オリンパス μ10デジタルについて


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☆ジャンク度☆
不具合無し
撮影可能


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 オリンパス得意のカプセル型ボディ。
 ネームプレートも美しい。

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 ライカ判換算で35〜105mmF3.1〜5.1の光学3倍ズームレンズ搭載。
 コンパクトなボディを反映してか若干暗い。

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 ボタン主体のシンプルな背面。

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 十字キーにメニューが対応する。
 オリンパスらしくESP測光とスポット測光の切り替え。

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 防水のため、蓋にはパッキンが。

 メーカーのポリシーはスタイリングに現れるもので、それが同じシリーズ上にあれば似た具合になるものだが、デジカメ黎明記から新世紀に初頭にかけてのオリンパスのそれは、C−800L系モデルC−900Zoom系モデルなどは金型も同じなのではと思わせるほどスタイリングは似ている。しかし、受光素子の画素数は2倍にもなっているし、81万画素級のD−320Lと130万画素級のC−860Lでは反応スピードも連射機能も大幅に改善されており、全く別のカメラだ。本カメラのスタイリングもまた、後裔のμデジタルシリーズの元になっている。
 オリンパスの黄金時代はコアモデルが35万画素級から300万画素級までの時代である。コアモデルが400万画素級に至り、新世紀になってからは謙虚に迷走が始まった。そんな中でもμデジタルシリーズはヒット作である。登場した2003年当時に300万画素級と言うのは凡庸なものだったが、特徴的なのは小型でスタイリッシュなボディと防水機能である。スタイリッシュの方はイメージキャラにタッキー(滝沢)を起用するなど意欲的で、それまでのオリンパスのデジカメのコアモデルと言うとC−3030Zoomのような実力者だが無骨なイメージがあったが、本カメラは曲線基調でぐっとお洒落だ。ブルーベースの銘板も決まっているが、これをオリンパスは「レインボーカラーに美しく光るサンフィッシュエンブレム」と呼んでいる。この銘板のベース色は後裔機で変わり続け、それぞれのパーソナルカラーとなっている。ただ、防水の方はJIS保護等級4相当というもので、これは水しぶきが掛かっても大丈夫と言う程度で、雨の日に傘を差しながらの撮影やスキーのようなシチュエーションでは有効であろうが、水没は完全にNGである。記憶ではTVCFでタッキーがプールに飛び込んでいた気がするが、あれは誇張しすぎだろう。本カメラの電池蓋やメディア/端子の蓋にはそれなりにパッキンが施されているが過信は禁物である。レリーズボタンや十字キーもパッキンで覆われており、これについてはジャンクを分解した経験があるので確かなのだが、伸長するレンズには不安が残る。しかし、メーカーとしても対応はしているらしく、動作時も一応は防水を公知していたようだ。尤も、本カメラは登場から既に7年が経過しているので、現在では保証の限りでは無いだろうな。
                ☆           ☆
 ニコンならクールピクス3100、フジならファインピクスF410の世代である。前者なら乾電池2本使用で異例に小型。後者なら限定的ながらISO800モードを可能にするハニカムCCDを搭載していた。300万画素級デジカメの花盛りである。本カメラがどうだったかと言うとかなり売れたようである。メディアが割高なxDピクチャーカードだったり、レンズが若干暗かったりしても好意的に受け入れられたようだ。スタイリッシュなデザインにアルミニウム合金の外装の質感が、本カメラを実際よりコンパクトでスマートに見せている点も福音だったようだ。曲線基調の樹脂製外装のクールピクス3100は汎用性のある単三型電池やコンパクトフラッシュを採用していたが、スタイリングとしては今一歩だった。ニコンが「クールだぜ」と評価されるのにはキムタクの起用まで待たなければならない。なんだよ結局ジャニーズかよ、と老尼康(ニコン)は顔を曇らすのだが、一番売れたデジタル一眼レフがニコンだと聞けば率直に嬉しいものである。
 おっと、本コンテンツの主役はオリンパスのμ10デジタルであった。受光素子は300万画素級でサイズは1/2.5型と、どうもC−720UZと同じではないかという噂がある。C−720UZは画質面でまり好意的な印象が無いから気になるな。レンズは光学3倍ズームの35〜105mmF3.1〜5.2とライバルと比べると一寸暗い。これは防水対策のためにそうなったのであろうか?最短撮影距離も通常モードで50cm、マクロモードでも20cmと抑え気味である。
 外観上のアイデンティティはスライド式のレンズカバーを持つ、カプセルタイプのパッケージングである。このパッケージングはオリンパスの最も初期のデジカメである35万画素級のC−400シリーズや81万画素級のC−800シリーズでも採用されていた。しかし、栄光あるフィルムカメラのμシリーズの冠を任せるには、それらしいデザインでも大柄なC−900シリーズでも不適格で、本カメラで実現されたコンパクトなボディにこそ相応しい物だったろう。フィルムコンパクトのμシリーズも売れて記憶に残るカメラだったから、μの冠を抱くコンパクトデジカメの登場はフィルム時代のカメラ民族の福音にもなったと思われる。
 操作系はC−900Zoom系ボディを穏やかに踏襲した十字キー+パーソナルボタンである。一機能一ボタンをポリシーとしていたC−900Zoom系ボディでは細分化されたいたパーソナルボタンの数も減り、ズームレバーの他は再生系のボタンとメニュー/OKボタンの2つパーソナルボタンが用意されているのみである。十字キーは階層メニューの選択のほか、左キーはマクロモード、下キーはセルフタイマー、右キーはフラッシュモードの設定が割り当てられており、上キーはシーンモード選択のショートカットキーが割り当てられている。上キーを押下するとドーナッツ型にアイコンが配置され、バーチャルジョグダイヤルとして左右キーで選択する。シーンは「Pオート」「ポートレイト」「記念撮影」「風景」「夜景」「セルフポートレイト」「ムービー」が用意されている。「記念撮影」というのはよく分からないが、多分絞って被写体と背景の両方のピントを合わせるのであろう。「セルフポートレイト」は腕を伸ばして自分の方向にカメラを向けて撮影するモードで、ズームレンズは広角側に固定されるようである。階層メニューには「合成ツーショット」機能も搭載している。
 メニュー/OKボタンを押下すると十字キーに対応したアイコンが十字に表示される。画質はSHQ、HQ、SQ1、SQ2が選択できる。SHQとHQは300万画素級の画像サイズでSHQの方が高画質である。128MBのxDピクチャーカードを詰めるとHQでは163枚ほどの画像が撮影できるがSHQでは55枚ほどしか撮影できない。オリンパスはHQレベルのクオリティに自信を持っているのかデフォルトではHQであり、階層メニューからSHQを選択しても電源をOFFするとHQに戻ってしまう。これはフラッシュ発光モードも同様で、こういうのは記憶してもらった方がいいと思う。測光モードはオリンパスらしく「ESP」と「スポット」の切り替え式で、これは電源をOFFしても記憶する。「スポット」モードでは液晶ビュワーにそれを示すアイコンを表示する。
 マクロモードで20cmまでしか寄れないのは抑え気味だが、望遠側も最短撮影距離は変わらないので花や小物を撮影するのに然程困ることは無い。
 再生はレンズカバーを閉じて再生ボタンを押下する。撮影中でも再生ボタンのダブルプッシュでクイック再生モードとなるが、この操作はある程度慣れが必要である。このボタンはシングルプッシュだと液晶ビュワー非表示になるのだが、クイック再生モードへの移行の方が頻度が高いだろうからシングルクリックでクイック再生、ダブルプッシュで液晶ビュワー非表示の方が使いやすいと思う。2003年当時では、流石に光学ファインダーを使用した撮影は稀だと思われるのだが、それまでのカメラの操作系を踏襲したのであろう。
                ☆           ☆
 コンパクトデジカメはコンセプトが勝負である。それは必ずしも高画質で多彩な作画機能を搭載していることばかりではない。本カメラの勝利は若さや軽快でスマートといったイメージコンセプトであろう。そしてプラスアルファとして防水があったのだが、これがしっぽりハマッタようだ。まるで二十歳そこそこの女子モーグル選手でも持っていそうな雰囲気がある。オリンパスもμの冠をデジカメに被せるのには慎重になっただろうが、まず、成功したと言っていいだろう。

 では、撮影結果を見て頂きたい。

(了:2010/2/16)

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