コニカ デジタルレビオ KD−510Zについて


KD-510Z

☆ジャンク度☆
充電池やや疲れ
撮影可能


KD-510Z KD-510Z
 やや厚みがあるが500万画素級デジカメとしてはコンパクト。
 レンズカバーが左側にスライドするのが特徴。

KD-510Z
 39〜117mmF2.8〜5.9のやや望遠よりの光学3倍ズーム搭載。
 レンズのヘキサノン銘が嬉しい。

KD-510Z KD-510Z
 インターフェイスはボタンが基本である。

KD-510Z KD-510Z
 光学ファインダーが嬉しい。十字キーのタッチは良い。

KD-510Z KD-510Z
 レビオはAPSコンパクトカメラからの継承。
 コニカのブランドもこの後消える。

KD-510Z
 トップはシンプル。

KD-510Z KD-510Z
 専用電池使用。なんとSDカードとメモリースティックを併用できる。
 内蔵メモリも搭載しているから保存は多様である。

KD-510Z
 階層メニューで優先メディアを選択できる。

KD-510Z KD-510Z
 なんとマニアル露出も可能。スローシャッターの下限も設定できる。

 2003年だったと記憶しているが、コニカとミノルタの統合は衝撃的であった。コニカと言えば本邦のカメラ文化を黎明記から支えていた老舗である。それでも、ミノルタと併記されてカメラ産業に生き残ればと思っていたが、2006年には写真産業から撤収していしまう。αマウントはソニーの手に降ったし、証明写真やラボ事業はキタムラに譲渡されたようである。わりと最近までDNPセンチュリアがキタムラで細々と売られていたのは、そういう事情もあるのかしら。2006年と言えばニコンがフィルムカメラの大幅縮小を宣言した年でもある
 コニカのデジカメは1998年ごろまでQ−M100Vのような煮え切らないカメラを出し、1999年にはQ−M200を出しただけで2000年には沈黙した。新世紀になって登場したのがe−miniシリーズである。これは30万画素級のおもちゃデジカメ(トイデジカメ)のレベルでベースモデルには液晶ビュワーすら無かったが、液晶ビュワーを搭載したe−miniDも存在する。兎も角、21世紀のファーストバッターがe−miniでは先が不安になったものである。その後、真っ当なデジカメとして200万画素級のKD−200Zと300万画素級のKD−300Zが登場する。KD−300Zは電池の寿命が異常に短い以外はなかなかよくできたコンパクトデジカメだったが、どうやら中身は京セラのファインカムS3と同じだったようである。
 その後も細々と画素数の上昇に沿ってコンパクトデジカメを発売するが、130万画素級カードサイズデジカメのレビオC2が多少スポットライトを浴びた程度で、カメラの基本性能はよくても影は薄かったようである。デジカメ参戦に遅れたペンタックスも苦戦しているが同様な次第だろう。
                ☆           ☆
 それでコニカミノルタとして統合する前のコニカのデジカメは欲しかった。コニカミノルタ名のディマージュZシリーズなども欲しいが、そういうのはまだまだジャンク籠には転がっていない。そこで本カメラをジャンク籠で拾った。KD−510Zというカメラがどのようなカメラなのかは知らなかったが、500万画素級であることは確かだし、ヘキサノンが付いている。調べると果たしてコニカミノルタ統合直前のカメラであることが分かった。「Revio」のサブネームが与えられているが、これはコンパクトAPSカメラのレビオCLを継承している。
 インターネットで調べてみてもKD−510Zというカメラはあまりヒットしなかった。どうやら先行して発売されたKD−500Zのマニアル機能を充実させたのがKD−510Zらしい。同じように400万画素級のKD−400ZもKD−410Zに改良されている。
 1/1.8型とやや大きい受光素子は536万画素である。ズームヘキサノンは39〜117mmF2.8〜4.9の光学3倍ズームレンズを搭載する。少々望遠に振ったズームレンズだが、このボディサイズに収めたことを考えると明るいレンズだと思う。同じ受光素子サイズで同じ焦点距離のレンズを搭載するカシオのQV−R40のレンズがコニカ製と噂があるので、満更同じものかもしれない。特徴的なのは、まずレンズカバーが左側にスライドする。これは思った以上に最初は違和感を感じる。拙僧のようなフィルム時代の影響を受けた人間はカメラは両手で構えるものという先入観があるので、何れこの左開きのレンズカバーも慣れてくるののだが、片手で撮影するのが癖になっている方には都合が悪い。もう一つはSDカードとメモリースティックの両方のメディアが使用可能なのである。これはオリンパスのC−730のように、どちらかしか使えないのではなく、双方に画像の乗り入れが可能である。オマケに内蔵メモリも搭載しているから柔軟な画像格納が可能である。何故、ソニーのドメスティックなメモリースティックを採用したのかは分からないが、単純にSDカードとメモリースティックでは長さが違うので、電気的な接点をずらして配置することが可能だというのが理由かもしれない。
 しかし、こういった外面から分かり易い点が本カメラの特徴ではない。本カメラは本格的なマニアル撮影が可能なのだ。流石にマニアルフォーカスはできないが、絞りとシャッタースピードを任意に設定できる。このクラスのデジカメとしては珍しい。絞りはF2.8とF4.7しか選べないが、シャッタースピードは15秒から1/1000まで選択が可能だ。十字キーの上下で絞りを設定し、左右でシャッタースピードを設定する。こうなると絞り優先AEが搭載されていないのが残念である。QV−R40やエクスリムシリーズではマニアルフォーカスモードを搭載しているが、これがマニアル露出と技術的にはどちらがコスト高なのだろうか?また、デフォルトではフラッシュ使用時ではスローシャッターは1/60まで、フラッシュ発光禁止時には1/8までしか切れないようになっているのだが、この最長を変更できるモードがある。こういうのも分かっている方が使うと生きる渋い機能だ。
 一方、本カメラはいわゆるシーンモードを搭載していない。きめ細かい設定ができるが、それには階層メニューを掘り下げる必要がある。例えばISO感度の設定を行いたい場合、まず撮影モードからMENUボタンを押下して、十字キーの右を押下して「画質設定」を選択する。その後、「設定」を「OFF」から「ユーザ設定1」若しくは「ユーザー設定2」を選択し、「ISO」にカーソルを移してから任意の感度を選択するのだ。同じフィルムメーカーのフジのファインピクスはそういった設定はわかり安く工夫してある。尤も、フジのデジカメは上位機種で無い限り最低限の機能しか搭載していないが。頻繁に使う機能としてはマクロモードがあって、これは十字キーの左側を押下することで通常モード>マクロモード>遠景>セルフタイマー>セルフタイマー付きマクロモード>セルフタイマー付き遠景と多段階に遷移する。
                ☆           ☆
 本カメラは硬派なカメラである。登場時は普及モデルが300万画素級から400万画素級に移行しようかという時期で、500万画素級の本カメラは普及モデルとは一線を画する。無骨なデザインや左開きのレンズカバーに眼がいき、本カメラの持つきめ細かい撮影時のチューニングはなかなか分かり辛いものだが実力は充分である。しかし、ボタンと小さな十字キーの操作系を持つ本カメラは、シーンモードダイヤルで細かい設定のできないオートカメラに比べるとやや敷居が高かったのかもしれないな。
 撮影してこれはどうもと思ったのは本カメラは中央重点測光かスポット測光しか選択できず、分割パターン測光ができないのである。なので被写体の位置によって露出が大きく変わり、中央にある被写体の露出はベストでも背景の空が飛んでしまう場合が多くあった。但し、ラチュードが狭いとは思わない。焼き物の街、常滑で撮影したが滑らかな陶器の室権の再現も充分である。また、感度がAUTOに設定してある場合、画質を優先するせいか感度をゲインアップすることはせず、平気でF2.8で1/16と手ブレやピントにシビアな露出になる。
 このような特徴は本カメラの多彩な機能を隠す物ではない。露光という撮影に重要なポイントを理解できれば確実にハイクオリティの画像を写すことができる。熟練者や硬派な方に使って欲しいカメラだ。

 では、撮影結果を見て頂きたい。

(了:2010/2/12)

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