する機能である。フレーム画像はCD−ROMやWebからも取得が可能でディズニーのキャラクターが用意されていたようだ。
                ☆           ☆
 実際に撮影してみよう。モードダイヤル中心部の電源ボタンで電源をONし、レンズが伸長し液晶ビュワーを表示し撮影可能状態になる。ボディは金属製で高級感があるがデザインがやや垢抜けない。もっとも、従来のエプソンのデジカメから比べれば充分にモダンだ。直線を基調とし、カメラを構えて右側が膨らんでグリップを形成している。然程、人間工学を熟視した設計ではないが梨地が適度に摩擦を指に与えホールディングは良好である。カメラのホールディングと言うのは適度な緊張感が有った方が安心感があるものである。電源をONするとボディ前面のLEDが青色に点灯し、アクセントとなる。
 レリーズボタンの半押しでフォーカスロックがかかる。フォーカシングは素早く満足のいくものだ。また、レリーズボタンは節度があり、半押しはしやすい。こんな当たり前の事を書かなくてはいけないのは、本カメラの前に発売されたCP−80Zがあまりに酷かったからだ。レリーズボタンの全押しで画像の記録が始まり、約3秒撮影画像をプレビュー表示する。この間、レリーズボタンを半押しすればプレビューをキャンセルして撮影可能状態になる。
                ☆           ☆
 本カメラを初めて手に入れたのは2006年だから今から3年以上前だ。当時、300万画素級デジカメとしては破格の525円でハードオフで拾った物で、その個体は正常に撮影できたがレリーズボタンが欠落していて基盤のスイッチが露になっていた。やっぱり、使いづらいので1年ほど寝かしていたのだけれども、今度はキタムラのジャンク籠で250円の物を拾うことになる。それはレンズの前板が欠落しているくらいで撮影可能かと思われたが、実際に撮影したら露光漏れのような光が画像の一部を覆ってしまった。この現象は2枚に1枚くらいの頻度で現れ、実用にはならなかったのだがレリーズボタンは欠落していない。なので、2台目のレリーズボタンを1台目に移植して完動品の個体を完成させたのである。
 エプソンのデジカメは、この後、本カメラの400万画素仕様のL−400が登場した後、ご存知のコシナと提携した距離計連動機のR−D1を出して以降、デジカメ市場からは撤退したようである。
 そもそも、プリンタやPC周辺機器の販売促進の一角として位置づけられたエプソンのデジカメは、かつてフィルムメーカーのカメラがよく写った様に良質な画像を撮影するデジカメとして市場の一角を形勢したのだが、エプソンのプリンターやスキャナが市場の形勢を確定化するにしたがって、ユーザーよりメーカー側の都合として影が薄くなってしまったように思えない。勿論、デザインがいまいちカメラ数寄者の琴線に触れなかったり、操作系が従来のカメラに慣れた方々に慣れない等のユーザーとの接点がギクシャクしてしまったこともあるだろうが。
 メーカーとしては販促としてのデジカメメーカーの役割は終わったのであろうが、エプソンと言うメーカーはカシオと同じくらい面倒見のいいメーカーなので残念ではある。

 では、撮影結果を見て頂きたい。

(了:2009/10/25)

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