フジフィルム ファインピクスA201について


FinepixA201

☆ジャンク度☆
不具合なし
撮影可能


FinepixA201 FinepixA201
 大雑把なつくりだけれども、手振れ防止の為に使う機会の多いファインダー。
 ファインダー内中央には円形のモールドが浮かんでいるけど、別にAFポイントを意味しているわけではない。
 ボディ前面のスライドスイッチにてマクロモードと通常モードを切り替える。


FinepixA201
 ボディ上面は電源スイッチと撮影モード切替レバー、それにレリーズボタンが配置される。

FinepixA201 FinepixA201
 背面の十字カーソルキーと3つのボタンにて操作を行う。
 簡素なカメラなので必要にして十分である。


FinepixA201
 悩ましい手振れ警告サイン。


FinepixA201
 単三型電池2本を使用。大きさを比べると、本カメラのコンパクトさが分かる。
 

 固定焦点(パンフォーカス)のデジカメがスナップに使えるのではと閃いた。いや、こういう発想は大して画期的な発想ではないのだけれども、要はそういうデジカメが欲しくなってしまったのだ。固定焦点のカメラと言うのは銀塩カメラでも腐るほど転がっている。一番有名なのは「写るんです」だろう。広角で暗いレンズに高感度のフィルムをつめて被写体深度を深めてやれば、近影から遠景までそこそこピントが合うという按配だ。勿論、実際にはピントの精度はそれなりなのだけれども、スナップ撮影では3〜5mにフォーカスを合わせてさくさく撮影した方が、AFレンズがジージー動いてシャッターチャンスを逃すより都合が良いというのは「うるさ方」の方々にも定説となっているほどなのである。それにデジカメの受光面なんてのは猫の額ほどで、レンズの焦点距離は6mmかそこらだからピントの合う範囲はライカ判銀塩カメラより遥かに深いことになる。そういうデジカメが欲しいと思った動機としては拙僧の手持ちのデジカメが、その映し出す画像の良し悪しは兎も角として電源投入後の起動やフォーカシングに時間がかかるのにしばしば悩まされていたからなのだ。そんな時にパンフォーカスで情報処理量の小さい黎明期のデジカメやおもちゃデジカメを弄っていると、その撮影レスポンスに惹かれてしまうのである。とはいえ、流石に35万画素級のデジカメでスナップ撮影に挑むのにはかなりの割り切りが必要なのである。場合によっては液晶ビュワーの無い機種だってある。そんなもやもやとした物欲をくすぶらせていながらネットオークションで目にしたのが本カメラFinePixA201であった。
 いや、ネットオークションで出品されていたのは130万画素級のFinePixA101であった。そいつは200万画素級の本カメラのコンポーネンツに130万画素の受光素子を搭載した廉価カメラで主に海外向けに発売されていたらしい。そもそも本カメラだって廉価カメラの一員だから廉価カメラの廉価版という事だ。北米に1年間暮らしていた拙僧は、かの地の購買力の程度を良く知っているから海外向けに廉価版を用意する戦略は良く分かる。ただ、そういった海外向けの廉価版を国内市場にも流通させる事がままあり、FinePixA101もそういった事情があって国内発売されたおかげでメニュー等は英語表記のままであったそうだ。勿論、日本語マニアルが付属していたらしいのだけれども、この種のカメラには「初心者向け」という枕詞が付くのであるからして、それは随分不親切ではないかと思ってしまうな。拙僧の手持ちではオリンパスD−320Lも同じ境遇のようだ。
                   ☆            ☆
 おっと、そろそろ話をFinePixA201に向けなければならない。本カメラはFinePixシリーズの末弟として2001年の秋に発売されたものだ。200万画素級の受光素子を搭載し、レンズはマクロモード付き固定焦点。ライカ版換算で36mmの単焦点レンズで光学ズームは無し。媒体はスマートメディアを採用し、電源は単三電池型2本。勿論、液晶ビュワー付き。これは拙僧の理想的なスナップデジカメだと思えた。いや、そう思ったのは先のFinePixA101の方なのだけれども、別に130万画素だろうが200万画素だろうがそんな事は大した問題ではなかった。まずマクロ機能と言うのが良い。マクロ機能が付いているのと付いていないのでは散歩撮影をするにあたっては天と地ほどの違いがあるのだ。散歩をしながら道端の草花などを撮影するのが散歩写真のセオリーなのである。スマートメディアを毛嫌いする方もいらっしゃるようだけど、兎にも角にも外部媒体に画像を記録できる事でフレキシブルな運用が可能だ。このような事を大そうに綴るのは2006年の現在にあっては不思議なことなのだけれども、21世紀初頭にはまだまだ内蔵メモリに蓄えた画像をシリアルケーブルで転送する必要のあるデジカメが存在したのだ。単三型電池を使用するのも良い。専用電池などはいつお亡くなりになるのか分からないし、そうなった場合には既に手に入らないか有っても高額なのである。この時代のデジカメはまだまだ電気を食うのが難点では有るものの、本カメラの構造は簡素だし、現在では電池の方が性能アップしているので不安とは思えなかった。そして固定焦点である。AFを廃することによるレスポンスに大いに期待した。
 まあ、ゴタクを並べても所詮130万画素の廉価デジカメである。大して見向きもされないだろうと思ってそれなりのビットを入れていたら、意に反して件のFinePixA101の価格は見る見る上昇した。拙僧のクラシックデジカメ購入の目安は1万画素辺り10円である。つまり、130万画素なら1300円までなら出してもいいかなという程度なのである。最終的な落札価格は見なかったが手数料+送料込みで2000円を大きく上回ることは簡単に予想できた。オリンパスL−1400XLのような突飛な特徴を持っているデジカメなら兎も角、散歩写真に使う130万画素級デジカメに払う金額ではない。それでFinePixA101の事はすっかり忘れていたのである。
 ところが、ある日、拙僧の行動半径内にあるキタムラのジャンク籠に見覚えのあるデジカメが転がっていたのである。コンパクトなボディに単三型電池2本を使用。しかし、それはFinePixA101ではなかった。200万画素級のFinePixA201だったのである。にもかかわらずプライスタグは100万画素級なのであった。先ほどは130万画素でも200万画素でも構わないと書いたけれども、やっぱり画素数の多い方が得をした気分になってしまうのは否めない。勿論、悩むことなく購入に至った。
                   ☆            ☆
 手に取ると若干厚みがあるためポケットの中に仕舞い込むには違和感を感じるかもしれない。しかし、撮影時にはこのくらいのボディマスがあった方が安定して使えると思う。電源を投入してからの起動に思ったより時間がかかるのにがっかりしたのだけれども、これはフラッシュのチャージに時間がかかる為なので、フラッシュ発行モードを禁止にしておけば期待通りのレスポンスを得られる。もちろん、レリーズ後のレスポンスも快適だ。けれど、これを実戦で運用するにはいろいろと問題があることが分かってきたんだな。
 まずは期待のマクロ機能なのだけれども、被写体がちゃんと撮影範囲(8cm〜13cm)に入っていれば満足な画像を撮影することが出来るのだけれども、液晶ビュワーがチープなのでピントが合っているのかどうか良く分からないのだ。それに肝心の通常撮影でもピンぼけてしまう。固定焦点だからか?いや違う。これは被写体ボケや手振れだ。よく調べると何てこった。こいつはISO100固定でレンズの開放値はF4.8じゃないか。これじゃ日陰や雲天時にはシャッタースピードは相当遅くなってしまう。現に液晶ビュワーには手振れ警告マークが付きっぱなしだ。こうなるとあてにするのは光学ファインダーだ。フレーム枠も無い素通しのファインダーだけど、こいつに頼るしかない。顔に(拙僧の場合は眼鏡に)ボディを押し付けて手振れを極力防ぐように撮影に心がける。被写体ぶれはしょうがないけど、この撮影スタイルがどの程度功を制したかは撮影結果をご覧いただきたい。
 かといって、本カメラが駄目カメラかというとそうではない。PCのディスプレイに振るサイズで表示すると粗が目立つけれども、半分位のサイズで鑑賞する分には違和感が無い。勿論、本稿のようなコンテンツに掲示する画像としては充分である。ただ、ハイライトや白い被写体にラチュードがついていけない傾向にあるけれども、まあ、使いようなのではと思う。ただ、本カメラは発売時に実売3万円前後の入門機として発売されたらしいのだけれども、拙僧はその半年後にキヤノンパワーショットA10を32MBのCF付きで2万円で購入している。130万画素級とはいえ、3倍ズームを搭載したスタンダードなデジカメであるパワーショットA10に比べると贔屓目に見ても本カメラは簡易デジカメの部類に入るから、当時であれば入門向けとはいえパワーショットA10をお勧めしただろう。勿論、現在においては夏目1枚で遊べるネタとして充分な存在である。
 癖の無いデザインで手に心地よく、レスポンスもいいので余り考えずにさくさく撮影したい気分の時には使えるカメラではないだろうか。

   では、撮影結果を見て下さい。

(了:2006/10/11)

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