フジフィルム ファインピクスS605について


FinepixS605

大口径光学6倍ズームレンズのパワーを感じさせる力強いルックス

☆ジャンク度☆
不具合なし
撮影可能


FinepixS605 FinepixS605
 ロミュランのバードオブプレイとして立派に通用する未来デザイン。


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 トップビューも実に頼もしい。
 自慢のフジノン銘の光学6倍ズームレンズ。


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 電源ONにてレンズが伸長する。


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 リトラクタブルで稼働状態になるフラッシュ。
 無論、勝手にひかるような無粋はしない。


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 電池収納を兼ねた効果的なグリップ。


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 マルチモードにホットシューを搭載し、本格的な作画撮影にも耐える。


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 本格的なMF撮影にも対応できるように、フォーカスリングを搭載している。


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 比較的高品位の液晶ビュワーを搭載しているが、本カメラの具骨頂はEVFだろう。


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 操作系は当時のファインピクスの標準的な物である。


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 記録媒体はスマートメディアとコンパクトフラッシュの併用。
 電源は単三型電池で汎用性が高い。

 本カメラの登場は2002年4月。この頃、フジフィルムのデジカメであるファインピクスシリーズの命名規則が変わった。本カメラの冠したSシリーズは一眼レフデジカメに次ぐ高級カメラとして位置付けられている。まだまだ、一般的なコンシューマー層にデジタル一眼レフカメラは届かない頃だったから、実質上のフラグシップである。小回りや航続性能に制約がある戦艦に対し、外洋の植民地での作戦に堪える重巡洋艦といったところか。系列的にはファインピクス4900Z/6900ZのEVF+高性能光学6倍ズームレンズ搭載機である。新世代になった本カメラの大きな変更点は、1つは電源が専用電池から単三型電池4本への変更であり、1つがマニアル撮影に対するユーザインターフェイスの効率化である。ファインピクス4900/6900Zは、豊富なマニアル機能を生かすにも、インターフェイス周りに、イマイチ煮え切らないものがあった。
              ☆              ☆
 グラマラスで近代的なルックスはブラックを基調としたカラーリングで質感も高い。外装は樹脂製で金属系ボディではないのだが、なかなかいい線をいっていると思う。アウトラインはファインピクス4900/6900では比較的シンプルな直線と円の組み合わせだったが、背面からグリップに繋がるラインなど有機的なイメージを描いている。どこか基本的には男子カメラなのだが、背部に女性的な印象を受ける。電源である単三型電池4本を格納したグリップは効果的で、重量級のレンズに取り回しの悪さを感じない。
 撮像素子は300万画素級である。例のフジフィルム肝いりのハニカムCCDで、記録画像は600万画素級に達する。本稿ではハニカムCCDにてついての多言は避ける。補完した600万画素級の画像がピュアな300万画素級の画像に比べて、どのくらい画質が向上しているのか拙僧の目では良くわからない。ただ、その辺を忘れても、豊かでつやのある美しい発色と高感度の対応で高評価を受けていた。高感度と言ってもISO800/1600程度だが、当時はこの位のレンジが使う物になるカメラは少なかったのだ。この撮像素子に明るい光学6倍ズームレンズを組み合わせる。焦点距離はライカ判換算で35〜210mmF2.8〜3.1で戦闘力は十分だろう。丁度1年前にコンパクトカメラに高倍率ズームレンズを組み合わせ、新しいジャンルを開拓したオリンパスのC−700UZが登場している。もっとも、本カメラの源流となったファインピクス4900は2000年9月の登場だから追随したとは言えないだろう。それに、オリンパスやパナソニックのルミックスDMC−FZ1はズームレンズの倍率は高いが、カメラとしての格は本カメラの方が上であり、競合は限定的であろう。ボディマスも大き目だし、本カメラの方がクラスが上である。
 実際に使ってみよう。電源はグリップ状のレリーズボタンと同軸のレバーで行う。OFFと再生と撮影を切り替えるが、自然な配置で違和感はない。レンズが伸長し、撮影可能状態に至るまで4秒弱かかるが、標準的なレスポンスであろう。インナーズームなのでズーミングを行ってもレンズ長は変わらない。ズーミングは背面のシーソーボタンで行う。ファインピクス4900は鏡筒にもズーミングボタンが有ったが、あまり使いやすい物ではなかったので1つにまとめた方が混乱しなくてよい。本カメラの感心するのはレスポンスの速さだ。同時にルミックスDMC−FZ2で撮像したのだが、レリーズ後の記録は記録までのレスポンスは同じような物だが、フォーカシングは明らかに本カメラの方が速い。 速い。本カメラはフジフィルムのいうハイスピードツインAFを搭載しており、一般のコンパクトデジカメで採用するコントラストAFの他に、外光パッシブ位相差AFを搭載している。拙僧は正確に把握している訳ではないが、被写体までの距離がある一定までは外光パッシブ位相差AFが効いて迅速なフォーカシングが可能なのだろう。本カメラはマニアル機能の豊富が売りだからMFも可能である。鏡筒にはそれらしい操作リングを備えているが、EVFも背部液晶モニターもそこまで精度は高くないから、よほど慣れた方でないと、効果的に利用するのは難しいだろうな。本カメラは手振れ補正機構などは付いていないが、明るいズームレンズを搭載しているので十分に腕でカバーできる。サイコミュに頼らなければ戦争が出来ない方にはお勧めは出来ないが。
              ☆              ☆
 この頃のフジフィルムの特徴である柔らかな諧調や穏やかな発色は本カメラでも踏襲している。絵作りで不満になることは無いだろう。明るい光学6倍ズームレンズも効果を発するはずだ。
 当時のファインピクスシリーズの問題点は信頼性の低さなのだが、不思議と本カメラで問題を抱えた個体は少ない(ジャンクで出てこない)。安いカメラではなかったが、それなりにしっかりした作りだったのだろう。

   では、撮影結果(名古屋散歩編)を見て下さい。

(了:2012/4/8)

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