本カメラは新世紀早々の2001年10月に登場している。前年登場した
クールピクス880の後裔機である。300万画素級の撮像素子は、当時としては奢ったもので、普及クラスとして200万画素級の
クールピクス775が同時期に登場している。
クールピクス880との違いは普通に撮影している限りでは、そう多くはない。目立って進歩したのはレンズがライカ判換算で38〜114mmF2.8〜4.9とレンジが広くなって、光学3倍ズームレンズになった。他には5つのエリアからAFポイントを選択できるとか、「USBケーブルをつないでボタンを押すだけで、撮った画像を転送・保存ができるトランスファー機能」とか、それなりに進化しているようなのだが、拙僧のようなスナップシューターには、あまり縁がないな。驚くのは90分の連続駆動を誇っているのだ。つまり、EN−EL1のような大振りな専用バッテリーを駆使しても、その位しか連続撮影には絶えなかったのだ。時代を感じさせるなあ。
当時、あまり評価されていなかったスタイリングだが、拙僧は満更でもないと思っている。何しろ、グリップが効果的で、晴天下でシャッター速度が稼げるシーンなら片手撮影が可能だ。しかし、現在の戦闘で展開するには大きな制限がある。とにかく、起動が遅いのだ。レバーで電源をONしてから実際に撮影可能状態になるまで7秒くらいかかる。また、レリーズボタンを押下してから実際に画像を記録するまでのデュレイも3秒くらいあって、とてもではないがすれ違う娘さんを撮影するのは不可能である。これはニコンが特に手を抜いたのではなく、当時はまだまだ動きものはデジカメでは撮影できないとされていた。そういう意味では固定焦点(パンフォーカス)
ファインピクスA201のレスポンスは、サイドアームズとして活用の余地があった。
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本カメラの登場時、クールピクスのフラッグシップはスイバル型のクールピクス995であった。本カメラはクールピクス995を常識的なスタイリングにし、共通のアクセサリーを使用できるクールなガンマンであったのだ。このクーピースタイルとも言えるニコンの言うところの「ナイスグリップ」は、メディアには殆ど評価されないながらも踏襲し、しかし、次第に小さくなっていった。
多彩なシーンモードなど、現在のコンパクトデジカメにも通じるベーシックさがある。ちょっと動作が緩慢な点を除けば、基本的な使い勝手も良い現在にも通用するデジカメである。
では、
撮影結果を見て頂きたい。
(了:2012/11/29)