フジフィルム ファインピクス700について


Finepix700
縦型ファインピクスシリーズのパイオニアである

☆ジャンク度☆
不具合なし
撮影可能


Finepix700 Finepix700
 レンズはライカ判換算で35mmの短焦点。
 150万画素級の高画質デジカメとして市場を沸かした。


Finepix700
 専用リチウム電池を使用。世紀を跨いで今だに「生きている」のは素晴らしい。


Finepix700 Finepix700
 ボディ上部にマクロモードとフラッシュモードの切り替えスイッチが配置される。
 カラー液晶ビュワーの他に7セグメントのモノクロ液晶パネルを装備しているのが時代を感じさせるな。


Finepix700 Finepix700
 このリング式スライドスイッチと十字キーの組み合わせはファインピクス1500に踏襲されていく。
 起動スイッチをスライドさせて電源オン。まだまだ、起動時に液晶ビュワーはオフがデフォルトの時代の代物だ。


Finepix700
 したがって、この頼りない光学ファインダーを活用する。


Finepix700
 この時代、スマートメディアは未来を託されていた。
 

 1998年初頭。ファインピクス700の登場は、当時カメラ人民として覚醒していなかった拙僧の耳にも届いた。そりゃあ、オリンパスのC−1400Lみたいな130万画素級の革新的なデジカメは登場していたけれども、まだまだ仕様がつめきれていなかったり結構な価格帯だったりして、デジカメと言えば35万画素級のハッキリしない画像を作り出す大柄で不細工な石鹸箱というのが普通の市場の大方の認識であったのだ。そんな時代において、カメラデザインは横型という既存のイメージを払拭したスマートな縦型のデザイン。品の有る金属性外装。コンパクトなボディサイズとそれを実現させた専用リチウム電池。何より、150万画素級の高画質な画像を作り出す受光素子。それらを備えた本カメラの出現に業界やコンシューマーは沸いたようだ。他社と言えば、デジカメ市場を開拓していたカシオなんて同時期に35万画素級で内臓メモリのQV−770なんていうQV−10から半歩しか前進していないデジカメを発表していたのだからのんきなものだ。拙僧の記憶では藤原紀香が中国市場向けに起用されていた気がするのだけれども、それはもう少し後のことだったかなあ。何れにしろ、陣内智則なんて影も形も存在しなかった頃の話である。
                  ☆              ☆
 さて、時代は2003年へぐっと飛ぶ。多分、1月の前半だ。拙僧のとろけた脳でも覚えているのは、その年の1月の後半には北京へ渡り、3月にはカナダへ旅立ったからだ。その僅かな日本の滞在期間に中古カメラ同盟の先輩諸氏と中野巡礼へ向かったのだ。勿論、御神体はフジヤカメラのジャンク館に有る。拙僧の記憶が正しければ、暗闇が辺りを覆う時間帯、既に戦闘は始まっていた。銃弾の飛び交う中、向かうジャンク籠には旧タイプデジカメが付属品一式袋に詰められ、3000円均一のプライスタグを貼られて押し込まれていた。いや、拙僧は冷静だった。よく見ると付属品に欠品があるものも有ったのだ。例えばバッテリーが欠品だったら、それはバッテリーの方が遥かに高額であろう事は当時デジカメ事情に詳しくなかった拙僧にも良く分かったから、兎に角、付属品に欠品が無いものを選んだ。そして手にしたのがファインピクス700だったのである。その金属製ボディは拙僧を悦に引き込むのには充分だった。それに、当時は拙僧もまだまだまっとうなカメラ人民だったから、デジカメはパワーショットA10しか持っていなかったから、新たな戦力に色めきたった。パワーショットA10は130万画素で本カメラは150万画素だから、そのパワーにも関心があった。ところが、充電が終わって電源を投入するも、液晶ビュワーが砂の嵐なのである。なんと、液晶ビュワーが不良品の完全ジャンクものだったのである。なんてこった、がっかりである。だが、よく眺めるとボディ上部のモノクロ液晶パネルはちゃんと撮影可能枚数を表示しているのである。フラッシュモードボタンを押すと、それに応じてモノクロ液晶パネルのフラッシュモードイメージも切り替わる。試しにレリーズしてみると、確かに撮影した感覚があり撮影可能枚数が1枚分減っていた。これはと思い、ケーブルをTVに接続すると撮影した画像を表示した。そのカメラは確かに液晶ビュワーは不良品だったのだけれども、とりあえず撮影は可能だったのだ。諸設定を行う場合にTVに接続しなければならないのは面倒だけれども、そうは変更する必要は無いし、撮影には光学ファインダーを使えばいいだけの話しだ。拙僧は気を取り直した。早速、スマートメディアを買い足してカードリーダーも買った。現在の目線で見返せば可愛いものだけれども、当時は新しい可能性を手に入れた気分で充実していたのである。ファインピクス700の初号機の就役である。
 ジャンク物の初号機であったがそれなりに謳歌した。画質は21世紀デジカメのパワーショットA10と比べたら何ということは無いけれども、縦型の独特のフォールディングや、立体感の無い絵作りがなかなか気に入ってしまったのだ。それにぱさぱさした色再現が妙につぼにはまって被写体を引き立てる時があるのである。困ったのがマクロ撮影時で、マクロモードに設定すると自動的に液晶ビュワーがオンになるのだけれど、それは本来は理に適った使用なのだけれども、拙僧の初号機は液晶ビュワーが不良なので役に立たないのだ。まあ、これは拙僧の固体の問題でファインピクス700の欠点ではないのだけれども、マクロ撮影はあてにならない光学ファインダーで行うため、成功率は低かった。けれども、成功した画像は満足な物であった。
 そんな訳で不都合はあるものの気に入っていたカメラだったから、カナダへ向かう際には持っていった。しかし、その新天地のカナダのバンクーバーで初号機は他の複数のカメラやノートパソコンと一緒に盗まれてしまう。くず共ときたら脳が足りないからジャンクのファインピクス700でも高価に見えたのだろう。パワーショットA10は無事だった。それにACアダプターも盗まれていなかったから、あの初号機はバッテリーが切れたら使い物にならなくなるわけだ。ノースパークの頭の足りない連中が少しでもしまったと思えばいい気味である。しかし、あの初号機には32MBのスマートメディアが刺さっていたから、あれは惜しいなあ。拙僧のコンテンツは端々で北米嫌いを書き漏らしているのだけれども、この件に限らずカナダ生活では不快な出来事が多すぎた。例えば、自転車で走っているだけで自動車に乗った白人の子供に林檎の芯を投げつけられるとか。お陰で鬱を3年も引きずる羽目になってしまいましたな。
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 散々な目にあって日本に逃げ帰ったときには、もう友人の顔も見たくない気分であった。なので東京ではなく、三河に居を構える事にした。まあ、それで鬱に悩まされている話は別の頁で綴ってあるので割愛するとして、縦型のファインピクスが欲しいと言う欲求は心の奥底に燻り続けていた。勿論、それを手に入れることで、あの屈辱的な記憶が払拭できるとは思っていなかったのだけれども、あの独特のデザインはやっぱり惹かれるものがあったのである。幸い、手元にはACアダプターとカードリーダーが残っているので、ボディのみのジャンクが手に入れば事は足りると思われたのである。問題は、既に8年近くが経過したバッテリーが生きているものなのかなのだけれども、これは手に入れてみないと解らない。何しろヒット商品だったから、縦型のファインピクスをジャンク籠で見かけることは、それ程珍しいことではなかった。しかし、購入後に動作チェックをしたら完全にジャンクだったり、ボディだけでバッテリーが無かったり、程度が良さそうな物が見つかってもたまたま他の欲求密度が高い物件が有って、そっちを優先させたら後日には無くなっていたりして、なかなか手に入らなかったのである。
 そして、三河に住み始めてから早3年。とうとう手に入れたのが完動品のファインピクス1700Zである。これはファインピクス700から正常進化した3倍ズーム搭載の縦型のファインピクスだ。ところが、皮肉な物でそれから堰を切ったように次々と縦型のファインピクスが手元に集まってきた。まずファインピクス4700Z。次にファインピクス1700Zがもう一台。そしてファインピクス700である。やっと、ここまで辿り着いたよ。今度こそ液晶ビュワーも正常の完動品だ。長い道のりだったなあ。キタムラのジャンク籠にて500円也。
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 まず、感心したのがバッテリーが生きていたことだ。8年も前の充電式リチウム電池で少なくても液晶ビュワーを使用して70枚以上は撮影できるのだから大したものだろう。ずーと、後に発売されたコニカKD−300Zは爪の垢でも煎じて飲んで欲しい。もっとも、充電には7時間位かかるので、その点は覚悟した方が良いだろう。
 久しぶりに手にとって見るとコンパクトで梨地加工された金属外装が手に良い。勿論、2006年の現在においては全然コンパクトなデジカメとは言えないけれども、拙僧ときたら今だに一番稼働率が高いデジカメはパワーショットA10なので、これでもコンパクトなのだ。全く、なにも進歩していないな、我ながら呆れる。実は縦型のファインピクスは、そのルックスに惹かれるものは有るのだけれども、フォールディングは良くない。梨地加工された金属外装もあまり効果は無く、ストラップをしっかり手首に巻いていないと滑り落としてしまうのではと不安に感じる程だ。電源をオンしてびっくりしてしまうのは、その起動時間の遅さだ。ボディ上部の7セグメントのモノクロ液晶パネルに撮影可能枚数が表示されると撮影可能状態になるが、電源投入から確実に8〜10秒はかかる。もっとも、この際に液晶ビュワーにフジフィルムのロゴが表示されるのだけれども、初号機では見ることの出来なかった映像なのでちょっと感激してしまったな。撮影/再生モード切替にもかなりの時間がかかるので覚悟が必要だ。また、その際にはフラッシュモード等は一切忘れてしまうので、フラッシュを焚きたくないスナップ撮影では注意が必要だろう。AF合焦にもそれなりにスローだけれども、これは銀塩コンパクトカメラと比べて致命的に遅いとは思わない。それより、合焦時に液晶ビュワーが真っ黒になってしまうのは如何な物かと思う。いや、真っ黒になってしまうのはまだいいのだけれども、それで撮れてると勘違いしてしまうのだ。シャッターが切れた場合は、液晶ビュワーが真っ黒になった後に撮影画像が表示されるので、それを確認する必要がある。液晶ビュワーが真っ黒になっただけで、撮影が完了したと勘違いしがちなので注意が必要だ、まあ、人間さんが気をつければいいのかもしれないけれども、気になる点ではある。画像の記録にもかなり時間がかかるが、撮影画像のプレビューだと思えば大した問題だとは感じない。
 伝統的にフジのデジカメの撮影モードはマニアル撮影モードとオート撮影モードの2種類が存在する。この伝統はファインピクスシリーズが登場する前のクリップイットシリーズから継承されているが、いつ頃に途絶えたのかは不明だ。拙僧の手持ちではDS−20にも踏襲されている。オート撮影モードでは画質のクオリティ位しか設定できないけど、マニアル撮影モードではホワイトバランスや露出補正、フラッシュの発光補正等の諸設定が可能である。任意の露出やフォーカスの調整は出来ない。伝統的にフジのデジカメはマニアル撮影モードで撮影すると撮影画像のプレビューと共に表示画像を記録の是非をいちいち聞いてくる(実行ボタンを押すと記録する)。初号機の時は液晶ビュワーが不良なこともあって鬱陶しいと思ったのだけれども、拙僧などは撮影画像はちゃんと確認したいのであまり面倒だと思わなくなってしまった。こういうのはクラシックデジカメに体が慣れてしまったと言えなくも無いわけで、あんまり良い傾向だとは思えないな。
 肝心の画質については撮影結果の項で触れさせて頂くとして、感心したのがバッテリーが持つことだ。1回の充電で液晶ビュワーを使用して70枚以上撮影できたのは(多分、100枚以上撮影できただろう)、8年も前に登場したデジカメのバッテリーとしては天晴れだと思う。ただ、放電はかなり早いので使用する場合は事前の充電が必要であろう。何でも追加充電が可能なタイプらしいので心強いな。気になるのはレンズカバーが内蔵されていないのに加えて、構造上キャップも使用できないので不安ではある。拙僧などはレンズに指紋が付いていても、息を吹きかけてYシャツの袖で拭いてしまうけど、光学メーカーに勤務していた友人に言わせるとやすりをかけているようなものらしいので、気にする方にとっては重要な問題だろうな。
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 本カメラを21世紀デジカメと優劣を比較して撮影する方は、まあ、いらっしゃらないと思うので動作の緩慢さは大した問題ではないと思う。むしろ、立体感が無くぱさついた色合いを楽しむというのがポジティブな使い方だろう。何度も繰り返して申し訳ないのだけれども、バッテリーが今でも実用になるのは驚きだな。ちなみに、ファインピクス1700Zのバッテリーも今でも実用になる。ライフサイクルが短いのが常識のデジカメ市場において、フジフィルムが8年も経過した今でも実用になるデジカメを開発したのは失礼ながら意外だったし、また賞賛するべき偉業であるとおもう。

   では、撮影結果を見て下さい。

(了:2006/12/05)

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