NHJ Che−ez!Foxzについて


Che-ezFoxz

それなりの質感を持ったキッチュなピンクボディ

☆ジャンク度☆
不具合無し
撮影可能


Che-ezFoxz Che-ezFoxz
 勿論、レンズは単焦点の固定焦点(パンフォーカス)。
 こういう怪しいレンズがトイデジカメの具骨頂だろう。


Che-ezFoxz Che-ezFoxz
 こんなイイ感じの速射ケースが付いていた。


Che-ezFoxz
 殆ど使用感の無い元箱付きフルセットをHオフで廉価に購入。

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 エンボスに今は無きChe−ez!のブランドを思う。


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 液晶ビュワーの見え具合はそれなりの物である。
 操作系は常識的。


Che-ezFoxz Che-ezFoxz
 ボディの薄さは、なかなか大したものである。



 トイデジカメというジャンルは今はどうなっているのだろうか?楽天で調べたら今でも30万画素級で千円台の物からビビターブランドの1400万画素級の1.5万円の物まで、そこそこ生き残っているようだ。しかし、今ではかつてのスチームローラーのような勢いを感じない。それはもっともで、携帯電話から飛ぶ鳥を落とす勢いの新興ミラーレス機まで、一様に「トイ(デジ)カメ」モードを搭載してるのだ。携帯電話で事足りる「トンネルエフェクト」の為に、ワザワザ1万円も出してトイデジカメを買うのは変わっている。もっとも、今どき電池を抜いたら撮影画像が消えるようなトイデジカメをあえて使うのは「人と変わっているワタシ」のメッセージなのだろうか。いや、確かに彼女らのスクールバックにキーホルダーの一つとしてぶら下がっているトイデジカメは、切手サイズのトランプが入ったキーホルダーと同様に、実際に使う事は想定していないのかもしれないな。なんでも、最近ではスケボーを持って歩くのが流行りだそうだ。もともと、見せる為のアイテムだから、軽く作ってあって人間が乗ると壊れてしまう。そういうのは関東の深夜ローカルが持ち上げて、地方から上京したビジュアル系専門学校生を騙すだけの物だと思っていたのだが、こないだ名古屋の地下鉄伏見駅で「見せ専」のスケボーを担いでいる若い奴を見たから、東海地方にも進出しつつあるのか?まあ、xxxモード学園なんてのもあるしな。
 「トイデジカメ」の起源を特定するのは難しい。というのは、初期のデジカメは「トイ」そのものだったからだ。現代に続くデジカメの直接的な祖先とされるのが、1995年に登場した、カシオのQV−10である。その社内の不遇な生い立ちからの逆転劇はNHKの「21世紀スペシャル」で有名だ。その撮像素子は25万画素級と、今ではちょっとしたジョークのようなパワーであった。しかし、当時の貧弱な通信レートでは、その程度のサイズの画像の方が何かと都合がよかった。ワードの文章ファイルですら、分割して送信した時代なのだ。明くる1996年から、デジカメは次々と発展していく。黎明期のデジカメをけん引していたのがカシオ・NECといった電機メーカーやフジフィルム・コダックといった感材メーカーであった。キヤノンも参加していたが、どの程度まで真剣だったか怪しい。光学メーカーではリコーが気を吐いていたし、コダックのデジカメをチノンが作っていたのも歴史に残さなければならない偉業だろう。そんな1996年の末にゲームメーカーのセガからDIGIOというデジカメが登場している。一見、リコーのDCシリーズに似たオペラグラスタイプだが、ファインダーを覗くとルーペで拡大したカラー液晶モニターで撮影・再生を確認できた。当時は、まだまだエプソンのCP−200 のような液晶ビュワーが非搭載で、撮影結果が確認できないカメラも多かったから、これは奢った仕様であろう。フォーカシングはマニアルフォーカスで渋い。しかも、露出補正もできたから、ちゃんとしたカメラが分かる方がデザインしたのだろう。案外、デザインも生産もどこかの有名企業で、セガの名前を貼りつけただけかもしれないが。内蔵メモリカメラが多い中、5Vのスマートメディアを採用。ゲームメーカーらしく、社会的現象となった「プリクラ」との連携が可能であった。難点は特殊なオリジナル形式のデータで画像を保存することで、付属のソフトを使用するとBMPなりの繁用データに変換できた。なので、ジャンク駕籠でボディを確保し、貴重な5Vのスマートメディアを持っていたとしても、撮影結果をPCで鑑賞することはできない。拙僧の知る限り、この「SJ1」の拡張子を持つ画像を表示・変換できるフリーソフトは「GV」くらいである。これもかなり古いソフトなのだが、今でも入手可能のはずだ。
 セガのDIGIOは一代限りで消滅してしまったが。その後、バンダイやトミー、タカラなどから「トイデジカメ」が登場する。価格帯は1万円前後で、トミーのものなどは撮影素子が8万画素級だった。タイプミスではない。その後、トミーのシリーズはスティックショット(STICK SHOT) では10万画素級に進化した。これらは「トイデジカメ」というより「トイ」そのものだった。それでも、割と大人が真剣に購入を検討したのは、当時のデジカメは高かったのだ。例えば、世紀末の2000年秋に登場した、ニコンのコンシューマー向け本気デジカメのニコンクールピクス880は定価ベースで88000円もした。しかも、専用充電器とバッテリーは別売りである。一応、2CR5が使えるのだが、当時の燃費の悪いデジカメだから安くは無い2CR5が、あっと言う間にエンプティになってしまう。もっとも、光学ズームレンズを搭載した300万画素級のコンパクトカメラである、クールピクス880は高級機であるから、比較はフェアでないかもしない。しかし、買ってすぐ使える単三型電池使用型のベーシッククラスであるフジフィルムファインピクス1300も定価ベースで49800円である。こいつは130万画素級で単焦点で固定焦点(パンフォーカス)のレンズを搭載した廉価モデルだが、PCで鑑賞したり、当時のロースペックなプリンターではがきサイズにプリントするには不足は無かった。しかし、2000年と言えば、ようやく本格的にデジカメがフィルムカメラの代用品として認知されたばかりで、フィルムカメラならWズームレンズが付くベーシッククラスの一眼レフカメラが買える価格で、パンフォーカスのデジカメを買うというのは勇気が必要だった。しかし、おもちゃメーカー製のカメラは「トイ」度が高くて、デジカメの代用品としてはイマイチ魅力に欠ける。そんなギャップを埋めるべく登場したのがトイデジカメメーカー製のトイデジカメだ。それまでも、亜土電子や高木産業が35万画素級の、ひとまず使えそうな機能を絞ったモデルを出していた。割と地味なデザインで目立たなかったのだが、2000年7月にニチメンのChe−ezシリーズの初代となるモデルが登場する。翌月にはトイデジカメメーカーではないが、マクセルのWS30が登場する。拙僧は後裔機のWS30SLIMを持っているが、この辺りからトイデジカメが「デジカメの代用品」として使い物になり始めたようだ。その後、Che−ez! moni−meで液晶ビュワーを搭載するようになり、一段とデジカメらしさが強まった。ポラロイド日立リビングサプライなど、多くのメーカーが参戦し、トイデジカメの黄金時代を形成するようになる。
 何故、トイデジカメが廉価クラスのデジカメが数万円した時代に価格を抑えることが出来たのかというと、トイデジカメが採用していたレンズ・撮像素子は、そもそも監視カメラや生産ラインをチェックする工業用カメラの物だったのだ。そういう「ひとまず写ればよい」という用途は既に大きな市場を形成していた。我々に近いところでは、カメラを搭載したノートパソコンが画期的とされていた。もっとも、初期のトイでないデジカメも元々は工業用カメラを基にしていたが、なにしろ市場の画質への期待が大きかったから、「写っているだけで良い」工業用カメラを流用し続けるのは難しく、デジカメ専用のパーツをデザインするようになった。それでも、光学機器メーカーと言えど、自社でレンズやら撮像素子を設計するのは難しく、130〜200万画素級が主流であった時代には、数々のブランドのデジカメを、実際に製造しているのは同じ1つの電機メーカーだった時代もあった。そうやって、マスの力でコストを下げようとしても、中々スグには上手くいかなかったから、ひとまず、1万円前後のトイデジカメで様子を見ようというニーズがあった。
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 本カメラの正確な登場時が良くわからないのだが、推定するに2003年頃のようだ。この頃には3〜4万円も出せば、安物の200〜300万画素級の普通のコンパクトデジカメが買えたはずなのだが、一方で小型化という点では今一歩で、機能を限定したタイニー・スリムなデザインの「トイデジカメ」のジャンルは健在だった。伝統的な光学機器メーカーは「トイデジカメ」などというものは面子として出来ないから、一歩踏み出した「準デジカメ」とでも言えるタイニー・スリムモデルを送り出している。単三電池2本で長持ち、画質も検討するフジフィルムのファインピクスA101A201、スリムボディが特徴的なコニカのRevioC2など、メーカーにも遊ぶ余裕があった。
 特徴的なのはそのコンパクトでスリムなボディサイズである。外装もアルミ系だろうが金属製で手に馴染む。浮き出た削り出し風のロゴマークも中々気を吐いていて好ましい物である。撮像素子は130万画素級と立派な物である。フラッシュも内蔵して普通のカメラとして使うこともできる。無論、単焦点・固定焦点(パンフォーカス)であるが、固定焦点ならではのサクサクとした撮影レスポンスはそれなりに楽しい物だ。電源は内蔵バッテリーでUSBケーブルにて充電する。記録媒体はSDカードだから、撮影枚数を気にせず撮影出来る。困ったのはファイル形式がBMPで基本的には付属ソフトを介入しなければ、PCで画像を扱うことはできない。この辺が実にアンティークなのは、なにかの繁用工業部品でも使っているのだろうか。
 この頃になると、ちゃんとしたデジカメが安く流通するようになったから、トイデジカメに「普通のデジカメの代用品」としての任務を追わせる必要は無くなった。なので「トイデジカメ」らしい効果、例えば撮影画像記録中にボディを動かすと画面が歪むとか、そいう「トイ」方面に機能が特化する。例えばAVOX ADSS−02XSだな。こういったカメラは初めは面白いのだが、すぐ飽きるし、普通のデジカメがモデルチェンジが速くて、どんどん市場価値が下がって新品の「トイデジカメ」よりも安くなると次第に下火になった。「トイデジカメ」を求めるニーズは今でもあるが、今では大抵のカメラが「トイ(デジ)カメモード」を搭載するから。ますます、専用の「トイデジカメ」の存在意義は怪しくなる。
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 本カメラは「欠陥的な仕様」を遊ぶいい加減な物ではない。割と普通な画像も撮影できるが、どこかトロけるような描写になるのが、やはり「トイデジカメ」の魅力だろうか。
 このカメラは名古屋の若い写真コミュニティーで行った忘年会の景品で譲ってしまった。1500円くらいの予算で、ということなので丁度よかった。
 ところで、ニチメンから始まったはずのChe−ez!シリーズだが、何時の間にかNHJに変わっていた。NHJはニチメンとライバル関係にあったトイデジカメブランドだったのだが、何時頃かに合流したようだ。そのNHJも消滅して随分日が立つ。今やChe−ezは怪しいネットカンパニーが所有しているらしく、迂闊にネット検索するとトロイの木馬を検出するようになるから、お気を付けを。「トイデジカメ」のひとかたの夢も、夏の陽炎の如しだなあ。

 では、撮影結果(名古屋散歩編) を見て頂きたい。

(了:2013/4/12)

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