コニカミノルタ ディマージュX50について


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屈曲光学系デジカメのパイオニア、ミノルタらしい完成度の高いカメラ。

☆ジャンク度☆
不具合なし
撮影可能


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 レンズカバーがスライド式電源スイッチを兼ねる。

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 コニカミノルタのロゴが美しい。


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 薄いボディの上部にはモード切り替えレバーを配置する。

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 光学ファインダーが残ってる。
 晴天下では液晶ビュワーが殆ど見えなくなるので、光学ファインダーが生きる。

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 操作系はオーソドックスで癖が無い。


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 あまり採用例のない、小型のかまぼこ型バッテリーを採用している。

 ミノルタ時代に屈曲光学系ズームレンズを活かし、薄型でコンパクトなフラットボディを実現し、注目したのが2002年2月に登場したディマージュX(初代)である。実は屈曲光学系のレンズを搭載したのはオリンパスのC−1が最初なのだが、コアなコンセプトとして新しい市場を開拓したのはディマージュXであろう。ミノルタとしてはフラットボディで機動力を発揮し、起動・撮影時のレスポンスも良好なメモカメラとしてコンセプトを絞ったのだろう。2002年登場時のカメラとしては200万画素級は流石にパワー不足だった。同年秋には300万画素級のモデルが登場している。その後、マイナーチェンジで主に使い勝手の向上を図った。ディマージュXシリーズはキャッチ―な屈曲光学系のズームレンズを搭載しているが、オーソドックスな操作系で保守層にも取っつき易いポリシーを維持していた。例えば光学ファインダーの搭載である。このため、液晶ビュワーは比較的小型であった。これは、実際の撮影時には晴天下で液晶ビュワーが真っ黒になってしまう欠点を補う物だったに違いない。特別ミノルタの液晶ビュワーが劣っているというわけではなく、当時の液晶ビュワーはそんな物だった。だから、同時期のライバルであるニコンのクールピクス3100とかオリンパスのμデジタルだって光学ファインダーを搭載している。ミノルタはメモカメラに高画質化は優先度が低いという判断で、むしろ単三型電池を採用した廉価モデルディマージュX20/30系シリーズを投入している。ところが、ミノルタがコニカミノルタに再編成された2003年3月の翌月、ソニーが屈曲光学系モデルに参戦した。そのサイバーショットT1は初めから500万画素級撮像素子を搭載し、大型の液晶ビュワーを搭載したモダンなスタイリングのカメラであった。当然、光学ファインダーなど存在しない。ここで一気に新市場はソニーに傾いた。薄型メモカメラにも高画質必須を知らしめられたコニカミノルタだったが、合併間もなく現場も混乱したのだろう。高画質モデルの登場は翌年、2004年8月になる。それが本カメラだ。
            ☆           ☆
 さて、本カメラである。それまでのモデルは基本的にはディマージュX(初代)を発展させたモデルだったが、本カメラに至って本格的にモデルチェンジを行っている。外観上の大きな違いはレンズの位置である。それまで、カメラを正面に見て右上の押しやっていたレンズが、右寄りながら中央まで下がってきた。これはとても好意的な変更である。というのは右上の端に寄ったレンズは構えた時に指が写り込みやすいのだ。これは、後年のクールピクスSシリーズに至っても踏襲されているのだが、これを中央に持って行ったのは、ミノルタのエンジニアなりデザイナーなりが自分で撮影して研究した結果なのだろう。もしかしたら、ユーザーのモニタリングを真剣にしたのかもしれない。何ていったて、コニカ系モデルとミノルタ系モデルが淘汰される時期だったのだから、何としてもディマージュXシリーズの担当者は生き残りをかけたのであろう。
 電源起動はレンズカバーのスライドにて行う。このデザインはクールである。レンズの屈曲光学系レンズは沈胴や伸長をしないのだから、レンズカバーで操作は完結して、後のメカニズムの起動や退避はユーザーの認識外で結構だろう。こういうスライド式レンズカバーを兼ねた電源操作のカメラは多いが、レンズの伸長や沈胴を待つのは結構ストレスである。本カメラのスイーティな面として起動が素早いのだが、これはレンズカバーのスライドによる電源ON/OFFが活きている。
 また、液晶ビュワーが少々大きくなった。それでもサイバーショットTシリーズやフジフィルムのファインピクスZシリーズに比べればインパクトは小さいのだが、光学ファインダーも残っているし、操作系のボタン類が端に追いやられることも無く、操作性に一定の利がある。何でもかんでも液晶ビュワーがデカければいいという物でもないと拙僧はもうのだが。操作系はオーソドックスである。従来モデルはズーミングも、ちょっと古めのファインピクス同様に上下式のレバーだったのが、常識的な左右のシーソーボタンになっている。それと、本カメラはマクロ域がシームレスに実現しているのである。つまり、マクロモードに切り替えなくてもマクロ撮影が可能なのだ。最短撮影距離は10cmで、これは広角側から望遠側まで有効なので、かなりの使い出があろう。メモカメラとして、模様の書かれたカプチーノやネパール製のイヤリングなどを撮影するのに便利だろうな。
            ☆           ☆
 本カメラはなかなか使い勝手の良いカメラである。それは、ただ小さいとか薄いというのではなく、インターフェイス面に考えた形跡があるのだ。弱点と言えばバッテリーが小型なのはいいのだが、本体充電ができないのである。流行りのクレードルなどは不要だが、ACケーブルで本体充電ができると、もっと取り回しが良かった。
 それで、カメラとしての出来は中々のものなのだが、あまりヒットした形跡はない。つまり、近代的なブランド商法に沿うことが出来なかったのだろう。惜しい限りである。この後、ディマージュXシリーズはビジュアル的には派手になったが、カメラの出来としては残念なディマージュX1に堕ちてしまう。

   では、撮影結果を見て下さい。

(了:2012/8/2)

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