ソニー サイバーショット DSC−W1について


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☆ジャンク度☆
不具合無し
撮影可能


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 自慢のバリオテッサー搭載。
 小さなグリップも効果あり。


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 光学ファインダー装備は保守派には嬉しい。

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 ソニーにしてはオーソドックスでフィルム派からの転向も容易であろう。
 ボディマスも、この位あったほうがバランスが良い。

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 適度な大きさのボタン・ダイヤルは、御年輩にも優しいのでは。

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 それ程大きい液晶ビュワーだが、晴天下での見やすさはそれなり。

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 プッシュ式センターキーとメニューの組み合わせの操作系は、初期のサイバーショットを継承している。

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 単三電池仕様なのも、保守派に嬉しい点だ。

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 従来サイズのメモリースティックを使用。アダプターを使えばPROデュオも使用可。

 本カメラの登場した2004年のデジカメ学会では、そのパワーソースの供給源として単三型電池プロテスタント派と専用バッテリーカトリック派が宗主国の主流派を目指して激しい論争を繰り広げていた。前者は入手・単価に有利であり、後者はカメラの設計の自由度が高く、カメラもバッテリーそのもの小型軽量に有利とされた。単三型電池派の利点である入手の容易さの主張は弱点があった。当時の省エネ技術では100円ショップで売っているアルカリ電池が活用できるかと言うと、パワー面で信頼性に欠けていた。カメラ量販店で売っているハイパワー電池なら問題ないだろうが、それではコスト的な優位は崩れる。もっとも、この弱点に対しては、翌年にはエネループが登場するので、かなり環境が良くなる。専用バッテリーは小型でパワーも満足なのだが、概ね高価なので予備の購入には勇気が必要だった。専用バッテリーの価格については現在(2011年)も大して変わらないが、電池の持ちが飛躍的に良くなったので予備そのもの必要性が薄くなったのは朗報である。
 当時のサイバーショットの陣営は、実質的に中核モデルはサイバーショットTシリーズサイバーショットPシリーズだ。前者は屈曲光学系ズームレンズを搭載した薄型ボディで気を吐いていた。後者は横になった海坊主スタイルで起源は旧世紀末のサイバーショットP1までさかのぼる。ヒット作は2002年登場のサイバーショットP2で、一時期はソニーのデジカメと言えばサイバーショットPシリーズを代表にしていた。普及クラスに位置する単三型電池2本使用モデルもサイバーショットPシリーズが担当していたが、コンパクトデジカメの中級機にも500万画素級撮像素子を搭載する頃には些かデザインも古臭くなった。そこで登場するのが本カメラを起源とするサイバーショットWシリーズである。
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 本カメラはイノベータ―ユース志向のソニーにしてはオーソドックスなスタイリングでまとめてある。フロントパネルの意匠は未来的な趣向を凝らしているが、レンズは中央近くにオフセットしているし、光学ビュファインダーも搭載している。ソニーのツアイスに興味はあるが、ルックスや使い勝手に保守的な層の感心の対象になっただろう。ソニーとしても、いわゆる、レイトマジョリティ層にも裾野を広げる意味合いが有ったと想像できる。スタイリングのポリシーはスクエアで、ローライ35がかっこいいと思える方ならすんなり受け入れるだろう。ボディが厚めなのは単三型電池の使用をこそこそ隠さない潔さを感じる。誰もがスリム&スタイリッシュを求めているわけではないのだ。撮像素子が400万画素級だが、競合するニコンのクールピクス4100と比べると、電池を隠す為にグリップに搭載したり、曲線でボディラインを形成したりと思想の違いが興味深い。デザイン上で特徴的なのはレンズ基部にあるリング状の出っ張りである。ここはにはネジが切ってある。勿論、レンズは伸長するので直接フィルターを付けるわけではないが、下駄を履かせたワイコン・テレコンの使用が可能だ。
 レンズはライカ判換算で38〜114mmF2.8〜5.2のバリオテッサーである。これに510万画素級の撮像素子を組み合わせる。この組み合わせは他のサイバーショットでも見ることが出来るので、光学系は一緒なのだろう。いわゆる光学手ブレ補正機構は搭載していない。後裔機のサイバーショットDSC−W7では自動的に感度を上げて手ブレや被写体ブレを防ぐ機能を搭載しているのだが、本カメラを紹介した複数のコンテンツを読んでもそのような機能の紹介が無いので、非搭載なのかもしれない。感度はISO400まで用意しており、望遠側側は兎も角、広角側なら多くの撮影シーンに応える。本カメラの特徴的なボディの厚さと小型のグリップの効果でホールディングは良好で、そこそこのスローシャッターはきれる。
 本カメラの特徴の一つがボディ上部の大型のモード切り替えコマンドダイヤルである。サイバーショットに多く見られるのが、メニューを起動してから十字キーでモードを選択するかジョグダイヤルの組み合わせだが、はっきり言ってコマンドダイヤルに各モードを割り当てたほうが使いやすい。コマンドダイヤル操作時には、液晶ビュワーにダイヤルに割り当てたモードを表示するので、液晶ビュワーから目を離す必要が無く使いやすい。ズーミングシーソーボタンや十字キーも大型液晶ビュワーに追いやられて小型だが節度が良い。従来のサイバーショットだと十字キーそのものがプッシュボタンになり、確定の役割を割り当てていたのだが、ハッキリ言って使い勝手の良い物ではなかった。この頃のものは確定をセンターボタンに切り替えているので操作性は良好である。拙僧としてはプログラム撮影モードと再生モードをコマンドダイヤル上に用意しているのはありがたい。プッシュ式ボタンで再生モードを切り替えるのは、結構煩雑なのだ。撮影モードにはマニアル露出撮影モードも含まれるが、このクラスのカメラのターゲット層のニーズに合った物なのだろうか。コンパクトサイズで三脚前提の任意のスローシャッターを選択できるサイバーショットは意外と少ないので、そういう趣向の方なら関心の的である。
 光学ファインダーを搭載している割には大きな液晶ビュワーは魅力的だろう。ところが、本カメラは実勢価格で3〜4万円とそれほど高価なカメラでなかったからか、液晶ビュワーの質はサイバーショットTシリーズに比べると劣る。具体的には晴天下では全くあてにならない。光学ファインダーを使うのもよいが、見え辛い液晶ビュワーで大体な感じで撮影することになる。何でもモダンなペンデジでも見え辛く、別体EVFの購入の動機になるそうだから、このジャンルの技術はなかなか進展しない物である。その代りヒストグラムの表示など、付加できる情報は豊富だ。何かしらのレスポンスを受けて撮影なさる方がいらっしゃるのか疑問だが、見てくれは面白くはある。起動は素早くAF・AEも正確でレスポンスは良好。びっとした女子をすれ違いに撮る程ではないが、散歩レベルのスナップ撮影に不満は無いだろう。出来ればカシオのようにパンフォーカスモードがあればもっと便利なのだが。
 興味深いのは本カメラはフルサイズの従来型メモリースティック仕様である。無論、128MBを超えるメモリースティックPROデュオもアダプターを介すれば使用可能だが、こういうところでも保守色を残すのは、ソニー開発サイドの微妙なさじ加減を感じるな。
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 本カメラの最も惜しいのはメモリースティック使用だろう。これがSDカードだったら廉価に求められるのだが。それでも最近ではリサイクルショップで1〜2GBのブツが1000円以下で転がっているのも珍しくないからxDピクチャーカードよりはましである。
 常識的な操作系とデザイン、ボディマスで使い勝手の良いカメラである。ソニーのコアなフォロワーには響きが悪いようだが、互換性や親和性を重視する拙僧のような凡人には出来たカメラである。

 では、撮影結果(三河散歩編)を見て頂きたい。

(了:2011/10/30)

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