フジフィルム ファインピクスZ100fdについて


FinepixZ100fd

アバンギャルドなカラーリングでガーリーなルックス。

☆ジャンク度☆
不具合なし
撮影可能


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 レンズバリアには「Z」の文字が光る。


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 屈曲光学系ズームレンズも光学5倍になった。


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 何時からか、ファインピクスシリーズの採番の後ろに「fd」が付くようになった。


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 大型で見やすい液晶ビュワー。
 オークション撮影モードを搭載。便利なものだ。


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 ボタン類のタッチングは良いのだが、ジョグダイヤルに集約したのはやり過ぎでは。


FinepixZ100fd
 ファインピクスシリーズの最も大きな弱点だった記録媒体がSDカードと併用になった。

 感材メーカーの一面を持つフジフィルムはコダックと並んでデジカメの黎明期からシェア獲得に力を入れていた。世紀末にはニコンFマウントを採用したファインピクスS1Proが登場し、そうかと思えば翌年の新世紀にも35万画素級のトイデジカメiX−30 を送り出す、水も漏らさず布陣である。ただ、命名規則は複雑になってしまい、2002年以降はアルファベット+3〜4桁の枝番を組み合わせるようになった。高級機は所有欲を満足する質感を維持し、ロワー機の質感はそれなりなのだが、描く画像は安定的で綺麗と評判であった。フジフィルムの廉価機は、フィルム時代など実はカメラが憎いのではと思えるに最低限の機能しか与えていないのにもかかわらず、0円プリントではそこそこ写る不思議な物体であった。しかし、デジ時代にはそこまで徹底した合理化は行っていないようである。フジフィルムのカメラの女子率は伝統的に高い方に思える。別にスタイリングがフェミニンな魅力に溢れているとかそういう事ではなく、「撮って押すだけで安い」点が響いたのであろう。女子が写真やカメラにお金をかけたくないかと言うとそうではなく、21世紀も10年も経って細々とインスタントフィルムが店頭に並んでいるのも、女子が「可愛いアタシ」を演出するアイテムにへの投資が支えているのだ。高価な36枚撮りナチュラをホルガ135なんかに詰めるのなら、せめてオリンパスμ2を500〜2000円くらいでお求めになってはと思うのだが、まあ、そういうのは権威のある写真評論家さんが家族ぐるみのコスプレ写真を嘆くようなニーズの無い行為なので黙ることにしている。
 本カメラは2008年に登場した。当時、フジフィルムはS、F、Z、J、Aの5つのシリーズを展開していた。ZシリーズはファインピクスZ1から始まった屈曲光学系のスリムボディのシリーズである。若干の例外はあるがスライド式のレンズバリア―と直線基調をポリシーとしている。レンズバリアのスライドは横だったり縦だったり斜めだったり、個性を出すのに苦労しているようだ。ファインピクスZ1ではフレーム枠とレンズバリアが面一で表面も摩擦が弱く、けっこう開け辛かったのだが、ファインピクスZ3では改善している。ファインピクスZ5fdからは採番に「fd」が付くようになったのだが、これの意味するところは分からない。現行品はファインピクスZ950EXRと「EXR」が付いているが、これはフジ独自の「EXR CMOS」を意味する。これが、どのような素晴らしい技術なのかは、拙僧が下手に説明するより、フジフィルムのコンテンツをご覧いただきたい。フジフィルムの確信的なアプローチが功を奏してもいるのだろうが、Zシリーズ購入者の4割が20〜30代の女子とのことである。サイバーショットTシリーズが男子趣向だったから、フジフィルムとしても別のセグメントに向けたのだろう。もっとも、本カメラはむしろ男子層の裾野を広げる意図があったようだ。拙僧などは見つけた時に、ギラギラしたピンクに狼狽えたのだが。
              ☆              ☆
 レンズはライカ判換算で36〜180mmF3.8〜4.8の光学5倍ズームレンズである。これに800万画素級の撮像素子を組み合わせる。最短撮影距離はマクロモードで広角側9cm、望遠側30cmと平凡である。実は、本カメラは見た目は従来のZシリーズを踏襲しているものの、かなり重要な点が変更になった。まずはファインピクスのアキレス健であった記録媒体のxDピクチャーカードがSDカードとの併用になった。また、撮像素子がフジフィルム肝いりのハニカムCCDではなく、従来型のCCDを採用する。その代りにセンサーシフト手振れ補正機構を搭載している。それは良いのだが、拙僧が改悪だと思うのはファインピクスシリーズが幅広く採用していた「F(フォトモード)」ボタンを省略した点だ。これは一種のショートカットキーでISOモードやクロームやらモノクロやらのカラーモードの変更を容易にするものである。その代りに十字キーを兼ねたジョグダイヤルを搭載し、液晶ビュワーに表示する仮想ダイヤルと併用するのだが、はっきり言って煩雑である。例えば、ISOモードを設定するにも、メニューボタンを押下し、ジョグダイヤルで設定メニューを選択し、更にジョグダイヤルでISO感度メニューを選択し、更にジョグダイヤルで任意の感度を設定する必要があるのだ。これではファインピクスシリーズの伝統的な利点である高感度が扱い辛い。このインターフェイスのデザインをした方は実際に従来のファインピクスを満足に使っていないのではないか。
 ソフトウェアで感心したのはオークションモードである。これはネットオークションの出品画像を撮りやすいように、数回に分けて撮影した画像をオーバービューの画像と3分割したクローズアップやサイドビューの画像を組み合わせ、一枚の画像として記録するのだ。実はこの機能に注目して本カメラは処分対象から外そうと思ったのだが、何分、魅力があるのは兌換性もあるので、既に処分が決まっている。他に、「顔キレイナビ」とか女子が友人とスナップショットを撮るのに便利な機能があるらしいのだが、拙僧は使ってない。手ブレ補正も、さほど強力では無いようだ。
              ☆              ☆
 安易に手振れ補正に頼らない実用力でファインピクスF10を褒めた。手振れ補正機構のついた本カメラの夜景スナップは、ノイズ面での荒々しさは軽減しているが、ちょっともっさりした感じに見える。そもそも、屈曲光学系は数値的な画質を高めるのは難しいと聞くので、そういう味わいなのだろう。
 ファインピクスらしいビビットな発色や諧調を期待すると、やや食い足りない面もある。ハニカムCCDを見送ったのは手ブレ補正機構との親和性が難しいのだろうか。折角、育っててきたフォトモードボタンを廃止するなど、残念な一面を残すカメラである。

   では、撮影結果(専属モデル撮影編)を見て下さい。

(了:2011/9/18)

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