inserted by FC2 system

3日目:撮影機材城


3rd_day

ああ、魅惑の北京撮影機材城。


 この日も朝からキムチフルコースの朝食を頂くと、義理兄の友人の運転で義理兄と妻と一緒に義理兄行きつけの漢方医へ向かった。また漢方医かよとお思いだろうけれども、実は拙僧、こんな行動をしてこんな文章を書き連ねているけれども長いことお脳の風邪をこじらせており、西洋医療と併用して漢方医療(中医)を受けているのである。賛否両論なのは承知の上なのだけれども藁でも掴みたいというのが正直な話なのだ。
 診療所は随分と遠かった。早速治療を受ける。漢方医の診療は主に観察(顔色や舌を診る)と診脈と触診、それに問診で聴診器とかは使わずあっけなく終わる。すると処方箋にさらさらと大量の漢方薬の名前を書き込む。通常だと、これを煎じてパックした物を飲むのだけれど、我々の場合大量の液体を飛行機で運ぶわけにはいかないので、煎じ方を書いてもらい薬剤だけを持って帰る予定である。ちなみに慢性の肩こりに悩んでいる妻も診断。本日は薬を注文するだけで薬剤がそろい次第、後日義理姉が運んでくれる按配である。ちなみに拙僧が3ヵ月分、妻が1ヵ月分であわせて5万円近くした。今回は外国人値段ではない。一回の旅行で漢方薬に10万円もかけるというのもどうかしている気もするけど、それだけ参っていると言うことなので惜しくは無いのだ。いや、本当は惜しい(^^;。 昼食を診療所近くの湖南料理屋で食べて義理兄たちと別れ、いよいよ拙僧の主目的である中国製文物カメラ買いへと地下鉄五木果松駅近くの北京撮影機材城へ向かう。


診察を受ける妻。こういう場所でも撮影が可能なのだから大陸は大らかだな。



薬剤を注文後、隣のレストランで昼食をとる。




地下鉄とバスを乗り継いで撮影機材城へ向かう。
キヨスクの雑誌に「帽子男」のマークが描かれている点に注意。

 北京撮影機材城は五木果松駅で下車し、バスで北上し3番目の停車場で降りる。自信の無い方は窓の外をよく見て「北京撮影機材城」の看板を見かけたらすぐに降りればOKだ。主にプロ向けにあらゆる撮影機材のバイヤーが集まった一種の商業施設で、雰囲気はアメ横やラジオ館をイメージしてもらうとわかりやすい。もっとも、個別のブースはクローズドになっており、規模も様々であくまでもプロ用の商業施設なのである。特徴的なのはニコンならニコン専用のバイヤーがおりキヤノンならキヤノン専用のバイヤーがいる。これは三脚やストロボも同様でジッツォやバルカー専門店も有った。また、衣装やアクセサリー、額縁の専門店も存在し、下の義理兄(日本在住)の結婚式にはウェディングドレスを買いに来たものである。兎に角、プローな雰囲気が充満しているのだけれども、その一角に我々のような数奇者向けの中古専門店も存在するのが憎いのである。早速、覗いてみよう。
 基本的にMFカメラばかりでデジカメの中古は一つも見なかった。ライカやハッセルのみを扱う高級店もあるが、物件で圧倒的に多いのがニコン。キヤノンもあるにはあるがコニカやミノルタと支配率は変わらず、その他大勢の粋を脱していなかった。ちなみに、国外物はライカのような特殊なカメラを除いては殆ど一眼レフ。距離計連動機や二眼レフは好事家向けに国産の物が散見される程度だった。もっとも、二眼レフの海鴎はそこここに見受けられたが、これは既に持っているので対象とならない。プライスタグは概ね日本と変わらないか若干高めだが、問題はプライスタグの無い物件なのである。拙僧の欲する人民による人民の為の人民カメラは多くがプライスタグが無いのだ。これは交渉しだいなのだが、こちらが外国人だと分かってしまうと大幅に不利な戦いになってしまう。例えばそこにある「長江」という名の文物二眼レフだ。値段を聞いてい見ると700元(1.2万円位)だと言うのである。中国、とりわけ北京や上海の大都市では普通語(上海の場合は上海語)の疎い中国人というのは普通にいるので、たどたどしい北京語でも内国人だと思わせられなくも無いが、拙僧の場合は赤茶髪にツイストパーマなので外国人だとばれてしまう。そこで交渉は難航するのである。件の長江であれば500元位までなら負けさせられそうな物だが、何せ漢方薬に多額の金銭を落としてしまったので手持ちがない。そこでもう少し安い物件を探して旅は続くのである。日本でも有名な鳳凰の距離計連動機は200元だったが、シャッターリングに難が有った。この店にはカルフォルニアブルーの新品のホルガがあったが、この種の物件は日本で買ったほうが遥かに品質が安定して安いのでパスだ。結局、350元でボディのみの「珠光」が有ったブースに向かうとする。
 「珠光」はSRマウントを似せた中国製一眼レフとして知られていつが、手元にあるMCロッコールが問題なく付くとは限らない。ソビエト製や東欧製のM42マウントボディにタクマーを付けて外れなくなったなどと言う話はよく聞くのである。純正レンズが無いのが厳しいなあ。そういえば手持ちにテクサーの標準ズームがあるが、あれは付くのだろうかとしばし物思いにふけると、ふと上段に飾られている小ぶりな距離計連動機に目が行った。「華中」と言う名が中華思想を奢っているようで中々立派である。もしかしたら本当に「中華」と付けようと思ったけれども、流石に政府から過激すぎると伏せられたのかもしれない。小ぶりでシンプルなデザインが好印象。サイズはコニカC35やエルニカFを若干大柄にした感じで金属製ボディに精悍さを感じる。なにせ簡体字で書かれた「華中」の文字がアイデンティティを放っている。早速手に取るとボディは小さいのにずしりと重く、外装も厚いのではと思われる。感覚的にはヤシカエレクトロ全盛時代のカメラの感覚である。しかし、本カメラは電池は使わずフルマニアル機械式。これは逆に響かせる物がある。状態は距離計が上下にずれているが、まずは上等。普通、文物カメラは張り皮の接着剤がはみ出しているとか、張り皮そのものが剥がれたりする物だが、これはその様な大陸的特長は無し。プライスタグが無く、吹っかけられると思いきや値段は常識的な300元。5000円と聞くと最近のネットオークションの相場を頭に浮かべてしまうとフィルムカメラに使う金額としては高額の部類かもしれないが、これは知られざる人民の為の文物カメラなのである。値下げを試みると穏やかに笑いながら「家は損得なしで安く出しているから値下げはしないよ。」と店主。これは逆に好印象だった。普通なら怒鳴りあいになる。ちょうど懐具合にも丁度良いプライスだったので拾い上げることにする。黒い皮ケースに金文字で「華中」の文字が誇らしい。とても、満足して北京撮影機材城を後にした。


イルフォードのブース。日本より活気があるか?


バスでお越しの方は「金濁河」を目指しましょう。


凛々しい「華中」の姿。

   財布が空っぽになったので銀行に寄って円を元に変える。最近は中国銀行以外の地方銀行でも両替が出来るようになったので楽になった物だ。
 例によって帰宅前に韓太夫の診療所による。薬材の受け取りと漢施療を受けるためだが、ここで受けたへらで欝血するまで皮膚をしごくという施療がとんでもなく痛くほとほとに参ってしまう。これが後日、大きな問題となるのだ。
 妻も施療を受けて義理兄邸に到着。食事を済ませ、いよいよ哈爾賓(ハルピン)行きの装備をバックに詰めて出発。バスと地下鉄を経由して北京駅へ。10元払って貴賓待合室にて出発を待ち乗車。21:30頃に北京を発したと思う。到着は明日の8:00で列車は終点が哈爾賓なので乗り過ごしの心配はない。韓太夫の施療が痛くて何度も寝返りを打つが、睡眠薬が聞いてきたせいか睡眠に入る。
 


再びホットポット。


鬱血した皮膚が唸るほど痛い。



いよいよ哈爾賓へ。


哈爾賓氷雪大世界へ続く。

旅行メニューへ戻る

inserted by FC2 system