カシオ エクシリム EX−Z1080について


EX_Z1080
妙な技を持っているが基本設計の古さが隠し切れない

☆ジャンク度☆
電池蓋破損
撮影可能



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今時、38mmから始まるズームレンズは凡庸と言わざるを得ない。
コンパクトデジカメにライカ判換算で24mmから始まるズームレンズも珍しくないのだ。

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エッジを丸めて女子受けを狙ったのであろう。

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ボディ上部はすっきりとしている。

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大型で見やすい液晶ビュワーだが、解像感はイマイチ。
エクスリム伝統の撮影・再生ショートカットキーは迅速な操作に貢献する。

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頻繁に設置する項目を液晶ビュワー右端に纏めた。
ベストショット便りの従来のエクスリムに比べ、飛躍的に柔軟性が高い。

EX_Z1080
階層メニューのレイアウトが悪い訳ではない。
本カメラは設定項目が非常に多いので、頻繁に設定する項目が埋もれてしまったのだ。

EX_Z1080
カシオ自慢のベストショット。これはこれで悪い物ではない。

EX_Z1080
バッテリーは信頼性の高いタフなNP−40。

 シーンモードはフィルム時代から存在した。いわゆる、ポートレイトモードとかスポーツモードとかの類である。デジカメ時代になってカメラによっては100以上ものシーンモードを搭載している物もあるが、拙僧はまず使わない。大抵の場合「P(プログラムAE)」か「AUTO」である。「P」にするのは、大抵のカメラの場合、電源OFF時にフラッシュモードを覚えているからだ。「AUTO」だと慎重になる必要がある。初心者向けのご親切に(こういうのは初心者を馬鹿にしていると思うのだが)意図せずフラッシュを焚いてしまい、スナップ撮影で焦ることになる。
 そんな拙僧がシーンモードを多用するのはカシオのエクスリムシリーズである。別にエクスリムのシーンモードが他のカメラに比べて明確に優れているわけではない。確かに、エクスリムは豊富なシーンモードを「ベストショット」と名付け、アイコンをワンタッチで表示しスムーズな運用を可能としている。だから、オールドタイマーの拙僧にも使いやすいという積極的な動機ではなく、ベストショットを使わないと著しく使い勝手が悪いのだ。伝統的にエクスリムはMFモードや色調の設定など、きめ細かい設定が出来るのだが、階層化したメニューも複雑で、これを設定するのはなかなかの難儀なのである。そういう消極的な理由でエクスリムを使っていた。そもそも、エクスリムのキャラ色は思い通りのパーフェクトな画像作りというよりは、イージーな操作系でそれなりに美しい画像の供給にある。ベストショットで出来ないことはあっさり諦めるのが吉であろう。カシオもそのつもりで、カメラとしての基本性能はあまり変えずに、どちらかというとソフトウェアに属する斬新なアイデアを搭載してエクスリムは進化してきた。例えば、手ブレが収まったのを感知してシャッターが切れるとか、フォーカスポイントのアイコンをハートにしたりとか、連続した画像にメッセージを書き込んでアニメーション画像を作れるとか、軟派な(前者の手ブレ軽減シャッターは使い物になる)ギミックを売りとしている。
 本カメラも、真面目に撮影しようとすると、マクロモードでも広角側で10cmまでしか寄れないとか、500万画素級の以前のモデルから進歩していない。伝統的光学機器メーカーだったら、今時、ライカ判換算で38〜114mmF2.8〜5.1の光学3倍ズームレンズなんて恥ずかしくて表に出せないだろう。撮像素子だけ1010万画素級にして、光学系は殆ど手をつけていないのでは。ネット検索でも、あまりまともに紹介するコンテンツは少ないが、描写については全く触れていない。逆に感心するのがEX−Z5x系で採用したバッテリーのNP−40を今だに踏襲していることである。物持ちがいいというのは別に皮肉でもなく、NP−40はかなりタフで持ちのいいバッテリーなので妙に小型化を狙っていないのはありがたい。ジャンクボディのみ拾いの拙僧も既存のシステムが使えるので好都合だ。
 絶対的な打撃力では見劣りするカメラなのだが、従来のエクスリムに比べて謙虚な長所がある。それはベストショット以外の諸設定に寛容で、飛躍的に柔軟性が高いのだ。それまで、頻繁に変更が見込まれるプロパティも煩雑な操作系かつ階層化したメニューを掘り下げる必要があった。しかし、本カメラではフラッシュモードとかAFモードとかISO感度とかの頻繁に変更したい諸設定が液晶ビュワー右端に縦に並んでおり、カーソルキーとセンターボタン(SET)で容易に設定が可能になったのだ。操作は、十字キーの下ボタンを押すと上から画質モード・フラッシュモード・AFモードとメニューをカーソルが下り、左右でモードを設定し、センターボタンで決定する。このカーソルの位置は覚えており、十字キーを押す前にセンターボタンを押すると、前回設定したメニューを表示する。少々、不自然なデザインではあるが、慣れると思うような設定を迅速にすることが可能である。もっとも、始めは電源OFFで設定を忘れてしまって困ったのだが、これは保持する設定があるので階層メニューを下ってほしい。
 流石にモダンなデジカメだと思うのは、晴天下でも液晶ビュワーが陰らないのだ。ただ、解像度がイマイチなのか、液晶ビュワーではピントが外れたと思っても、PCで見たら大丈夫な場合が多い。本カメラはMFモードも搭載しているが、液晶ビュワーによるフォーカシングの確認は難しいだろう。
                    ☆             ☆
 拙僧は全く使わないので評価は出来ないが、本カメラの売りが二つある。一つは「ファミリー優先認識モード」で、一種の顔認識AFである。それ自体は珍しい機能ではないのだが、「パパ」とか「ママ」とか「こども」とか最大6名までを割り当てて、その中でも優先順位をつけて優先的にフォーカスを合わせるそうだ。どの程度あてになるのか不明だが、設定する時は楽しそうだ。もう一つは「YouTubeモード」である。これは、ずばりYouTubeの制約に沿った動画を撮影するのである。動画はその他の動画とは異なるフォルダーに保存し、付属ソフトで簡便にYouTubeにアップロードできるそうだ。個人的にはまるで魅力に感じないのだが、YouTubeが強権的政権を追放するほどパワーを持っているそうだから、あると嬉しい方もいらっしゃるのだろう。無論、ならず者国家と言われる程の強権的政権を追放したからって、持続的で安定した平和が訪れるとは限らない。
 意欲的なニーズを創出するカシオであるが、エクスリムEX−Zシリーズでは些かベースモデルが古臭くなった感が否めない。ベストショット集権主義の穏便化は普通のカメラとしての使い勝手を向上して福音なのだが、最短撮影距離の不足とか広角側の凡庸さを隠せるものではないだろう。第一、本カメラは電池蓋のつまらない破損で登場から1年もしないのにジャンク籠に転がっている。
 そろそろ、エクスリムEX−Zシリーズも根本的な改新が必要だ。

   では、撮影結果その1を見て頂きたい。

(了:2011/12/6)

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