ミノルタ DimageEXについて


DimageEX

☆ジャンク度☆
無し
撮影可能


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 DimageVを踏襲してCCD部が分割できる。


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 ライカ判換算で38〜115mm3倍ズーム。


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 シンプルなボディ上面。


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 DigitaOSな画面。
 液晶ビュワーも金がかかっている。


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 CCD側はマクロモードの切り替えと液晶ビュワーモードの設定ボタンがある。


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 縦のスライドスイッチが記録と再生の切り替え。
 十字配置の4つのボタンがズームや露出補正のコマンドスイッチとなっている。

DimageEX
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 よーく見ると画面右下に撮影モードが表示されている。
 通常撮影モード、遠景モード、ポートレイトモードと切り替わっているのがお分かりだろうか?

DimageEX
 電源は単3型電池4本。記録媒体はコンパクトフラッシュ。



 ミノルタはデジカメ市場に完全に遅れを取っていた。満を持して送り出したDimageVも、デジカメのある種の可能性を秘めた渾身の策であったが、何故か既にスマートメディアの主流が3.3Vの時代に5Vのスマートメディアしか対応しないといった、迂闊だが致命的な間違いもあってヒットに恵まれなかった。本カメラはそのミノルタが起死回生の一打として本気を混入したカメラである。しかし、アリナミンEXは知っていてもDimageEX1500というデジカメの存在を多くの方は知らないだろう。
                   ☆               ☆
 外観は樹脂で出来たレンズユニットと液晶ビュワー周りを金属梨地加工のボディが覆っている。それぞれのユニットが存在感を譲らないのでちぐはぐで、どこか超合金の合体ロボを思い浮かべる。いや、合体ロボという形容は本カメラに沿った物である。なんと、レンズ・CCDユニットが外れるのだ。回転こそしないがDimageVの特徴を踏襲しているのである。これはリモコンケーブルの遠隔操作の他、レンズやCCDの性能向上によってユニットを交換するというアイデアがあったようである。実際考えると電子製品の性能向上のスピードから言えばボディ部だけを残してレンズやCCDだけ飛躍的に進化するとは思えないのだが。しかし、実際、本カメラはライカ判で38〜115mmの常識的な3倍ズームだが、ライカ判換算で28mmF1.9の単焦点レンズを搭載したレンズ・CCDユニットのバージョンも存在したようである。これは当時のデジカメ界においては驚異的に明るい広角レンズであったが、拙僧のカメラ人生の中では一度も見たことが無い。ちょっと気になるカメラである。また、当時は晴天下で真っ黒が普通だった液晶ビュワーにはブライトダイヤルが付いており、操作によって晴天下でも快適に鑑賞する可能だ。つまり、本カメラは部分部分にアイデアとお金が非常にかかっているのである。結果、このスマートとはいえないデジカメの定価はクールピクス910より3万円も高くなってしまった。これでは商売上苦しいのは致し方ないだろうな。拙僧が本カメラを手にしたのは2005年頃で勿論、本カメラの素性は知らなかった。ただ、見慣れないデジカメが転がっていたので拾ったのである。丁度ミノルタのブランドが消滅して間が無かったので感傷にふけたと言う理由もあった。ちなみに価格は店員がメモリの種類を特定できないとの事で1000円だった。
 レンズ・CCDユニットのギミックやお金のかかった液晶ビュワーのお蔭か、カメラの大きさの割りにずしりと重い。これに脱着式の150万画素級CCDと3倍ズームレンズを搭載する。基本インターフェイスを階層化されたメニューより専門的に割り当てられたボタンで補っているのでボタンやレバーが多く、数えると14個もある。分かり易く指示されているのでエプソンCP−800Sのように何がなんだか困ってしまうことは無い。この多くのボタンと、独自のインターフェイスは超合金のスーパーロボを操作する楽しみを堪能するには十分である。これだけボタンがあって起動ボタンは液晶ビュワー右下の小さな銀色のボタンである。しかし、一見目立たないこのボタンはバックの中で不意に押してしまうことがあるようで、2〜3回バックの中でレンズが伸張するということが起こった。
 では撮影に使ってみよう。まず、電源を押すとうんともすんとも言わないのでびっくりする。「故障か?」と思うと液晶ビュワーにDigita−OSの表示が現れてレンズが伸張し、液晶ビュワーにゆっくりと被写体が表示されて撮影可能状態になる。この間、14秒。これはこの時代のデジカメとしても相当遅い時間である。これは搭載されたデジカメ制御OS「Digita」の起動時間に大きな因を発している。このDigitaはデジカメのコントロールをユーザフレンドリーに行えるようグラフィカルなインターフェイスを搭載し、また、独自のスクリプトでカメラの諸設定からよく分からないがパックマンのような簡易ゲームまで作ることが出来たそうだ。この辺、大佐殿のブログでも紹介されているので御覧頂きたい。このDigitaは本カメラのほかコダックのデジカメ、例えばDC260などに搭載されやはり起動時間は遅い。ただ、DC260にも共通するのだが、カメラを縦に構えて撮影すると縦の画像として記録される等の細かい使い勝手に良い物があり、一概に批判ばかりするのはフェアでなかろう。実際、OSの表示するアイコンを操作するのは楽しい。ただ、最後までメモリのフォーマットのやり方が分からなかった。操作性には問題がある。
 基本操作はカメラを裏面から見て右上に十字に配置されたボタンとボディ上部のレリーズボタンで行う。十字配列のボタンは左右がズーム、上下が露出補正で補正結果は液晶ビュワーに反映される。この時代、露出補正の結果が液晶ビュワーの反映されないデジカメが山ほどあったのだ。不思議なのはこういう操作はソニーのように十字キー(パッド)にしてしまう場合が多いと思うのだけれどもミノルタはあくまでもボタンにこだわった点だ。上記のように本カメラはボタンの数がやたら多い。しかし、操作する立場からすると十字キーの操作はある程度慣れが必要でボタンの方がやり易く感じる。実際、一つの十字キーを配置するよりボタンを4つ並べたほうがコストはかかるだろう。
 さて、先ほど液晶ビュワーにお金がかかっていると記述したが、それはあくまでも晴天下での見易さの問題である。本カメラの被写体の追随性は決定的に劣っている。特に低照度下では粒子は荒れ、画像は乱れ殆ど何を表示しているのかは分からず、ちょっと大げさに言うとカシオQV−11並みである。画面が安定すれば美しい像を表示するもののこれでは店頭で手にとって他のカメラと比べたら本カメラを選ぶのは難しいだろう。それでいて、繰り返すが定価ベースでクールピクス910より3万円も高いのだ。ただ、本カメラが高級デジカメなのは確かである。流石にレンズのニッコールを持ち出されると辛いが、それだけの機能は備えている。25分割測光は立派だし、AFの出来もこの時期のカメラとしてはよく出来ている。ただ、最短撮影距離が35cmなのでAF精度の試させるマクロ撮影が出来ないのは大きなマイナスポイントだ。バッファリングされているようで通常のスナップ撮影では待たされることは無い。チャームポイントは液晶ビュワー右下にあるカメラマークで、これは通常撮影モードを表しており、モード切替ボタンを押下することでポートレイトモードや遠景モードに変更できる。これは凄く目立たないので発見すると嬉しい。
 反面、電池は持たないそうだ。これは現在のエネループを使えばたいした問題ではないが、光学ファンダーに結構パララクス誤差が生じる。これは当時の脆弱な電源環境からすれば問題だっただろう。さらに、本カメラには撮影枚数などを表示するモノクロの液晶パネルが無い。なので撮影の諸情報を確認するためには液晶ビュワーを表示するしかない。但し、レリーズ後、プレビューが表示されるのでそれを利用すれば致命的な欠点にはならないだろう。また、電源OFFするとフラッシュモードなどを忘れてしまうのはスナップ者にしては困りものだ。もっとも、そういうのはOSのスクリプトでカスタマイズすると言うのが本カメラの本来の使い方かもしれない。
                   ☆               ☆
 本カメラはミノルタがデジカメ市場に起死回生の為、投入した贅沢な高級カメラだった。だが、やはりあれこれと凝った割にはそれが目立たなくなっているのは否めない。それに比べればニッコールでマクロ撮影というのははるかにわかり易いな。ミノルタが世間にあっと言わせるデジカメを登場させるには、個人的にはディマージュ7の登場を待たなければだと思われる。やっぱりミノルタは7なのだ。

 では、撮影結果を見て頂きたい。

(了:2009/5/19)

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