パナソニック ルミックス DMC−FX35について


DMC-FX35

25mm相当の超広角域をカバーする新世代ルミックス

☆ジャンク度☆
液晶ビュワー破損
撮影可能


DMC-FX35 DMC-FX35
 ライカブランドの光学4倍ズームレンズに1000万画素級撮像素子を組み合わせる。


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 操作系の大きな違いは「再生モード」がコマンドダイヤルから独立し、「撮影モード」との切り替えレバーになった。


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 端正なデザイン。


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 液晶ビュワーの破損が惜しい。
 

 当初はイモっぽさが感じれたルミックスDMC−FXシリーズだが、DMC−FX2FX7になって都会的な精錬されたルックスになった。浜アユも宣伝のし甲斐があるというものだ。世代を超えた男女に好感をもたれるデザインは難しいものだが、流石のパナソニックで成功していると思う。ルミックスDMC−FXシリーズはパナソニックのデジカメのコアモデルである。
 それまでも高倍率ズームレンズと手ブレ補正機能の組み合わせは存在したが、常識的な焦点距離の光学3倍ズームレンズに手振れ補正機構の組み合わせたミドルクラスの価格帯のデジカメは無く、新しい市場を開拓した。やがてライカ判換算で広角28mm相当をカバーするようになって、従来の広角に弱いコンパクトデジカメのイメージを粉飾してライバルから一歩リードする。現在では28mm相当どころか、もっと短い焦点距離をカバーするコンパクトデジカメは珍しくないが、当時は上位機種でもなければリコーくらいしか選択肢はなかった。リコーが普及〜コアクラスのデジカメに28mm相当を搭載したのは早い段階だったが、いかんせんルックスが浜アユとそのフォロワーに似合わない。キャプリオG4ワイドが単三電池仕様で僻地に有利というのも、どこか埼玉県じみていて渋谷の娘さんの琴線に触れなかっただろうと容易に想像がつく。「アユはブレない」がキャッチフレーズだったと記憶するが、ルミックスDMC−FXシリーズも基本スタンスがブレずに後裔機種に継承されていく。ここまでポリシーをしっかり継承しているのはIXYデジタルと某国共産党くらいだろう。
              ☆              ☆
 ルミックスは、本カメラでとうとうライカ判換算で25mmをカバーする25〜100mmF2.8〜5.6の光学4倍ズームレンズを搭載するに至った。このインパクトに比べれば撮像素子が1000万画素を超えた等というのはふろくみたいなものだ。高感度モードも実用性が増した上に「暗部補正機能」を搭載している。これは画像上の暗い・黒い部分を効果的に補正するもので、簡単に言うとノーフラッシュの夜景がきれいに写るものだ。これに25mm相当の広角と手ブレ補正が加わるから、自分探しに北海道まで旅に出た大学2年生の女子が礼文島のとほ宿の狭い食堂でギター青年との合唱を記念撮影するのにも都合がよいわけだ。
 拙僧の個体は液晶ビュワーが割れている。部分的には映るので撮影はなんとか可能なのだが、メニューを呼び出して諸設定するのは難しい。なので本カメラが誇る数々の機能のほとんどは実際には使っていないので簡単に紹介するに留めたい。操作系で従来から変更したのは「再生モード」がコマンドダイヤルから独立して「撮影モード」と切り替えるスライドスイッチになった。コンパクトデジカメの用途として「見る」ことは「撮る」ことと同じくらい重要だから、操作がワンタッチになったのはよい事だろう。撮ったばかりの画像を友人と眺めて安心し、以降は2度と見ないというのはありがちな話だ。また、従来の「かんたんモード」は「iA(インテリジェントオート)モード」に置き換わっている。これは詳しくは後述するが、簡単にいうと適切なシーンモードをカメラが自動選択するものである。「再生モード」スイッチが独立したのも、コマンドダイヤルの「iA(インテリジェントオート)モード」固定を奨励し、電源スイッチと「再生モード」切り替えスイッチ、レリーズボタンの操作のみで撮影を可能にして、「操作するスイッチは一つでも少ない方が良い」方々の利便性を図った物なのだろう。他にも外観ではフロントパネルにあった爪状のグリップが無くなった。その代わりに「LUMIX」のモールドが浮き出て指の引っ掛かりを易くしようとしているのだろうが、効果は限定的だ。あのグリップはルミックスDMC−FXシリーズのデザインのアクセントになっていたのだが、どういう意図で省略したのか疑問である。
 カメラが適切なシーンモードを選択する機能は、フィルム時代からペンタックスが「オートピクチャーモード」として採用するが、本カメラの「iA(インテリジェントオート)モード」のカバーするプロパティはより広範囲である。選択するモードは「顔認識」「風景認識」「接写認識」「動き認識」「顔&夜景認識」の5つである。つまり、カメラは被写体が人間なのかそうでないのか、遠景なのかそうでないのか、動いているのかそうでないのか等を自動で振り分けるのである。これだけ自動化がされていると「通常撮影モード」の意義が不安定であるな。
 実際に使ってみた印象だと、流石に25mm相当の広角は遠近感が出て使い応えがある。但し、肝心の画像はどうもブレているようだ。プロパティを見ると焦点距離が5mm前後でISO100モードで1/60だというから、それほど厳しい撮影条件ではない。手ブレ補正機能が甘いのだろうか。そうかというと、日暮れの薄暗いビルなどはしっかりと写っている。カメラが「夜景」と判断すると、それなり対応をするのだろうか。
              ☆              ☆
 28mmより広角のレンズは作画派の方々にはそれ程強力な福音では無いようだ。長年培った28mmなり35mmなりの画角感はそうそう変えるものではないのである。但し、本カメラのコアな需要である料理教室の記念写真とか囲碁サークルの集合写真には極めて効果的である。拙僧の記憶では25mmから始まるライカ判フィルムコンパクトカメラは無かったから、デジカメ時代の恩給である。180mmF13なんていう望遠域より、遥かに使い応えがある。
 フィルム時代には広角28mmを搭載するコンパクトカメラも多数派ではなかった。セールス的に望遠側を伸ばした方が効いたそうである。デジカメ時代になって撮影機会が飛躍的に増えて、ユーザーの目もこえたのであろう。

   では、撮影結果(名古屋夜市散歩)を見て下さい。

(了:2011/6/29)

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