ニコン クールピクス4100について


E4100
これで動作が俊敏なら近代戦もメモカメラとして稼働できたのだが・・・

☆ジャンク度☆
不具合なし
撮影可能


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 光学3倍ズームのニッコールレンズを搭載。


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 「ナイスグリップ」はボディサイズの割に大型で効果的。
 電源の単三型電池2本を搭載する。


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 小ぶりなボディは可愛い。


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 電源ボタン以外のボタンレバーは、小さいながらも操作性は高い。


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 液晶ビュワーは小型だが、インターフェイス周りの操作性の確保とのバランスは良いのではないか。
 晴天下では液晶ビュワーは見えづらくなるが、標準的なレベルである。
 光学ファインダーの搭載は何かとうれしい。


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 バッテリー室とSDカード差込口が別なのは芸が細かいかも。


 

 拙僧は底辺ながらもニコン者なので、普及クラスのデジカメであってもニッコールの付いたブツには弱い。それでも500万画素級以下の物件は、例え500円でも手を出すのは控えている。そうじゃなくても家庭内ジャンク駕籠には不良債権が溢れているのだ。本カメラを入手した時期は既に忘れてしまった。然程、前ではないと思う。いくらニコンでも400万画素級のデジカメだと処分が難しいので手を出したくないのだが、小ぶりで柔らかなカーブを描くボディラインと取り回しの良い単三型電池仕様に魅かれてしまった。いわゆるクーピースタイルのナイスグリップを踏襲したモデルである。
 登場時は2004年の7月である。系譜的に言うと同年発売のクールピクス3200の後裔機である。この単三型電池2本使用の廉価シリーズの祖先は2003年に登場したクールピクス3100に遡る。ややこしいのは専用電池仕様の中級機クールピクス4200がある。フロントパネルにアルミ素材を奢るなど、ちょっぴり高級なものだ。上位機種には500万画素級のクールピクス5200もある。この採番のややこしさからも、ライバル乱出なのかでのニコンの混乱ぶりが知れる。
 本カメラはプラボディである。クールピクス3100に比べると、丸っこさを強調したボディが幾分角ばって力強くなっている。とはいえ、グリップにかけて柔らかなカービングが特徴的で、フェミニンな印象を残している。鏡筒とレンズ銘板はブラックからシルバーに替わって高級感が増しているな。単三型電池2本を格納するグリップの張り出しは穏やかになったが、基本構成はクールピクス775を踏襲するクーピースタイルだ。単三電池2本使用のクーピースタイルデジカメは、拙僧の知る限りでは700万画素級のクールピクス7600まで受け継いでいる。
 スペック的にはフジフィルムのファインピクスA340やカシオのQV−R40に近いが、直接のライバルとして専用電池で少々クラスが上になるが、パナソニックのルミックスDMC−FX2と対峙せざるを得ない。本カメラの実売価格隊は3.8万円前後でFX2が0.5〜1万円高だが、錦の手振れ補正機構が付いているのが決定的なアドバンテージになっている。本カメラの登場した2004年はパナソニックとしても重要な年であった。2001年、ライカレンズと浜アユのルミックスDMC−F7で華々しくデビューしたパナソニックだが、高級路線のDMC−LC5は殆ど評価されず、普及機のルミックスDMC−LC20も市場の反応は鈍かった。市場やガジェット好きが敏感に反応したのは、手ブレ補正機構付き光学12倍ズームレンズを搭載するルミックスDMC−FZ1のシリーズくらいである。それで一定の「クールなパナのデジカメ」のイメージが形成し始めていたのが、それがパナソニックの意図するところだったのかはよくわからない。兎も角、2003年頃までパナソニックと言えばポジショニングはエッジイであり、それは浜アユのフォロワーやガジェット好きの中でもライカブランドに傾倒するニューライカエイジといった「個性的で限定したニーズ」が支持の中心であった。なのでポピュラーを身上とするニコンと直接に競合するものではなかったのである。そのミリタリーバランスが変化し始めるのは、2003年末に登場したルミックスDMC−FX1/FX5からである。これはルックスは好き嫌いのはっきり分かれる個性的な物だったが、常識的な光学3倍ズームレンズに手振れ補正機構を組み合わせ、当時の中級機と同等の大きさのボディとプラスアルファ程度の価格帯で注目された。手振れ補正機構はムービーカメラで豊富なノウハウのあるパナソニックとしては易い技術であり、市場の開拓の決め手となると決断したのだろう。翌年にはぐっとスタイリッシュで完成度の高いルミックスDMC−FX2/FX5が登場する。前述の通り、本カメラとルミックスは直接競合しないが、上位機種のクールピクス4200は直接ルミックスDMC−FX2と競合するし、500万画素級のクールピクス5200とルミックスDMC−FX7も同様である。実際使ってみると初期のルミックスFXシリーズは、電池のパワーがかなり不足していて、直ぐにエンプティになるなど使い勝手の悪い面が見受けられたのだが、そんなことは量販店のデモコーナーでは分からない。いくらクールピクス4200/5200が「ナイスグリップ」を小ぶりにしてみても、ルミックスFX2/FX7の方が薄いし液晶だって大型で目を惹く。当時の液晶ビュワーが晴天下に弱く、ニコンは良心として使い物になる光学ファインダーを残したのだが、やはり屋内や軒先の店頭では分からない。親の心子知らずである。それよりも決定的にインパクトを与えたのは光学手ブレ補正であった。それまでキヤノンだけを相手にしていればよかったニコンや伝統的カメラメーカーが、家電勢力と全面戦争に突入することになる。その後、ニコンの苦戦はキムタク革命まで続くことになる。
                     ☆                 ☆
 話題を本カメラに向けよう。本カメラの主要ターゲットはF1F2層の中でも手軽に撮影を楽しみたいニーズである。ニコンのHPでは明確に女性を想定した書き方はしていないが、このクラスのクールピクスの複数のパンフレットでは正統派コンサバ系モデルを起用していたし、男性にも女性にもイヤミの無い線を狙っていた。端的に言うと、ニコンの偉い方々がまともに会話ができる女性を想定していたのだろう。それでも、クールピクス3100/2100のやたらと丸っこいボディやカラーバリエーションとしてピンクを用意していた点など、ニコンとしてもギャルマーケットに食い込みたかった形跡がある。本カメラではある程度エッジの効いたボディラインに、シルバーの鏡筒を組み合わせ、落ち着いた雰囲気を出している。ニコンも「egg」や「PopSister」の連中まで商売の幅を広げるのは無理があると悟ったのだろうな。
 本カメラの大きな特徴は電源として単三型電池2本の採用である。当時のニコンは専用電池を採用したカメラに対し、外観の似通ったデチューンした単三電池仕様モデルを用意するのが常であった。これは古いヨーロッパ車の「排気量は違っても一貫性のあるルックスのボディ」を髣髴させて気持ちの良い物である。しかし、キヤノンやフジフィルムの「はっきり言って単三型電池仕様は安物」という割り切ったデザインとの優劣は難しい。デジカメにとっての単三型電池仕様の評価には年代によって振幅する。かつては入手の容易さが掲げられながらも、コンビニで安易に入手が可能なアルカリ電池だと殆ど使い物にならない物だったが、近年では省電力化が進んで100円ショップのアルカリ電池でもそこそこ使い物になるようになった。ある程度、使い込むのならエネループを導入すればコスト安である。100円ショップの充電式単三型電池だって、結構使い物になるのでバカにできない。ただ、自然放電はそれなりだから、使う前には充電した方が良いだろう。本カメラは100円ショップの充電式単三型電池で運用したが、2〜3日100枚以上の撮影に耐えた。
 レンズはズームニッコール銘を与えたライカ判換算で35〜105mmF2.8〜4.9の光学3倍ズームレンズを搭載する。これに400万画素級撮像素子を組み合わせる。本カメラの物は1/2.5型と小型で1/1.8型のクールピクス4200とは差別化をなしている。ボディ上部の小さな電源ボタンの押下でズームレンズが伸長し、同時に液晶ビュワーにアニメーションを表示して撮影可能状態になる。撮影可能に至るまでには6秒強かかり、普及機としても褒められたものではない。また、AFの速度やレリーズ後のレスポンスはそれなりだが、記録が鬼のように遅いので正直言って近代戦に耐えるものではない。ただ、使っていたキタムラで480円で売っていた2GBのSDカードを64MBの半端物に替えたら起動も記録も約半分の3秒強になった。そうはいっても、同じSDカードでキャプリオG3はさくさく動くのだから問題だろうな。フォーカスの精度やAEは不足ない。そういう意味で言うとキャプリオG3のAEは大いに問題がある。
 手振れ補正機構は無いが、暗い場所では感度が自動的に上がる。また、ニコン伝統のBSS(ベストショットセレクタ)を搭載し、自動的に連続撮影した最大10コマの中から最もブレの少ない画像を選択する。感度を任意に設定することは出来ず、また、ニコンのHPを見ても感度がISOのどのスピードまで上がるのかが記載されていない。BSSも、勿論ちゃんとした手振れ補正機構に比べるものであは無く、効果を発するのは室内の三脚を使用した撮影でレリーズ時のブレを吸収する程度である。ただ、プログラムAEは比較的常識的な露出をはじき出している。直接の後裔機であるファインピクス7600は、快晴下でも被写体ブレが発生するほど遅いシャッター速度になって困った。
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 キムタク以前のクールピクスは決まると素晴らしい画像を写しだすのだが、マクロ撮影でフォーカスが合わないとか、やたらシャッター速度が遅くなるとか、バッテリーがすぐ死ぬとか、操作系が不自然とか、何かと使い勝手のバランスが悪かった。本カメラは割と安定的な傾向だが、ルミックスのミニスカ・生足には敵わない。
 伝統的にニコンは普及機に弱いのだが、それもキムタク効果以降は安心して使えるようになった。これはパブリシティだけの問題ではなく、実際の使い勝手やデザインも良くなったのだ。ニコンのような老舗では難しい社内改革の貢献者がいらっしゃるのだろうな。

   では、撮影結果(三河散歩編)を見て頂きたい。

(了:2012/1/7)

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