日立リビングサプライ i.mega HDC−1について


HDC1

二流SFチックな外観が好感触

☆ジャンク度☆
不具合なし
撮影可能


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 スライド式電源スイッチ。
 レンズにはカバーガラス(?)付き。

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 日立リビングサプライのトイデジカメシリーズ「i.mega」。

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 レンズはマクロモード付き固定焦点。


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 小型だが無駄にボリュームがある。


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 勿論、中国製。


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 安っぽいフォントがいい。


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 常識的な操作系。
 意外と液晶ビュワーも見やすい。

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 記録媒体はSDカード。

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 フラッシュ装備。

 日立と言えば我々が想像するのが「世界不思議発見」で登場する「この木何の木」だろう。東芝と言えばサザエさんと同じ次第である。「世界不思議発見」で実際に不思議なのは、あのミステリーハンターのちょっと強そうなお姉さんである。彼女は拙僧がティーンエイジの頃からミステリーハンターだった。あれからもう20年も経つのに未だに南米のジャングル深くまでご活躍なさる姿は惚れてしまう。拙僧はこの種の年上女性に弱いのだ。それはともかく、そのくらい不思議なのは本カメラの販売元である日立リビングサプライという会社である。日立のグループ企業なのは確かなのだが、どうも日立系の企業で製造したものではないものを企画・販売しているらしい。つまり大陸あたりの値ごろな簡易デジカメを自社ブラントで国内デビューさせたのが本カメラということなのだろう。ちなみに本カメラは北米では例によってビビターブランドで発売されている。日本だと日立の響きが良いが、ビビターの方が北米のロワー層には響くだろうし、貧乏なワスプの連中に手の届くのはこのあたりの価格帯がせいぜいだっただろう。この会社が本カメラの発売元としてデジカメ戦記に記載されたのは2002年12月である。
 固定焦点だがマクロモード付きで液晶ビュワーを搭載し、交換式記録媒体であることがイニシアティブとしてその辺に転がっているトイデジカメと差別化を図っている。SDカードを採用したのは先見の明があった。フジの標準記録媒体がスマートメディアからやっとxDピクチャーカードに変更になったころの話である。公式HPも気を吐いているのだが、実際はよくできたおもちゃデジカメにしか過ぎない。新世紀になって一年もたつ頃に、このようなカメラが1万円台中盤であったのに驚くが、まだまだちゃんとしたデジカメは高かったのだろう。表現としてトイデジカメを選択する時代ではない。日立リビングサプライからは「i.mega」として高画素化したトイデジカメがシリーズ化されている。300万画素級のHDC−303Xもその一つである。拙僧の記憶の限りでは800万画素級のものも存在した。今でもトイデジカメというジャンルは確立しているが「i.mega」シリーズがどうなったかはわからない。案外、地方のホームセンターで現役かもしれないな。
            ☆           ☆
 ボディは「もし、携帯電話が単三電池で駆動したらこの位になるだろう」という程度でコンパクトである。AFユニットも無いのだからコンパクトでないと困る。妙にSFチックなツートンカラーのエグいデザインだが、むしろ高級路線を目指していない態度は好感触である。この点、ポラロイドPDC2070は金属外装に未練がみられる。受光素子は130万画素級で例の保管処理にて200万画素級相当になるモードを搭載している。ビビターのブツを見る限りではモロに「200M」と書いたステッカーが張ってあるのだが、ああいうのは誇張広告として北米では問題にならないのだろうか?レンズはライカ判相当で52mmF3.5と頑張っていない感じである。勿論、固定焦点(パンフォーカス)だがマクロモード付きである。マクロモードは15〜20cmまでの被写体にピントが合うようになっている。当然ながら液晶ビュワーでピントを確認するのは不可能なので、実際に合っているかどうかはPCに転送するまでわからない。トイデジカメらしく内蔵メモリを8MB内蔵している。電源は単三電池2本で駆動するため、それなりに幅があるがカメラとすればこの位の大きさが適度であろう。HDC−303Xでは単四電池2本を使用するため、幅は飛躍的に薄くなったが電池周りの運用面は後退した。
 起動はレンズバリアのスライドにて行う。なかなかスマートな演出だろう。ビジーランプが点灯して撮影可能状態になるまで4秒強かかるが、この世代の廉価デジカメと比べて特に遅いとは思わない。フラッシュチャージにはうんざりするほど時間が掛かるが、幸いフラッシュモードは覚えているのイライラさせられることは避けられる。液晶ビュワーはクラスにしては見やすい。粒子は荒いがフラッシュレートも悪くないようで追随も良好である。ピントのエッジを確認できるほどではないが、それは取り立てて欠点ではないだろう。晴天下でも真っ黒になることはない。ちょっと違和感を覚えるのが撮影枚数がデジカメで標準的な減算でなく加算であることだ。フィルムカメラでは常識的だが、デジカメだとあと何枚撮影できるかを表示するのが生理的で良い。一応、撮影可能枚数はバー式のインディケーターに表示されるのだが、現在であれば1GBのSDカードが廉価に余っている時代だから130万画素級の本カメラの残り撮影可能枚数を気にすることは皆無だろう。
 操作系は撮影・再生モードを切り替えるコマンドダイヤルとセンター付き十字キーに2サブボタンの組み合わせである。サブボタンにはフラッシュモードが独立して割り当てられていて、数倍の価格帯のノーマルデジカメに見習わせたい使い勝手の良さである。コマンドダイヤルには「PCカメラモード」「スチル撮影モード」「再生モード」「ムービー撮影モード」「セットアップモード」が割り当てられている。普通のデジカメ然とした顔をしているのもいいが、面倒なシーンモードがないのが好意を持てる。十字キーは「スチル撮影モード」ではデジタルズームを担当する。不思議なのがレリーズボタン半押しで中央部にフォーカスエリアのようなカーソルを表示するのだ。本カメラはAFロックどころかAEロックもできないから機能的にというよりはフィーリングということなのだろう。「ムービー撮影モード」でもズームはできないが、「再生モード」でもズームはできない。なのでマクロ撮影モードでちゃんとピントが合っているかどうかは確認できないということになる。「セットアップモード」では解像度(画素数)や画質、セルフタイマーの設定を行うが、これらは「スチル撮影モード」でも十字キーのセンター押下で切り替えることができる。これは中々スマートな操作系と言えよう。
 本カメラの素性である「おもちゃデジカメ」を痛感させられるのはレリーズボタンを押下した直後である。レリーズボタン押下後2秒後に液晶ビュワーはブラックアウトし、7秒後に撮影画像をプレビューするまで回復しない。このレスポンスの遅さは実用に難ありである。と思ってセットアップを確認したら200万画素級の保管モードで撮影していた。130万画素級モードでは3秒ほどで復帰する。それでも実際にシャッターが切れるのはレリーズ2秒後なのだけれども、これが使えるか使えないかは本質的にトイデジカメが体に合うか合わないかということなのだろう。もっとも、並以下のサンピントイデジカメのようにレリーズ後にカメラが動いたからと言って、AVOXのようにそうそうぐにゃりと曲がった画像にはならない。ならなくはないのだがその危険性は少ない。逆に言うとそういう効果をトイデジカメに求める方には期待に沿えないカメラである。
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 本カメラはトイデジカメである。工夫してノーマルデジカメの体をなしているが、出来具合はトイデジカメのものだ。この一線を越えることができたのが、ノーマルデジカメをスリムアップして簡素・廉価化したフジのファインピクスA201である。これは限定的ながらノーマルデジカメに拮抗する画像を得ることができる。
 今やとりえの無いと思いきや、案外ネットオークションで引き取り手が見つかるから、そういう需要はあるのだ。

   では、撮影結果を見て下さい。

(了:2010/11/5)

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