パナソニック ルミックス DMC−FX30について


DMC-FX30

アユの広がるルミックスが一層薄くなった

☆ジャンク度☆
不具合無し
撮影可能


DMC-FX30 DMC-FX30
 ライカブランドのライカ判換算28mmから始まる光学3.6倍ズームレンズを搭載する。


DMC-FX30 DMC-FX30
 爪型の突起が指の引っ掛かりになる。
 黄金の「L」の字がルミックスの印し。


DMC-FX30 DMC-FX30
 端正なルックスは既に完成に達している。
 従来モデルより更に薄くなったボディ。


DMC-FX30 DMC-FX30
 人差し指でズーミング、親指でモードセレクトダイヤルを操作と使い分けている。
 

DMC-FX30 DMC-FX30
 大型液晶ビュワーの視認性は申し分ない。
 センター付き十字キーを中心とした操作系は精錬されて使いやすい。
 

DMC-FX30 DMC-FX30
 先代のルミックスDMC−FX07とデザイン上の相違点は少ないが、厚みが薄くなっている。
 


DMC-FX30
 ボディの薄さを実現する為、バッテリーも薄くなった。
 

 ルミックスDMC−FXシリーズは常識的な焦点距離のズームレンズに手振れ補正機構を組み合わせたモデルである。初代のDMC−FX1の登場した2003年には、そういうジャンルのデジカメは存在しなかった。DMC−FX1はイモっぽくてパッとしないルックスであったが、DMC−FX2FX7になって都会的に精錬された。電池の持ちがイマイチだったのもDMC−FX9でバッテリーが大型化して改善している。枝番が2桁になったDMC−FX01では、ズーム域が28mmになって、またライバル達を引き離した。イメージキャラクターには当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった浜アユを起用し、まさに無敵。浜アユの方は案の定、ダメ白人と結婚して人間の薄さが露見されたが、ルミックスの方はボディは薄くなっても破壊力は増大する一方である。
              ☆              ☆
 本カメラの登場2006年7月である。コンセプトは「セレブ系御嬢さん」で、コンサバ系・青文字系ガールズがコアなニーズであろうか。前述の通り、ルミックスは当初の直線基調の男子系のデザインを早い段階から修正し、エッジを丸めて上下面をメタリックにした女子系のデザインに切り替えている。この路線と獲得したガールズ市場はパナソニックのデジ一眼Gシリーズの基礎を築いていると言えるだろう。本カメラは実質的には2006年8月に登場したルミックスDMC−FX07のマイナーチェンジである。枝番が「07」から「30」に飛んでしまうのに違和感を覚えるが、実はDMC−FX07と同時期にDMC−FX50が登場していた。これは大型の液晶ビュワーを搭載し、DMC−FX07よりも幅広い感度に対応する上位機種であったが、ボディサイズが二回りは大きい。恐らく、DMC−FX07に女子、DMC−FX50に男子を割り当てたと思えるのだが、後裔に繋がることなく途絶えたようである。DMC−FX07は極めて完成度の高いモデルで、長らく妻の親衛隊として標準装備となっていた。ジャンクではなく、安くもない価格帯で拾いあげたのだが、長らく周辺国への有効な影響力を保持することが出来たので安い買い物だった。現在はDMC−FX70に武装更新しているが、更新の理由は画素数向上の破壊力ではなく、タッチパネルによるオペレーションの柔軟性向上である。
 パッと見では本カメラとDMC−FX07との外観上での差異を見つけるのは難しい。謙虚にわかるのは本カメラの薄さである。DMC−FXシリーズの最もホットな位置は女子の手提げバックかポーチであるから、薄さは重要な武器になる。ボディ上面に目をやると、独立していた手振れ補正モード設定ボタンを本カメラは省略している。これは常に手ブレ補正を行う「MODE1」、レリーズ時のみ手ブレ補正を行う「MODE2」、全く手ブレ補正を行わない「OFF」の選択を行う物だが、大抵の場合は「MODE2」に設定したら変更しない。その為、手ブレ補正モード設定は本カメラでは階層化メニューの中に移動した。使ってみて気づくのはモードセレクトダイヤルで、本カメラではサイクリックになって、360度回転するようになった。左右で動きを制限した方が、モードの位置を覚えておけば、右端から何段とか左端から何段とかダイヤルのアイコンを見ずに設定できる利点がある。しかし、DMC−FX07にしろ本カメラにしろ、モードセレクトダイヤルを操作すると、ダイヤルのイメージと選択したアイコンを液晶ビュワーに表示するので特別、いちいちモードセレクトダイヤルのアイコンを確認しなくても良い。多くのカメラのダイヤルはサイクリックになっているので、動きを制限しているのを忘れて、右端なり左端なりに到着した時にも力をかけすぎて、故障するケースが有ったのかもしれない。拙僧などは粗暴なので、ダイヤル操作にも荒っぽく力を入れるのだ。
 レンズはバリエルマリートを与えた光学3.6倍ズームレンズを搭載する。不思議なのはDMC−FX07がライカ判換算で28〜102mmF2.8〜5.6なのに対し、本カメラは28〜100mmF2.8〜F5.6と望遠側が2mmだけ短くなっている。誤差の範囲だと思えるし、同じレンズなのではと思うのだがどうだろう。特筆すべきは鏡筒基部にライカ判換算の広角側焦点距離の「28mm」を記載するのだ。それ以前のルミックスがどうだったかというと、「WIDE」とは書いてあっても焦点距離は書いていなかった。折角の長所をアピールしないのは損だと思うのだが、パナソニックからすれば、散々浜アユが「アユは広がる」と言っているのだから不要だと思ったのだろうか。ビデオカメラには実用性のないデジタルズーム併用の「100倍ズーム」なんて平気で書くのに。撮像素子は720万画素級で、これはDMC−FX07を踏襲している。
 常識的な焦点距離のズームレンズに手振れ補正機構を組み合わせたのがDMC−FXシリーズのコンセプトなのだが、売りは「トリプルブレ補正機能」である。つまり「光学手振れ補正」「高感度」に加え「インテリジェントISO感度(動き認識)」を用意する。被写体の明るさと動きに合わせて最適な感度とシャッター速度を設定するものだ。DMC−FXシリーズの何時頃から搭載したのかは不明なのだが、DMC−FX07も搭載しており、設定は階層メニュー下の感度設定の一つとして用意していた。これが、本カメラではモードセレクトダイヤルに独立したモードとして用意している。パナソニックの自信と「トリプルブレ補正」のコピーによる求心力の期待を感じるな。それ自体はさして珍しい機能ではなく、オリンパスやペンタックスの光学手振れ補正機構未搭載カメラも似たような機能を搭載している。
 使い勝手の面で補足すると、電源がスライドレバーでライバル達がプッシュボタンが多い中珍しい。ポケットの中で勝手に起動していたこともあるが、プッシュボタンの長押しに比べて小気味良くて気に入っている。起動やフォーカシングは素早く、遠くから自転車で向かってくる娘さんを撮影できるレベルである。9点マルチエリアAFも、まずあてになる。右手人差し指でズーミングとレリーズを行い、親指にモードセレクトダイヤルの操作を割り当てているのは生理的に自然で使いやすい。ズーミングを親指で押すシーソーボタンで行うカメラも多いが、ホールディングの点では本カメラのデザインの方が優れている。フロントパネルに爪上の突起があるが、これが中指に当たってグリップを形成している。なかなか効果的でデザイン上もアクセントになっているのだが、後裔のDMC−FX35では省略してしまった。実に惜しいな。
 他に地味な点だが内蔵メモリを搭載している。数枚しか撮れないが、ジャンク駕籠でのチェックには都合がよい。
              ☆              ☆
 DMC−FXシリーズも一定の完成に至った。近代の戦闘にも本カメラは耐えうるだろう。720万画素級の撮像素子は、現在の基準からするとパワー不足を感じるかもしれないが、常識的にコンパクトカメラで撮影するプリントのサイズなら問題ないだろう。普及クラスのプリンタで印刷するなら、一層不便は感じない。
 しかし、パナソニックの野望は留まることを知らず、速やかに高画素化と広角化を進めるのだ。本カメラと枝番が5しか変わらないDMC−FX35は1000万画素級の撮像素子にライカ判換算で25mmから始まる光学4倍ズームレンズを搭載する。また、以降のモデルでは操作系をタッチパネルで行うようになり、ルミックスの進化は止まらないようだ。

   では、撮影結果(三河散歩)を見て頂きたい。

(了:2012/2/1)

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