Mustek DV5000について


DV5000

☆ジャンク度☆
メディアに相性あり
撮影可能


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 おもちゃとしては、よく出来ていると思う。


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 液晶パネルを開くと、いっぱしのムービーカメラ然となる。
 ボディ上部の電源スイッチのタッチングは今三だな。


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 レンズ下部のフラッシュはスチルモードで使用。
 レンズはマクロモード付きの固定焦点(パンフォーカス)。


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 単三型電池使用はありがたい。メディアはSDカード。


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 デフォルトで簡易三脚が付属していたらしい。三脚自体は使い物になりそうも無いけど、ボディにネジが切ってあるのは何かと都合が良さそうだ。
 簡易三脚の他にも何やらコードやら色々と付属していたけれども、どうせ役にも立たないだろうから封も空けていない。


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 箱付き、付属品付きをネットオークションで落札。
 分厚い正規マニアルは日本語に対応しておらず、紙っぺら一枚の日本語マニアルが付属しているだけ。



 前世紀にはおもちゃデジカメと言うジャンルが存在した。拙僧のコンテンツではカシオ LV−20コニカ  e−miniDがそれにあたる。旧世紀では100万画素を超えるようなちゃんとしたデジカメは高価だったので、そういう廉価な35万画素級のおもちゃデジカメはそれなりに需要があったのだ。それに、その頃はまだまだプリントで鑑賞するには銀塩カメラの方がコスト的にも品質的にも有利で、デジカメを使う大きなメリットであるコンテンツの作成や電子メールによる配布といった目的には35万画素級のデジカメで充分であるという認識も有ったと思う。ところが世紀を跨ぐ辺りになると、ちゃんとしたデジカメもかなり安くなって、特に中古や型落ちのデジカメとなると殆どおもちゃデジカメとの価格差が無くなってしまった。こうなるとおもちゃデジカメの需要は急速にしぼんでしまう。おもちゃデジカメメーカーも300万画素級のモデルを投入したり努力はしたようなのだけれども、所詮はおもちゃデジカメという認識がユーザー側にも浸透してしまって、21世紀になって数年で淘汰されてしまったようだ。
 そんなおもちゃデジカメから派生し、わりと最近までその生態が確認されていたジャンルにおもちゃデジタルムービーカメラがある。拙僧の記憶ではその起源は2001年の年末商戦に躍り出たニチメンのChe−ez MOVIあたりだったと思われる。Che−ez MOVIは液晶ビュワー無しで、撮影は取って付けたような光学ファインダーで行い、現在の視点だとジョークアイテムに見えてしまうような代物だけど、フレームレート24コマ/秒の動画が撮影できる定価ベース一万円未満のデジカメとして、かなり話題になったようだ。Che−ez MOVIは、その後のモデルでは折りたたみパネル式液晶ビュワーを搭載し、本格的デジタルムービーカメラとしての風貌に至っている。勿論、動画のクオリティはそれなりなのだけれども、価格の安さもさることながら、本物のムービーカメラに比べれば遥かにコンパクトだから、それだけでもあえて選択する意義はあったのだ。そこで、このジャンルには旨みがあると見ておもちゃデジカメメーカーやIO−DATAのようなPC周辺機器メーカーまでが参入する事となった(らしい)。
 実際、手のひらに乗るデジタルムービーカメラは、それだけで愛らしいものである。しかし、ここで我々は冷静にならなければならない。と言うのはスチルデジカメにもムービーモードが存在し、それはかなり実用になるのだ。実際、デジカメのジェラ期から動画デジカメとういうジャンルは三洋やシャープが開拓していたし、おもちゃデジカメの中にもマクセルのWS30(欲しい)やeggyのようなMPEG4の動画を撮影できるものが存在していた。なので、本当のところおもちゃデジタルムービーカメラの存在意義は「コンポーネンツが本格的デジタルムービーカメラ然としていてかっこいい。」、或いは「手のひらに乗るほどコンパクトで可愛い。」というルックスや操作フィーリングに依存している。単車で言えばバーディーのパワーユニットを積んだスズキGAGのような物で、まともにNSR50と比べるのはお門違いだと思われるな。
                   ☆               ☆
 なので拙僧がおもちゃデジタルムービーカメラというジャンルに興味を持ったのも、そのルックスが可愛いと思ったからだ。そのきっかけは前途のChe−ez MOVIシリーズの比較的新しいモデルをハードオフで見かけた事なのだけれども、それはハードオフのジャンクでないちゃんとしたプライスタグが付いていたので眺めるだけで元の場所に戻した。そこでネットオークションである。最近では悟りを開けたので利用しないのだけれども、ネットオークションには魔力があって送料と振り込み手数料を加えたら割高になってしまうのが解っているのにビットを入れてしまうのである。見つけたのはMustekっという聞いたことも無いメーカーのDV5000というおもちゃデジタルムービーカメラである。スペックには400万画素の文字が謳っているが、拙僧も世間を少しは知っているので踊らない。しかし、単3型電池とSDカードを使用する点が興味を引いた。当時の拙僧のデジカメ陣営の殆どは単3型電池を採用していたし、クールピクス7600就役の際に導入したSDカードが手元にはあるから、追加投資をせずに運用できそうに思えたのだ。掲示価格は3000円。そして、その価格は変化せずに落札された。ううっ、このジャンルの相場が全くわからないのだけれども、もしかしたら高い買い物だったのか?
 入金後、滞りなく物件は届いた。SDカードを除いて元箱、付属品一式付きである。ボディには多少の使用痕が有ったのだけれど、付属品は封も開けていなかった。まあ、それなりの代物なので拙僧も開けていない。Mustekというメーカーは聞いた事もないが、多分中国か香港系のメーカーか商社で、主に北米や欧州向けのデジタル関連製品を販売しているのではと思われる(注1)。というのは、純正のマニアルは英語やポルトガル語や簡体中国語など複数の記述があるのだけれども、日本語の記述は無いからだ。日本語での使用説明は、取って付けたような1枚の紙切れのみであった。もっとも、純正のマニアルの英語や中国語の説明を読んでみたけど、取り立てて親切に説明してある訳ではない。恐らく、日本の流通業者が適当に日本語マニアルを付ければ売れるだろうと思って場当たり的に仕入れたものなのだろうけど、込み入った操作が必要な訳ではないのでこれで充分と言う事なのだろうな。北米で暮らしたことのある拙僧には、本カメラがロンドンドラッグで並んでいる姿が想像できる。そして、それにはさして購買能力の無いかの国の連中が辛うじて手の届くプライスタグが付いている事だろう。勿論、コダックの安デジカメ(チノン製)と並んで。
 早速手に取る。質感の安っぽさを指摘するのは安いカメラなのだからナンセンスだろう。拙僧はおもちゃとしては上出来たと思う。ただ、もなかのように左右に分かれた外装の丁度合い目に位置する電源スイッチのフィーリングが今三であるのは気になった。起動には2秒程スイッチをスライドし続けなければならないのだけれども、かなり力が必要なのと、そもそも強度的に不安なので、そのうち壊すのではないかと心配だ。液晶パネルを開くと、いっぱしのデジタルムービーカメラの顔をするので嬉しくなってしまうな。ボディ側には9個のボタンが配置され、諸設定を行う。大した機能が有る訳でもないので、弄っているうちに理解できるだろう。レンズはマクロモード付き固定焦点(パンフォーカス)で、鏡筒を捻ってモードを切り替える。ボディ上部のレリーズボタンを押下すれば撮影を開始し、もう一度押下すれば撮影を完了する。多分、レリーズボタンを押している間だけ撮影するモードに設定できると思うのだけれども、そのやり方は解らない。勿論、紙一枚の日本語マニアルには一切の記述は無し。ムービーモードの画質は3段階に設定できる。もっとも、折角なので拙僧は最も高画質なモードでしか撮影していない。多分、エコノミーモードだとPC上での鑑賞時に画面が小さくなるのだろう。
 撮影に出かけようと手持ちの256MBのSDカードを入れたら認識しないので焦った。もしや不良品を掴んだか?出品者にどこのメーカーのSDカードを使っていたか聞いたらパナソニック製のものを使っていたと回答を貰った。パナソニックのSDカードは隣市のハードオフに125MBのものが置いてあるのを知っていたのだけれども、それはハードオフの正規プライスなので安くは無い。それに、そのSDカードだって使えるかどうかは神のみぞ知るなのである。しかし、本カメラは32MBの内蔵メモリを搭載しているとは言え、それだけでは動画を楽しむのには余りにも心寂しいので、その125MBのSDカードを購入した。追加投資無しでという当初の目論見は大きく外れてしまったな。幸いパナソニックの125MBのSDメモリカードは認証した。
                   ☆               ☆
 本カメラは(多分)どこかの中小のショップか商社が思いつきで輸入した程度の代物だからインターネット上での情報も極端に少なく、レビューらしい情報はたった一つの短いもののみであった。曰く、「静止画はそこそこ実用になるが、動画はおまけ程度のもの」らしい。デジタルムービーカメラは動画が主目的で静止画はおまけ程度のものというのが普通だと思うのだけれども、本当のところはどうなのであろう。まあ、あまり期待せずにまずは撮影だ。
 スイッチ類のフィーリングが安っぽいのは価格相応なので問題ではない。ユーザーインターフェイスもあまり考えられて作られていないので、返って直感的に解りやすい。とりあえず被写体にしたのは室内飼いしているモルモットだ。早速、マクロモードで撮影してPC上で再生してみると、まんざらでもない感じだった。そりゃあ、駄目出しをすればきりがないけど、夜中の薄暗い蛍光灯下でもそれなりに鑑賞できる動画だと思う。こういうカメラで撮影する重要な被写体は室内の小動物や赤ん坊だから、まずは及第点と言えるのではと思う。次は屋外撮影だ。
 拙僧も数奇者なので幾つかのクラシックデジカメやおもちゃデジカメを所持しているので解った気になっているのだけど、こういう安デジカメは意外と薄暗い屋内ではそこそこのクオリティの画像を撮影できるのだけれど、屋外で撮影すると特にハイライトが白く飛んでしまい、がっかりな場合が多いのだ。大抵、動作チェックは室内で行うので本番撮影で期待を裏切られてしまうのである。屋外で撮影を始めて初めに困ってしまったのが液晶ビュワーが殆ど見えないのだ。晴天下で液晶ビュワーが見えなくなってしまうのは黎明期のデジカメには良くある事なのだけれども、まがりなりにも今世紀のデジカメでこのような現象がおこってしまうのはびっくりだな。本カメラはムービーカメラなので、当然光学ファインダーは無いからフレーミングは殆ど勘で行わなければならない。まあ、それは可愛い問題で、全く呆れてしまったのはスチル画像の撮影時だ。これが被写体のハイライトが飛ぶ等と言うレベルではなく、酷い時には何を撮影したのか全くわからない画像になってしまうのだ。兎に角、ラチュードが狭すぎる。それに、露光が受光素子の範囲内であっても画像のクオリティが低すぎる。拙僧だってスペック表の400万画素をそのまま信じるほど楽天的ではないのだけれども、はっきり言ってスチル画像のクオリティは黎明期の35〜85万画素級だ。なのにデータサイズはしっかり400万画素級なのである。一体、どういう按配なのだろう。困ったものだな。但し、肝心の動画は破綻をきたさなかった。ネット上の唯一のレビューとは全く逆の結論に達したのである。
                   ☆               ☆
 本カメラの魅力はポケットサイズで本格的なムービー撮影感覚を味わえる事に尽きるだろう。手軽に動画を撮影したいのであればスチルデジカメの動画モードで充分なのだけれども、重要な長所としてMPEG4で動画を記録できる点が魅力に値する。まあ、真面目にスペック表を眺めると、フレームレートは10〜20fpsだし、これは動画デジカメの三洋 DSC−MZ1と比べてもパワー不足を感じてしまうのだけど、本カメラはその雰囲気を味わうのが本領なので柔らかめな目線で見なければならないな。但し、屋外で液晶ビュワーが見え辛いのは致命的な難点である。なので、ホームパーティや宴会場でジョークアイテムの一つとしてカバンに忍ばせるのが有効的な使い方ではないかと思う。ちょっと身も蓋もない使い方かもしれないけれども、それが本カメラがおもちゃデジタルムービーカメラたる宿命だな。


注1)本稿執筆後、Mustekは台湾資本のメーカーと判明。日本法人も有ったようだが、既に解散したようだ。

 では、撮影結果を見て頂きたい。

(了:2006/11/29)

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