フジフィルム ファインピクスF610について


FinepixF610
ファインピクス伝統の縦型スタイルを継承する。

☆ジャンク度☆
不具合なし
撮影可能


FinepixF610 FinepixF610
 スーパーEBCフジノンを冠した光学3倍ズームレンズを搭載。
 レンジはライカ判換算で35〜105mmF2.8〜4.9


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 時代的に光学ビューファインダーも搭載。


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 ヘアラインが美しいフロントパネル。


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 リトラクタブルで稼働状態になるフラッシュ。
 勝手にひかるような無粋はしないのが立派。


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 特徴的な縦型ボディだが、ホールディングはイマイチ。


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 最も特徴的なのはデュアル液晶ビュワーであろう。


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 ファンクションボタンでメニューをショートカット。


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 ボタン類のタッチングは良好である。


FinepixF610
 本カメラの弱点は持ちが悪いバッテリーと記録媒体である。 
 ペンタックスや東芝も採用したNP−40だが、持ちは悪いし、すぐ膨らんで使用不能になる。 
 xDピクチャーカードの不便さは、語るまでもない。

 本カメラの登場は2004年1月である。本カメラの大きな特徴は3つである。まずは有効画素数630万画素級でありながら、ハニカム処理にて1200万画素級画像を撮影する撮像素子と画像処理。次に1998年に登場したフィルムカメラの代用品として使用可能と言われた、画期的なファインピクス700の伝統的な縦型スタイルを継承。もう一つはモノクロ液晶パネルを組み合わせたデュアル液晶ディスプレイである。この3つを掘り下げながら、本カメラを紹介させていただきたい。
              ☆              ☆
 まずは撮像素子である。フジフィルム伝統のハニカム撮像素子は「スーパーCCDハニカムHR」に進化した。これにライカ判換算で35〜105mmF2.8〜4.9のスーパーEBCフジノンズームレンズを組み合わせる。なんだか、ちょっと「スーパー」の冠が安っぽいな。630万画素級の撮像素子ながら1200万画素級の撮影画像を得るには、フジフィルムの言うところの「ハニカム補完」を行う。この「ハニカム補完」に関して詳細な説明をしたコンテンツを発見することができなかったのだが、これはファインピクス4700Zと同様に隣り合う撮像素子から補正したデータを算出するのだろう。ファインピクス4700Zでは「何となく綺麗な気がする」という程度だったが、本カメラに至っては1200万画素級モードのアドバンテージは明確であるそうだ。なんでも、発表時にフジフィルムが新聞を拡大した画像を比較していたそうである。拙僧はブログやコンテンツ掲載目的なので1200万画素もデータがあったら不便なので使っていない。むしろ、この撮像素子のスイーティな点はISO800モードが存在することだ。ちょっとノイジーでカラーバランスが変ではあるが、当時としては実用的なレベルにある。これで広角側がF2.8と明るいから、かなり暗い場所でも撮影が可能だ。ただ、後述するように特徴的なスタイリングはホールディングには貢献しない。 
 前述のように縦型スタイリングはファインピクスのスタンダードモデルが伝統的に継承してきた。ファインピクス700が登場した時には、そのフィルムカメラでは実現できないスタイルングが目新しかったが、一方で弊害も認識されつつあった。つまり、ホールディングがイマイチなのである。操作系は良く考えられていて右手で殆どの操作が可能なのだが、左手の操作性が問題なのだ。カメラをブラさないためには両手で保持するのが効果的である。左手でビューファインダーやレンズを邪魔しないように支える為には上下に摘まむのが一番安定するのだが、これは指の短い女性にはちょと辛いだろう。これで右手側にグリップでもあれば左手は添える程度でも良いのだろうが、スタイリッシュを重点とした結果、縦に指が引っかかる程度の突起を設けただけである。ちょっと指を滑らせたらアウトなので、必ずストラップを手首に通す必要があるな。
 拙僧から言わせると、本カメラの最大の特徴で関心深いのは液晶ビュワーの下に設けたモノクロ液晶パネルである。旧世紀のデジカメはメインの液晶ビュワーの他に撮影枚数やマクロモードを表示するモノクロ液晶パネルを設けるケースが多かった。それは、旧世紀のデジカメがパワーを要したのに対し、バッテリーのパワーが不足したために、液晶ビュワーを消してバッテリー消耗を防ぎ、ビューファインダーで撮影するスタイルが存在したのだ。しかし、バッテリー事情が改善し、本カメラの登場した2004年では殆どのカメラはモノクロ液晶パネルを排していたし、ビューファインダーだって省略したカメラが主流になりつつあった。そんな中での本カメラのモノクロ液晶パネルは異彩を放っている。いや、実際、鮮やかなブルーのバックライトの輝きは、否が応でも目立つものだ。
 モノクロ液晶パネルに表示するアイコンは、その下に設けたボタンで操作する。撮影時に表示するのは「フラッシュモード」「マクロモード」「連射モード」「露出モード」である。「露出モード」では、なんとプログラムAEの他にもシャッター速度優先AEと絞り優先AE、更にマニアル露出が選択できる。なかなか本格的な撮影が可能だ。但し、その操作性はイマイチである。まず、「露出モード」を押下し、サイクリックでシャッター速度優先AEモードなり、絞り優先AEなりを選択する。次に、ボディ上部の十字キーの右を押下し、モノクロ液晶パネルの表示を遷移する。すると、最も右側のボタンが「−」、2番目のボタンが「+」になる。これを押下することによってシャッター速度なり、絞りなりを任意に設定するのだ。個人的には十字キーの左右で数値がシフトした方が楽だと思うのだが。また、当時のファインピクスの例に従って、本カメラには「F」ボタンを設けている。これはファインクションボタンであり、押下するとモノクロ液晶パネルが「画素数」「ISO感度」「スタンダード/クローム/B&W」のアイコンを表示し、各設定を行うことが出来る。一見、便利なようだが、これもサイクリックなボタンの押下によって設定を行うのだが、素直に十字キーを使った方が便利な気もするな。 
              ☆              ☆
 使い勝手には何かと不便もあるのだが、2004年初頭に登場したデジカメとしてはレスポンスも良く、レンズも良いせいか下手な1000万画素級コンパクトデジカメに比べても良好な画像を撮影する。AFもあてになり、ISO感度を上げ気味にすればブレも減じて近代の戦闘に堪えるだろう。ボタン類の節度も十分であり、当時実売6万円也の満足な作りこみである。
 よい事ばかりではない縦型スタイルのボディだが、今では消滅したジャンルでもあり、懐かしさも含めて楽しみたい。

   では、撮影結果(名古屋散歩編)を見て下さい。

(了:2012/11/23)

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