ソニー サイバーショット DSC−S85について


DSC-S85

☆ジャンク度☆
不具合無し
撮影可能


DSC-S85 DSC-S85
 ツアイスブランドのバリオゾナーが光る。

DSC-S85
 ボディ上部から見るレイアウト。
 ソニーとしてはオーソドックスなパッケージングである。

DSC-S85 DSC-S85
 大柄だがグリップも効いていてホールディングは良好。

DSC-S85 DSC-S85
 シューが付いているので専用フラッシュを用意していたのだろう。
 ホットシューではなく、X端子も無いから汎用フラッシュは使えない。
 ボディサイズに余裕があるので操作性は良い。


DSC-S85 DSC-S85
 液晶ビュワーの他にモノクロ液晶パネルを搭載し、液晶ビュワー非表示でも撮影可。
 もっとも、大型のバッテリーを採用しているので、省エネの必要性は薄い。


DSC-S85
 横一列に並んだメニューは、初期のサイバーショット共通のデザイン。

DSC-S85 DSC-S85
 インターフェイスの合理化が進んでいないのは、拙僧のようなオールドタイマーには使いやすい。

DSC-S85
 大型のバッテリーを採用。
 128MBまでのメモリースティックにしか対応していないから、バッテリーより遥かに速く撮影可能枚数が途絶える。


 デジカメ世界大戦勃発から成功したソニーだが、成功したのは回転レンズ機のDSC−F1〜55シリーズと大砲のような高倍率(当時)ズームレンズを組み合わせたDSC−F505Kであり、その他はやたらサブタイプの多いフロッピーディスクを使用したDSC−FDや、当時としては異例の高級機であるDSC−Dシリーズがあるが、幅広いニーズに対応したとは言えなかった。どちらかというと、ソニーとしても従来のフィルムカメラとは異なるニーズやスタイリングを積極的に採用していたのだが、ニコンやキヤノンが初戦の混乱から戦線を回復し始めると、前保守層(アーリーマジョリティ)を対象としたオーソドックスなモデルの必要性を感じたのである。そこで登場したのがDSC−Sシリーズである。デビュー戦は旧世紀末の2000年初頭で、先発隊を構成したDSC−S70は光学ファインダーを搭載し、当時は上位機種に奢っていた300万画素級の撮像素子にカールツアイスのレンズを組み合わせた。翌月には200万画素級のDSC−S50と130万画素級のDSC−S30を前線に展開した。もっとも、DSC−S70は常識的なパッケージングだったが、DSC−30/50は光学ファインダーを持たず、当時は珍しかった可変アングル液晶ビュワーを搭載していた。ソニーの将官の多数派は自軍のスタンダードクラスのデジカメに、光学ファインダーのようなローテクを搭載するのを許さなかったのだろう。実際、DSC−30/50の完成度の高さに比べ、DSC−70はイマイチ思い切りが足りない気がするな。
 本カメラの在り様は大佐殿がブログデジカメ温故知新にて隙間無く、ユニークに紹介しているので拙僧の稚筆を展開するのは避けることにしたい。簡単に掻い摘むと、DSC−S70では思い切りの悪かったインターフェイス周りを中心としたデザインが、よりオーソドックスにまとまっている。特筆はレンズにバリオゾナー銘を与えたところであろう。これで、フィルム時代からのオールドタイマーの心を鷲掴みにする腹積もりである。400万画素級の撮像素子は当時としてはハイクラスであり、金が余っているてデジカメに捨てる場所を探していた御人達に少なからずインパクトを与えたようだ。ボディはデカいが、パワーユーザーはライカ判距離計連動機や一眼レフカメラが当たり前だったから、大した問題にはならなかった。むしろ、大型のバッテリーを採用したのはソニーの見どころの良いところである。オールドタイマーはデジカメのすぐになくなるバッテリー管理を好まないと想定したのだろう。実際、このバッテリーは持つ。しかし、何といっても128MBまでのメモリースティックしか使えないから、バッテリーよりも遥かに早く撮影可能枚数がエンプティになってしまう。128MBで70枚くらいしか撮影できない。しかし、オールドタイマーとしては、「フィルム1本36枚撮り」で日々の撮影リズムを管理していたから、不満には思わなかったのだろう。2GBのSDカードが498円で転がっている現在とは違うのだ。
                ☆           ☆
 法務なマニアル撮影機能を搭載し、カメラらしいデジカメとしてS(スタンダード)を与えられたDSC−Sシリーズだったが、結局はスタンダードにならなかった。同時期に実戦に投入した「カメラらしくないルックスを持った、新感覚デジカメ」である、DSC−Pシリーズが大ヒットし、新しいデジカメのスタンダードになってしまったのである。そうなると「旧然としたカメラらしいデジカメ」のDSC−Sシリーズは立つ瀬がなくなってしまい、本カメラを最後にシリーズが絶たれてしまう。
 その後も、ソニーは奇抜路線を突き進むのだが、ヒットしたのはDSC−Pシリーズ、DSC−Uシリーズ、DSC−Tシリーズと意外と系列は少ない。ただ、それぞれに多くのサブタイプが存在し、実験市場を身上とするソニーらしさを感じる。DSC−Pシリーズが陳腐化し、QUALIAが興ったあたりでは、ソニーも難しい局面を迎えたが、Tシリーズのヒットで持ち直したようだ。
 オーソドックス路線ではその後、乾電池仕様のDSC−Wシリーズを投入するのだが、効果は限定的で速やかに専用電池に変更となり、コンパクトが強みのDSC−W35になってしまう。
 現在のソニーの看板と言えばNEXになるだろう。ただ、何しろデジ一眼のジャンルは各社も独創性を練っているので、ソニーが顕著にユニークとは行かなくなっている。しかし、ソニー・ホンダと言えば現在でも国際的な評価を得ている日本ブランドであるから、持続力のあるブランドを形成してほしい物である。

 では、撮影結果を見て頂きたい。

(了:2012/3/9)

クラデジカメ系列メニューへ戻る 「意してプラカメ拾う者なし」へ戻る

inserted by FC2 system