フジフィルム ファインピクスF700について


FinepixF700
縦型、スクエアのスタイリングを発揮してきたファインピクスに横型が登場。

☆ジャンク度☆
CCD不良(交換済み)
撮影可能


FinepixF700 FinepixF700
 スーパーEBCフジノンを冠した光学3倍ズームレンズを搭載。
 レンジはライカ判換算で35〜105mmF2.8〜4.9。


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 小型のグリップもそこそこ効果的。


FinepixF700 FinepixF700
 マルチモードAEを搭載し、作画派に応える。


FinepixF700 FinepixF700
 操作系は標準。


FinepixF700 FinepixF700
 液晶ビュワーの見え具合は明るくて良い。
 ファインピクスの特徴である「F」ショートカットキーを装備。


FinepixF700 FinepixF700
   本カメラの弱点は持ちが悪いバッテリーと記録媒体である。 
 ペンタックスや東芝も採用したNP−40だが、持ちは悪いし、すぐ膨らんで使用不能になる。 
 そういう意味では光学ファインダーの搭載は救いになるかもしれない。
 xDピクチャーカードの不便さは、語るまでもない。

 本カメラの登場は2003年9月である。しかし、そもそもは同年の2月だった。ライフサイクルの短いコンパクトデジカメで7か月というのは致命的だろう。なんでそんなに遅れたのかというと、本カメラは他のファインピクスとは一線を画す、特徴的な撮像素子を搭載するのだ。
 その撮像素子は「スーパーCCDハニカムSR」である。これは高感度用のS素子と低感度用のR素子を組み合わせたもので、フジフィルムの言うところの「ダイナミックレンジを4倍に広げ、白とび・黒つぶれといった現象に強い、限りなく銀塩フィルムの領域に近づいたCCD」を実現している。実際にはS素子の方が遥かに面積が広いので、R素子は副次的に補う役目のようだ。つまり、当時のデジカメはダイナミクスレンジ(ラチュード)はフィルムに対してまだまだだったのだ。同様に高感度も苦手であった。当時のフジフィルムはファインピクスF401の実用になる(当時)ISO1600を搭載など、高感度を売りにしていた。尤も、本カメラが設定できるISO1600モードでは撮影画像は100万画素急に制限する。フルサイズで使おうとするとISO800が限界である。
              ☆              ☆
 では、本カメラを使ってみよう。フジフィルムは縦型のスタイリングのファインピクス700や、スクエア型のスタイリングのファインピクスF401で気を吐いていたが、本カメラでは横型を採用している。横型のスタイリングはサイバーショットPシリーズキャプリオGシリーズなど珍しくないが、大抵の場合はレンズが端に寄っている。本カメラのようにセンターにレンズを配置するのは珍しい。お蔭で横型スタイリングが特に特徴的になっている。表面はヘアライン仕上げになっていて、そこそこ美しい。
 撮像素子は600万画素級で、光学3倍ズームレンズの組み合わせである。600万画素級と言っても、300万画素級のS素子とR素子の組み合わせである。レンズはマクロモードで9cmまで寄れるが、焦点距離がワイド側に固定してしまうので、あまり感心したものではない。普及カメラと一線を画しているのは、絞り優先AEやシャッター速度優先AEなど、マルチモードAEを搭載するのだ。こういうのは作画派の方には福音であろう。しかも、RAWモードでも撮影できる。拙僧は面倒なので使ったことはないが、RAW信仰者には響くであろう。
 電源ONはボディ上面のスライドスイッチにて行う。フォーリングは硬いが、勝手に動いてしまわない為にはよい事だろう。撮影モードはボディ上面のダイヤルで行うが、マルチモードAE+マニアル・オートの他、4種類のシーンモードを搭載する。ダイヤルには4種類のアイコンを表示しているが、実際にはそこまではモードダイヤルは回らない。「SP」というポジションが存在し、その位置でメニューから撮影モードを選択する。
 ボディ背面にはブルー時の「F」ボタンを用意している。これは一種のショートカットキーであり、画素数モードやISO感度を設定できる。感心できないのはデフォルトでは100万画素モードなのだ。折角の600万画素級撮像素子を搭載し、それに魅かれた購入する方々がコアなユーザーであるから、何だか騙されてい様な気分になる。
 その撮像素子の出来だが、夕暮れなどはとても美しく再現する。しかし、本当に暗くなり、街灯の明かりに頼る様な暗さになると、画質は一気に悪化する。これは高感度モードだからノイズが走るというレベルではない。そもそも、AFが合わない。液晶ビュワーでは確認できないので、あとでがっかりすることになる。本カメラは薄暗い程度の暮されはパフォーマンスを発揮するが、光源が限定される夜間だと使うのは難しいと結論せざるを得ない。
              ☆              ☆
 夜間は撮影できないと決めてしまえば、それほど不快なカメラではない。発色は抑え気味であるが、これは好印象だ。本カメラが7か月も発売が遅れてしまったのは、この「スーパーCCDハニカムSR」のチューニングに手間取ったのではと思われる。結局この撮像素子は、マイナーチェンジ版のファインピクスF710が採用しただけで、途絶えてしまった。
 おまけに、この撮像素子は不良が多く、リコールの対象にもなっている。鳴物入りで登場した割には、運に恵まれなかったな。

   では、撮影結果(夜桜編)を見て下さい。

(了:2012/12/25)

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