リコー RDC−7について


RDC7
カメラと言うより情報端末然としたパッケージング。

☆ジャンク度☆
無し
撮影可能


RDC7 RDC7
 いかにも「ビジネス」といった趣で、その辺の似たようなコンパクトデジカメを圧倒する。

RDC7
 最短1cmまで寄れるライカ判換算で35〜105mmF2.6〜3.4の3倍ズームレンズ。

RDC7 RDC7
 銀の小さなボタンは画質モードやセルフタイマーを設定する。
 ボタンは単機能を割り当てられていてわかりやすいが、拙僧の固体はシルク印刷が擦り切れてしまった。

RDC7
 液晶モニターの下にはメニュー起動ボタンやカーソルキーが配置されている。

RDC7 RDC7
 ボディ後部ほぼ中央に撮影モード変更ダイヤルがある。
 ダイヤルの上にはシーソー式のズームレバーがある。


RDC7 RDC7
 記録媒体はスマートメディア。
 電源は初期のファインピクスと同様のかまぼこ型NP−80。




RDC7
 後にWebメール機能を搭載し、「キャプリオ RDC−i500」に進化した。

 本カメラの登場は、あのリコーの「イメージ キャピチャリング デバイス」が帰って来たと方々の電脳雀を賑わした様である。あの、と言うのはデジカメのカンブリア紀、つまりカシオのQV−11とかエプソンのCP−100とか受光素子が25〜41万画素級だった頃に異彩を放った、横型フラットボディに開閉式の液晶ビュワーを備えた多目的情報記録装置のDC−1やDC−2L、それに廉価簡易型のDC−3DC−3Zの事である。これらはデジカメとは似て非なるもので、勿論フツーのデジカメのように画像も記録できるが、音声や文字情報といったビジネスに使えそうな情報を記録することが出来、画像の至ってはレンズ前1cmまで記録できたのだから、これは幕張の見本市でライバル会社の新製品を撮影して社内のプレゼンに生かすにはもってこいだったのである。
 しかし、リコーはDC−4からは回転式レンズという特徴を持ちながらも普通の顔をしたデジカメに進路を向けることになる。パームトップのように開く液晶ビュワー+操作パネルというのは撮影した画像を含む情報を操作するには便利だったが、その液晶ビュワーを使って撮影するのはフツーのデジカメが求められるシチュエーション。つまり旅行でのスナップとか結婚式とかには使い辛かったのである。もっとも、当時はデジカメの電源事情と言うのは今では考えられないほど貧弱で、液晶ビュワーを使うということはガソリンをぶちまけながらアフターバーナーで飛んでいるようなもので、もっぱら光学ファインダーで撮影し、液晶ビュワーはマクロ撮影といった特殊な撮影や再生確認に使うのが普通だったからそれでも良かったのだけれども、何せ当時のデジカメと言うのは高かったから、割安でフツーのものでないとなかなか財布の紐も緩まないのは致しかないことであった。光学ファインダーを主に使って撮影する姿からオペラグラススタイル等と称された程である。
 ところが、上位機種が300万画素級になり始めた旧世紀末の2000年。前述の通り、リコーは、あの「イメージ キャピチャリング デバイス」を復活させたのである。イメージはそのまま正常進化した。まず、受光素子は300万画素級と旧世紀としては最高級である。なんでも補完して700万画素級画像を撮影することも出来るらしいのだが、拙僧はやり方がわからないのでやったことが無い。レンズ前1cmのマクロはそのまま踏襲し心強い。レンズはライカ判換算で35〜105mmF2.6〜F3.4と中々明るく贅沢である。絞りやシャッタースピードは操作できないが、MFが可能と言うのは嬉しい。MFモードは階層化されたメニューで切り替え、上下のカーソルキーで調整する。フォーカススピードは節度があって、AFが迷いやすいマクロで便利だ。感度はAUTO、ISO200、ISO400から選択可。フラッシュモードは電源を切っても保持されスナップに便利だ。もっとも、チャージにはそこそこ時間が掛かる。媒体がスマートメディアというのが時代を感じさせる。電源はフジのNP−80と同じ物だがメーカーでは保障していないらしい。拙僧は純正の充電器を持っていないのでNP−80をフジの充電器で充電して使っている。
 本カメラの最も重視される機能は、その撮影モードの豊富さだろう。撮影モードは静止画、音声、文字、連射、動画の5つのモードを搭載している。このうち、音声はWAVファイル。文字は白黒2階調のTIFFファイルとして生成される。動画は一般的なAVIファイルだ。また、画像サイズやJPEGの圧縮率も選べるのだが、インターバル撮影やらオートブラケットやらPCからのリモコン操作やら、多機能な本カメラの紹介を全て行うのは困難なのでこのあたりにして実際の操作に移ろう。
                       ☆             ☆
 主な操作系は3箇所。ボディ上面の情報表示液晶パネル近くの4つの銀色のボタン。ボディ背面の電源ボタンを中心としたリング状のモードダイヤル。そして、液晶ビュワーを開くと現れるボタン群である。それぞれのボタン、ダイヤルは基本的には単機能でごちゃごちゃといろいろなボタンが並べられていて初めはびっくりするが、驚く必要は無い。もっとも、拙僧の固体の場合、液晶パネル近くの銀色のボタンはその目的を示したシルク印刷がはがれていてその目的を知るには時間を要した。他に、ボディ上面とレンズ脇にレリーズボタンがある。このレンズ脇のレリーズボタンは縦位置で撮影する場合などに有効で中々親切な設計である。
 液晶ビュワーは上下の他に左右にも回転するためクールピクス950のようなX軸方向にしかレンズが回転しないカメラより更に自由度の高い撮影が可能である。こういうのはネイチャーでマクロ撮影をしたい方には有効だろう。  では実際に撮影しよう。
                       ☆             ☆
 まず、欠点からご紹介しよう。まず、撮影モードダイヤルの節度が無く、知らない間に動画モードや文字モードになっているときが少なからずあった。もっとも、スナップでの文字モードの画像はミニコピーフィルムによる写真のようで、これはこれで面白い物だったが、大切な撮影では困る。液晶パネル脇の銀ボタンも電源を入れっぱなしだと知らない間に押されている場合がある。また、もともとコツを掴まないとホールディングがイマイチなカメラだが、どうも拙僧が構えると右端のフラッシュに中指が回りこんでしまい、光を遮る形となってしまう。まあ、これはそういう特殊なカメラで撮影しているという認識があれば良い事なのでカメラの欠陥とは言えないだろう。
 問題は本番撮影で露呈した。よりにもよって友人の結婚式に本カメラをサブカメラとして就役させたのだ。ちなみに、メインはニコンF4にスーパープレスト1600である。まず、感度だがAUTOということで勝手にISO400モードにゲインアップしてくれるのだと思ったのだがどういうわけか手ブレのオンパレードなのである。開放値がF2.6なのでスポットライトを浴びた被写体なら何の問題も無いとおもったのだが、これは全くの油断であった。もっとも、酒を飲み大勢のカメラマンらの中でいつものようなスローシャッターに耐えるホールドをしていたのかと言うとそうではないので、これも人間の問題なのかもしれないが。ちなみに薄暗い場所になると屋外でも「スローシャッター」の表示が液晶ビュワーに現れたが、実際AEのプログラムはシャッターが遅めに設定されている気がしてならない。また、AFも遅く、右から歩いてきた人を写そうとして実際にピントが合ったのが背中という程である。本カメラは基本的に動く物を撮影するカメラではないのだろう。記録時間も長めだが、このあたりはバッファリングしているようである程度の連続撮影は可能である。撮影画像はレビューされ、レビュー時間は設定できる。このレビュー中にゴミ箱ボタンを押せば画像を削除することも可能だ。
 やはり本カメラの長所は本カメラにしかないニッチな特徴を生かす肩のためにあるのだろう。例えば可動範囲の広い液晶ビュワーに1cmのマクロはそれだけで撮影範囲を広げるし、リモコン操作やインターバル撮影はそれを必要としている人にとっては替えられないものだろう。
                       ☆             ☆
 本カメラは見ての通り万人向けのカメラではない。前述の通りネイチャーでマクロ撮影がしたいとか、サンプル製品を静物撮影してついでに名刺を画像管理したいとか特定の目的をもった方、薄暗い室内で製品サンプルを撮影する方、或いはそのニッチな特性に惹かれた方に微笑むカメラだと思われる。
 拙僧にそのニッチな特性が生かせるのか、今しばらく使ってみたい。

   では、撮影結果を見て頂きたい。

(了:2009/07/16)

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