ソニー サイバーショット DSC−P72について


DSC-P72

☆ジャンク度☆
外装傷だらけ
取り合えず撮影可能


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 大きく右にオフセットされた3倍ズームレンズ。
 サイバーショットPシリーズ一員としての大きなアイデンティティだ。

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 ボディ上部から見るレイアウト。
 サイバーショットシリーズは何かとMPEGを誇示したがるが、これはサイバーショットがソニーの大柱であるデジタルビデオカメラの血脈を受け継いでいると言うアピールなのだろう。

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 ボディ背面と撮影時の液晶ビュワー表示。
 枠で囲まれたエリアがAF距離測定のエリアなら随分とワイドだ。
 ちなみに、ムービー撮影モードではAFモードを「中央重点AF」と「マルチAF」から選択できるが、スチル撮影モードではそういう設定は一切無い。

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 画像再生時の機能は標準レベル。

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 パワーソースは単三型電池2本。記録媒体はスタンダードのメモリースティック。
 ちなみにレキサーの互換物は認識しなかった。

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 本カメラは採番が殆ど同じのDSC−P71と極めて似ているが大幅に機能が削減されている。

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 削減された機能は主にスチル撮影に関るもので、シーン撮影モードの設定はほぼごっそり削り取られている。
 DSC_P71には搭載されている画質モードとか画像サイズとか一切の設定は不可能だ。
 左側の画像が本カメラ。ここまで潔いことができるとは、ソニーを見直したな。

 世界中でどんな辺境でも効き目のある日本語は「トヨタ」「ホンダ」「ニコン」、それに「ソニー」だろう。バンクーバーみたいな出がらしのコーヒーみたいな町でもソニーショップは一筋の光を放っていた。勿論、ソニーブランドの高性能デジカメを買えるカナダ人なんて限られているから、もっぱら利用するのは裕福な韓国人や香港人の留学生で、ワスプ=シビリアンの方々はロンドンドラッグでサムソンかコダックの三一デジカメで我慢せざるを得ない。傷はあるけどちゃんと撮影できる300万画素級のデジカメがジャンク籠でアンダー1000円で転がっているのは世界広といえど日本くらいだろうな。もっとも、最近では正常ルートで来日なさる中国人の方々は裕福だから中古など目もくれない。GWで招いた姪も渋谷でデジカメを無くして買い直すと言うので、なじみのキタムラに電話したら棚ずれ新品の浜アユの28mmが2万円台だと言うので大いにプッシュしたのだけれども、結局買ったのはワンランク価格帯の高いサイバーショットなのだった。やっぱりソニーなのである。しかし、拙僧も家電メーカーのデジカメをよいしょするとは・・・。これも山本勘助の策略に違いあるまい。
 しかし、拙僧はソニーにはあまり好まざる印象を持っていた。つまり、しばしばソニーをポジティブに修飾する「独自の技術」というのが、UNIX屋として様々な「独自仕様」で散々な目にあっていた拙僧には気に入らなかったのだ。それに、いわゆるソニータイマーというのも、満更根拠の無い噂話とも思えない節がある。まあ、その辺りの話題は長くなるので割愛するとして、兎に角、ソニー製のデジカメと言うのはジャンクで買ったサイバーショットU30位で欲求から遠い位置に居た。いや、今でもその空白期間は生めることは出来なくて、細分化されたメモリースティックの互換性が把握できていない。解ったことは、割と最近の300万画素級のサイバーショットでも128MBまでのスタンダードメモリースティックしか使えないらしいと言うことなのだ。メモリースティックDUOとかよく解らないんだけど、兎に角、512MBとか1GBの記録媒体は使えないらしいのである。それでいて、独自規格だからサードパーティも限られていて価格は高い。これが秋葉原辺りなら64MBとか半端もののレキサーを安く入手できるのだけれども、地方となると今時128MBの記録媒体に3000円に極めて近いお支払いをしなければならない。SDカードなら、ここ三河だって1680円のものが更に30%引きで買えたりするから、もうバカバカしくてやってられないな。まあ、そういう事情もあってか一時期にまとまった数のソニーものがジャンク籠に転がっていた。本カメラもその中の一つである。
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 デジカメのカンブリア紀からソニーは割と成功していたようである。それは当然で「電子スチルカメラ」という発想は、そもそもソニーのマビカに端を発するのである(らしい)。両面に値段が印刷されていて、対面のメンバーも見やすい縦型の居酒屋のメニューみたいなDSC−F1系シリーズや光学高倍率のカールツアイスレンズ搭載のDSC−F505系シリーズでコアなソニーフォロワーは湧いたらしいのだけれども、基準となるような標準的なスタイルのデジカメとなると記録媒体がFDやCD−Rだったり、イマイチ安定感が無かった。つまり、脱出したパイロットが携帯する極めて小型なサブマシンガンとか特殊部隊が使用するマカロフベースの無音銃とかアタッシュケースに入る対戦車ミサイルとかは有っても、ロクに訓練も受けていない動員兵に配る標準的な自動小銃が無かったのだな。そこで前世紀末にサイバーショットシリーズのM−16として登場したのがDSC−P1だ。ここで、どちらかと言うと左利きの拙僧がカラシニコフAK−47の名を出さなかったのは意味があって、カラシニコフのような精密射撃よりは信頼性や生産性を重視したばら撒き型の自動小銃と「ソニー」のブランドは反するのである。これがパワーショットならカラシニコフどころか56式自動歩槍だな。
 そのDSC−P1はやはりソニーらしい独特の形状をしており、レンズはカメラを正面に見て右端にオフセットされており、ボディもレンズのアウトラインに沿ってカービングしている。縦に立てると墓標かお地蔵さんみたいだ。ムーミンのにょろにょろに見えなくもない。これは根拠は無いのだけれども、ちょうど当時にガングロ・コギャルという品性を欠くことがステイタスであるという思い込んだティーンエイジャーガールがプリクラで撮影するときに、丁度アイラインの横に手を90度傾けてピースサインをしていたと記憶しているのだけれども、あの辺りからこの意匠は浮き出てきたのではないかと想像する。なんだか、よく解らない方は「魔女っ子メグ」のきめポーズの指位置だと思っていただければよい。
 それで、拙僧が先に入手したのは本カメラではなくてDSC−P1なのであった。それは一応バッテリーが入っていたのだけれども、勿論ジャンクだから充電器なんて無いのである。じゃあ、充電器だけで入手しようかネットオークションを覗くと、実際には充電器単品より元箱フルセットの方が安く出品されていたりして、ちゃんと撮影の出来るボディが2台だけれども充電器は1つと言う状態に陥ってしまうのだ。いや、実際にはその頃には同じバッテリー・充電器を使うサイバーショットは増殖していて、充電器は2系列3セットなのにボディだけゴロゴロと転がる羽目になってしまう。ううっ、我ながら反省はしているのだけれども・・・。
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 さて、食わず嫌いで使わなかったサイバーショットなのだけれども、128MBの制約にはイラつかされたものの、出来上がりは満更でもなかったのである。いや、実はかなり良い。ナチュラルな発色に繊細でかつ豊かな諧調。きめ細かで誇張の無い正確なエッジ。どれをとっても見事だ。そういえば姪は「ソニーは画質がいいから」と解った様な事を言っていたが、解っていなかったのは拙僧の方だ。もし、拙僧がニコン者で無く、フィルムカメラに何の執着も無く初めて手にしたデジカメがDSC−P1だったら、拙僧もソニーフォロワーとしていちいちフリーズするVAIOに一喜一憂していたかもしれないな。
 そろそろ、本カメラに話題の矛先を向けると、本カメラは端的に言うと、そのサイバーショットシリーズの基準軸となるDSC−P1のパワーソースを汎用性の高い単三型電池にし、撮影機能を大幅に削除した廉価版カメラだ。この機能削減は実に大胆で、スチル撮影モードで選択できるのは遠景とか夜景とかのシーン撮影モード以外はごっそり削ってしまってある。プログラム撮影モードにすると露出補正とかホワイトバランスとか設定できるので撮影にそれ程困ることは無いのだけれども、この思い切りの良さは潔く、ソニーに対する拙僧のイメージは大分向上したな。更に興味深いのが、本カメラの登場の1年前にDSC−P71という極めて似たパッケージングのカメラが登場しているのだけど、どうも、サイバーショットPシリーズと言うのはベースとなるP一桁シリーズが有って、パワーソースを単三型電池に変更し、機能を限定した廉価版のP7xシリーズが存在するらしい。ただ、DSC−P71で設定できた画像サイズの設定なども本カメラではごそっと削られている。ソニーと言うのは何だか気位の高い嫌味なイメージがあったが、こんなに柔軟な舵取りが効くとは思わなかった。
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 実際に撮影に使ってみると、メモリースティックうぃ頻繁に交換を行うのが煩わしい位で普通のデジカメである。特筆すべき点はサイバーショットシリーズの十字キーは、伝統的にそれ自体が押しボタンになっていて、各種プロパティの設定の確定は十字キー全体の押下で行う様になっていた。これは、ちょくちょく中心軸がずれて十字キーの何れか一方を選択してしまい褒められた操作系ではなかった。ソニーはこれを頑なに踏襲していたのだけれども、本カメラに至って、十字キーは四方の独立したボタンと中央の決定専用ボタンに分割された。これによって操作性は飛躍的に向上したな。本カメラは見てくれが世紀末に登場したサイバーショットPシリーズの伝統的なデザインなので新鮮味に欠けるけど、中身は2003年登場時のデジカメとしては標準以上の出来なので意外とお買い得な気がする。それに、サイバーショットPシリーズは正面から見ると同じようなデザインだけれども、実際に手に取るとコマンドダイヤルや十字キーの位置やメモリースティックの収納方法など、かなり大幅に変更されていて、あんまりコストダウンを意識していないように見える。これがキヤノンやカシオや三洋だったら極めて似たキー配列と各ユニットオフセットのカメラが幾つか浮かぶのだけれども、まあ、拙僧如きが良し悪しを問わないことにしよう。
 細かい点では電源をOFFしてもマクロ撮影モードを覚えている。まあ、これは運用面でしっかり覚えればよいことで、フラッシュ発光禁止を忘れてしまう困ったさんに比べれば問題にもならない。
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 話は少し外れるけど、今年に入ってソニーのディスクトップパソコンを買った。とうとう、拙僧宅にもVAIOが侵入したのである。とは言ってもWindows98用の旧世紀PCを捨て値で購入したのだ。なんで今更Windows98用PCが必要なのかと言うと、拙僧の琴線に触れるクラシックデジカメはVistaどころかXPにも対応していないので何かと都合が悪いのだ。それにデジカメ以外にもSCSIのハンディスキャナーとか、正常な神経をお持ちの皆様から見れば頭痛を感じてしまうような旧世紀PC周辺機器が転がっているのである。これも一つの病気だと思って温かい目で見ていただきたい。
 かつて、ソニーとソーテックのパソコンだけは絶対に買わないと心に誓っていたのだけれども、実際にトリニトロンの画面に映し出される画像は確かに綺麗なので悔しいけどソニーのフォロワーの方々の気持ちが解らないでもない。ただ、このVAIOも3ヶ月もしないうちに部屋の隅に片付けることになってしまった。なぜかと言うと、結局のところ拙僧の寒アパートにはディスクトップは嵩張りすぎるのである。やっぱり、拙僧とソニーは相性が悪いのだろうな。
 個人的にはソニーよりソニンの今後の方が気になるな。

 では、撮影結果を見て頂きたい。

(了:2006/07/04)

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