ソニー サイバーショット DSC−T70について


DSC-T70

☆ジャンク度☆
電池蓋破損
撮影可能


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 大型のレンズバリヤーが目立つ。

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 レンズバリアに隠れるツアイスのバリオテッサー。

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 ボディはびっくりするほど薄い。
 撮影時にもレンズが伸長しない屈折系レンズ。

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 存在を忘れかけさせるボタンとレバー。

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 大型の液晶ビュワーはタッチパネル。

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 電池蓋のロックが破損している。

 液晶ビュワーの大型化によってデジカメはポータブルビュワーに迫った。つまり、いちいちパソコンに転送したりプリントしなくても友達の間で鑑賞したりコピーして満足するニーズが生まれたのだ。なんたって8GBのSDHCを挿入すれば1000万画素級デジカメだって1年分は撮影できるし、メディア代も安いから一杯になったら追加購入しても良い。小さいから無くすのが心配だが、そもそもPCへの転送もプリントもしない画像は1年もすれば用済みであろう。それはそれで結構な話なのだが、困ったのは大画面に追いやられてボタンやらレバーやらが小さくなって操作し辛いのである。フィルム時のコンパクトカメラも爪で押すようなボタンは多かったが、あれは基本的にはオートカメラで、日付とかフラッシュモードとか(フィルム時代のコンパクトカメラにとってフラッシュモードの変更はイレギュラーな行為であることに注目せねばならない)使用頻度の低いボタンをワザと誤作動させない意味もあった。しかし、カシオのエクスリムの特定のモデルなどは、起動はショートカットボタンで行うから良い物の、電源ボタンが嫌がらせとしか思えない程小さいので電源オフには爪の先だって不便なくらいだ。よって、電源ボタンの周辺は塗装が剥がれることになる。ソニーのサイバーショットだって例外ではない。そもそも、ソニーはデザインやコンセプト優先で操作性は二の次の傾向にある。伝統的なカメラメーカーだったらサイバーショットUシリーズのようなカメラに最終的にGOサインを出すのは勇気が要るだろう。屈折光学系のサイバーショットTシリーズは何しろスリムが生命線だから、当然、十字キーとかメニューボタンは端に追いやられることになる。ところが、本カメラは根本的な解決策に至っている。つまり、背面にはボタンを排し、液晶ビュワーに表示したアイコンをタッチすることで各種の操作を行うのだ。タッチパネルを搭載したデジカメは過去にも東芝の物などが存在したが、当時はモニターが小さく操作し辛かったこともあってか普及していない。その辺りはソニーのデザインがどう効いているのか興味深いところだ。
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 撮像素子は800万画素級で不足はない。800万画素モードでは視野率100%のプレビュー画像が画面を中央にして、左右に機能を意味したアイコンが並ぶ。これが縦横比3:2だとプレビュー画像がアイコンの後ろに回り込むようになり、ハイビジョンサイズの16:9になると画面全体がプレビュー画像になり、アイコンはプレビュー画面に浮いて表示する。横長の液晶ビュワーにフルスケールで表示する画像が爽快だが、実際にはコンテンツに掲示するなりプリントするなりだと間延びして不便である。これがハイビジョンのTVに出力したい場合にはちょうど良いのだろうが。但し、このハイビジョンサイズはフィルムでいうところの簡易パノラマと同様、撮像素子の上下をマスクしているらしく、画像情報は大幅に少ない。これが近年の大型化したハイビジョンテレビに対応できるのかと気になるが、それはその筋でも権威のあるソニーだから、ちゃんと考えた末の算数だろう。
 レンズは38〜114mmF3.6〜4.3のバリオテッサーである。ブランドは兎も角として少し暗いのが気になるが、これは屈折式光学ズームレンズなので致し方ないのだろう。大体、この薄いボディに縦に光学3倍ズームレンズを搭載しているのは凄いことだ。ズーミングと選択した画素数モードはフレキシブルに対応しており、ハイビジョンサイズだと5.1倍、VGAだと約15倍のズーミングが可能である。マクロモードは広角側で8cm、望遠側で25cmまで寄れる。この他に拡大鏡モードと言うのがあって、これだと1cmまで寄れる。通常のマクロモードと何が違うの変わらないが、実際満足な画像を撮るのでありがたいだろう。AFも不満なく合う。
 レンズバリアを下にスライドすると起動する。撮影可能状態になるまで使い始めて間もない頃は8秒位掛かったのだが、最近は2〜3秒しか掛からない。何が違うのかは不明である。タッチパネルの使い方だが、マクロモードのように頻繁に使用する機能は、まずマクロモードのアイコンをタッチしてメニューを表示し、メニューの中からモードを選んで再びアイコンをタッチしてメニューを退避させる。感覚としてはモードを選択したら速やかにメニューは退避してほしいのだが。諸情報の設定は画面左下の「MENU」ボタンをタッチし、階層化したメニューを表示して任意のメニューを選択し、表示した吹き出しのの「OK」ボタンをボタンしてから任意のメニューを選択する。読んでいてもよくわからないと思うのだが、実際ちょっとややこしい。デザインについては使っているうちに慣れるし、そもそも頻繁に変更するわけではないのだが、吹き出しの「OK」ボタンが小さく反応が鈍いのが気になった。
 タッチパネルから追い出された機能は再生モードへの遷移とレリーズボタンとズーミングレバーである。再生モードの切り替え位はタッチパネルに収まっても良かったと思うのだが、小さいながらも指の腹で反応するようにできているので大きな問題はない。レリーズボタンも生理的にボディ上部に位置していた方が都合がよいだろう。問題はズーミングレバーでどうにもならないほど小さく、尖っているので指に違和感を感じる。ここはiPadや最近の携帯電話のように指で広げたり狭めたりしてズーミングが行えればこんな苦労はないのだが、そういうインターフェイスが確立する前の製品なんだろう。
 AFエリアもタッチパネルで選択可能だが、オートが優秀なのでマクロ撮影以外には殆ど使わないだろう。逆にマクロ撮影では重宝する。大抵のデジカメは最短撮影距離が小さくてもフォーカシングがどこに合うのか分からないので、中央1点にしたりと工夫がいるのだ。0.5m〜∞まで5段階のMFモードも搭載する。込み入ったカメラである。フラッシュモードやマクロモードを電源OFF時にも記録するのは本当にありがたい。マクロモードでも無限遠までフォーカスは合うので切り替えを忘れていてもシャッターチャンスを逃すことはない。
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 実は本カメラの最大のポイントとして顔認識とスマイルシャッターと顔キメがある。これは最大6名までの顔をタッチパネルで選択し、笑顔になった瞬間に自動的にシャッターが切れるものだ。選択した顔は画像処理で色調を美しく加工する。なんでもスマイルレベルの強弱でほほえみから大笑いまで感知して判断するらしいからなんだかすごい技術だ。ただ、拙僧は興味が無く使っていないので検証は出来ない。ちなみに再生モードでは爪で画像に落書きをすることも可能だ。
 至れり尽くせりのカメラで参った。難点はズーミングレバー位だが、これだって現在は解決しているだろう。何でも登場時は実売2万円台だったそうで、これだけのハイテクカメラの価格とは思えない。手持ちのクラデジカメの価値の暴落を改めて感じた。

 では、撮影結果(岡崎散歩編)を見て頂きたい。

(了:2011/4/12)

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