ニチメン Che−ez!SPYZについて


SPYZ

☆ジャンク度☆
電池蓋欠品
撮影可能


SPYZ
 当てにならない光学ファインダーだが、無いより随分マシ。


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 液晶パネル横にモードボタン。

SPYZ
 内蔵メモリ式なので転送はPCケーブルで行う。
 ジャックは汎用性の高い小型のUSB。
 

 本カメラはその登場時から興味があった。それは全世紀末から世紀を跨いで流行った一連のおもちゃデジカメとかトイデジカメというジャンルの物だったのだが、それらが流行った理由は廉価であることだけではなかった。それはそれぞれにユニークな特徴を持っていたのである。本カメラの場合、その小ささが異色であった。単4電池1本で動作するそのボディはジッポライターより若干小さい位で、当時の電脳小物マニアを賑せたようである。それは数々のコンテンツが残っているのでおもんぱかることができる。ちなみに本カメラは「チーズ スパイシー」とよむ(らしい)。これも、今回のインターネット調査によって分かった次第なのである。
 本カメラを手に入れたのは、もう3〜4年前のことである。ボディのみ、電池蓋欠品の物が21円だか42円だかでハードオフに転がっていたのである。ドライバーが無いので使えないと思ったが値段が値段だけに即拾い上げた。ドライバーは後でセットになった中古品でも改めて拾えばよいと思ったのである。しかし、物件は中々見つからなかった。いや、売れたカメラだから出品はあるのである。しかし、それなりに良い値段が付いているのだ。ちなみに、行きつけの食わせ物のリサイクルショップでは元箱一式新古品が3980円だった。本カメラの元箱はアルミ缶になっており、おしゃれな演出がなされているのだが今更35万画素級のトイデジカメを買うには高すぎる。なので本カメラのことはしばらく忘れていたのであった。
 事態が急変したのはその後、SCOOP!というトイデジカメを拾ってからだ。このカメラもユニークな意匠を持っており、当時の電脳小物マニアを賑わせたようで様々なコンテンツが残っているのだけれども、その中で紹介されていたのはSCOOP!を構成するSTV0680というチップを本カメラも使用しているとのことなのだ。試しにSCOOP!付属のドライバで本カメラの画像を吸い上げてみたら成功した。ブラボーである。更に調べると純正のドライバより綺麗に画像を吸い上げるフリーのドライバが公開されており、これを使えばSCOOP!のドライバが無くても本カメラを運用することが出来たのだ。ああ、こんなことならもっとよく調べておけばよかった。そのドライバについては本カメラかSCOOP!とSTV0680で検索すれば引っかかると思うので調べて欲しい。                 ☆           ☆
 では、撮影に使ってみよう。電源は前述の通り単4電池1本で拙僧の固体は電池蓋が欠損している。もっとも、この電池蓋はそもそも外れやすいそうだ。本カメラは電池が無くなると撮影画像がパーになってしまうのでこれは問題だろうな。実際に拙僧はポケットの中でカメラと電池が分離していることに気づいて泣いた事があった。前から見ると中央上部にレンズがオフセットされているだけで、これが一応撮影の出来るカメラなのかと思うと不思議な気分である。ボタンはレリーズボタンとモード変更ボタンのみ。これに背面に7セグメント2桁の液晶パネルが付いてそれっきり。っと、思いきや背面から見て右側側面にスライドスイッチが付いており、それを上に引き上げると光学ファインダーがせり上がってくる。いかにも頼りなさそうなファインダーだが、実際にあまり当てにはならない。まあ、ノーファンダーで撮るのも心寂しいものなので気休めである。外装は金属梨地で洒落っ気がある。モード変更ボタンを押下すると液晶パネルが「撮影可能枚数−>OF−>CE−>SE−>CL」と変化するが、撮影可能枚数表示時は撮影モード。以下、電源OFF、直前の動画撮影モード、セルフタイマー、全ての撮影画像の削除、撮影画像サイズの変更が対応する。基本的にはスティックショット等の一般のトイデジカメと変わらないが、電源OFF出来るのが気が利いている。もっとも、本カメラは連続撮影時間が4時間というMe163コメートみたいなスパルタンなカメラなので必然かもしれない。しかし、同じチップを使ったSCOOP!が電源OFF出来ないのは何故だろう。電源OFFの状態でも徐々に電池は消耗し続ける。諸説があるが大体1週間ほどで電池は空になってしまうそうだ。そうなったら撮影画像もパーである。もっとも、これはたった1本の単4電池の個体差にも左右されるのだから、まあ、そういう人はいないだろうけど海外旅行に使用するなら予め新しい電池(それも強そうな)を詰めるほうが無難だろう。基本的には撮影したその日のうちにPCに転送するのがベターだ。電池が消耗すると液晶パネルが点滅しっぱなしになるので、そうなったら電源はOFFにして電池を温存したほうが良いだろう。画像サイズは640x480ピクセルのHiモードと320x240ピクセルのLoモードが選択できる。ただでさえプリミティブな画質なのにLoモードで撮影するにはアーチスティックなセンスが要求されるが、Hiモードで26枚の撮影枚数がLoモードでは107枚になるから使い道はあるかもしれない。ちなみに動画モードではHiモードで8秒、Loモードで28秒撮影でき、画像はAVI形式で保存される。内蔵メモリは8MBもあるのでもっと撮影できそうなものなのだが、この種のトイカメラの多聞にもれず画像はBMPで保存されるので撮影枚数は稼げない。PCに画像を転送する際、ドライバーがBMPファイルをJPEGファイルに変換するのだが、この方法が付属のドライバより前述のフリーのドライバの方がクレバーな処理を行うらしく、より綺麗な画像を得られるそうだ。
 レンズは4枚玉のガラスレンズでライカ判換算で44mmF2.8。マクロモードは無いが撮影距離は0.5m〜無限大まで確保する。勿論、固定焦点だ。モードボタンの押下で電源ON。後は光学ファインダーで検討をつけてレリーズボタンを押すだけ。ピッっと音がして液晶パネルの数値がカウントダウンされると撮影が完了した事が分かる。小さく軽すぎるので手ブレを抑えるために両手でしっかりとホールドする必要がある。光学ファインダーは目測蛇腹カメラについている折りたたみ式の凹レンズ一枚なので目を近づけすぎると何が写っているか分からない。液晶パネルは無いが腕を伸ばしたデジカメ撮りでフレーミングを行う。暗い場所ではシャッターが切れないようになっているがかなり薄暗いところでも撮影は可能である。ただし、シャッタースピードはそれなりに遅くなるようだ。ファミリーレストランでケーキを撮影する程度には問題が無いだろう。
                ☆           ☆
 肝心の画質だが、本カメラでそれなりに美しい画像を撮影しようとしたら十分な経験が必要である。この種のトイカメラ並みにハイライトがトビ気味でラチュードが狭いのは致し方ないとしても、露出が不安定で白くぼやけたり真っ暗になったりする。これはAEがシビアなのもあるだろうが、どうもレンズのパワー不足な気がする。白くぼやけるのは初めはホワイトバランスが正常でないのかと思ったが、単純にハレーションに思えてきた。室内では良好な画像が得られる。そういえば、本カメラを扱ったコンテンツの中には自作のフードを紹介しているものが複数あった。それは効果があるかもしれないが、それにしてもレンズ周辺の解像度などマクセルのWS30SLIMやSCOOP!に比べるとイマイチに思える。まあ、本カメラのような特異なカメラは素材は提供するので各位の工夫の必要性もサービスの一環という事なのだろう。

   では、撮影結果を見て下さい。

(了:2009/3/21)

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