リコー キャプリオR1について


CaplioR1
折角のスリムボディ、シンプルなスタイリングが無節操なロゴとステッカーで台無しに。

☆ジャンク度☆
不具合なし
撮影可能


CaplioR1 CaplioR1
 当時のビギナー機では珍しい、ライカ判換算で28mmから始まるズームレンズ。

CaplioR1 CaplioR1

 グリップのスライドで電源を起動する。


CaplioR1 CaplioR1
 望遠側で伸長したレンズを比べる。


CaplioR1 CaplioR1
 光学4.8倍ズームレンズが自慢。

CaplioR1 CaplioR1
 グリップを形成するスライドスイッチ。

CaplioR1 CaplioR1
 液晶ビュワーの見え具合はそれなり。

CaplioR1 CaplioR1
 操作系はオーソドックスなのだが、印刷が擦り切れやすいのは如何なものか。

CaplioR1 CaplioR1
 光学ファインダー搭載に拘りを感じる。

CaplioR1
 電源は専用電池を単三型電池を兼用。

 R1と言えばヤマハの単車だ。よい単車らしいのだが、拙僧は乗ったことが無い。なので素直にカメラの話にシフトした方がよさそうだ。リコーのR1と聞くと、30mmとパノラマ限定ながら24mmに切り替えることが出来るスリムなフィルムコンパクトカメラを思い出す。値段の割には写りも良く、後裔機のR1sを生み出すなどヒットしたカメラである。リコーがR1の名をデジカメに踏襲するのにはそれなりに慎重になったらしく、本カメラが登場したのは2004年の秋である。リコーはコンシューマ向けデジカメ大戦に初期の頃から参戦している。黎明期のリコー製デジカメはPDA端末タイプのDC−2Lやレンズの回転するスイバルタイプのDC−4のが知られていたが、フィルムカメラとは異なるニーズと言っては聞こえがいいが、ちょっとマニアックなフォロワーを形成していた。リコーとしても何度もオーソドックスなニーズを埋めるモデルに挑戦し、「伝統のマクロ機能」「高レスポンス」「単三型電池でもタフな起動」などのカメラとしての基本性能を高めたモデルを投入したのだが、キャプリオG3のようにスタイリングが鬼ダサかったりして成功しなかった。その後も、当時は珍しいライカ判換算で28mmから始まるズームレンズを搭載したモデルを投入するのだが、スタイリングは相変わらずで橋頭堡を築けずにいた。フォロワーを広げたのはキャプリオGXあたりからだが、1.8型と大振りな500万画素級撮像素子を搭載し、少々プレミアムな価格帯になってしまった。リコーと言えば安く効くというのが身上なので、オーソドックスなベーシッククラスの進出は念願なのだ。そこで、リコーが伝統のあるR1の名称を与えたベーシッククラスのデジカメを投入する。それが本カメラである。
                ☆               ☆
 ベーシッククラスとはいえ、実売が4万円を切るくらいの価格帯だから安くは無い。当時の同じ単三型電池を採用する400万画素級のクールピクス4100が3〜4000円安い程度だったから、当時のコアクラスのデジカメがいかに高かったかが分かる。廉価モデルなら、まだ200万画素級デジカメが生き残っていた。本カメラのアドバンテージはやはりライカ判換算で28mmをカバーする28〜135mmF3.3〜4.3の光学4.8倍ズームレンズである。これに2.5型と小ぶりな400万画素級撮像素子を組み合わせる。リコー伝統のマクロ機能も充実して、広角側で1cm、望遠側で13cmまで寄れる。AFもマクロ向きにチューニングしているらしく、大抵の場合は迷うことは無い。ちょっとした無敵ぶりだが、手振れ補正機構は非搭載である数か月前にアユはブレないのルミックスDMC−FX2ルミックスDMC−FX7が登場して、ヒットしていた。価格的にはやや上になるが、イモくさかったルミックスDMC−FX1とは打って変わったファッショナブルなスタイリングでフォロワーを拡大していた。
 本カメラのスタイリングだって悪い物ではない。レンズはカメラを構えて左端にオフセットしており、右側にはグリップを配置している。基本構成は従来のキャプリオシリーズと変わらない。本体は前面はヘアライン、後面は梨地加工を施したシルバーのマッスに、メタリックのレンズ飾りリングとグリップを組み合わせている。基調はシンプルな直線と円の組み合わせで好ましいのだが、ステッカーと印刷した「RICOH」と「CaplioR1 4.8x WIDE ZOOM LENS」のロゴがうるさく台無しにしている。背面に目を移しても、ボタン類は円で統一してどこかプロトタイプをイメージしてイイ感じなのだが、印刷が擦り切れて安っぽさを感じる。この個体は辛うじて読めるが、全く擦り切れた個体も散見できる。アウターシェルは金属のようだが、特にモード切り替えレバーと同心の再生ボタンの質がプア―で、個体によっては爪で削れている。こういうところでコストダウンが露わにならうのは損だろう。グリップはスライドし、電源スイッチを兼ねている。起動は1秒強で速やかである。レリーズ後のレスポンスも素早いのだが、やや長ったらしく液晶ビュワーがブラックアウトするのは頂けない。レリーズボタン押下から記録までのデュレイは少なくても、いい印象は与えないな。また、起動にしろフォーカシングにしろ「キュイー」に近いノイズが気になる。これはコスト削減がモロに 内装と防音材に悪影響を与えて、ギャップを越えた時のギシギシ音やエンジンの高周波がキャビンに響くというアレだろうな。
 AFは素早いのだが、特にレリーズボタンを全押しした時、若しくは遠景で精度が不安定になる。また、晴天下や明暗差が大きい場合にAEが不安定、またはオーバーになる。同じ傾向はキャプリオG3にも有ったので進歩が無いのだろうか。こういうのはクラスが上のキャプリオGXがどうなのか気になるところだ。
                ☆               ☆
 スペック的には魅力的な数値を導き出しているのだが、実戦では不安定な信頼性が気になる。リコーのキャプリオRシリーズは、その後のキャプリオR7では28〜200mm相当にまで拡大した。それで石橋のような安定感があるかというとそうでもない。
 それがリコーのサクサク買い替えてもらう戦略なのか、コストダウンのさじ加減の甘さなのかは良くわからないのだが。

   では、撮影結果(郡上八幡散歩編)を見て下さい。

(了:2012/5/2)

クラデジカメ系列メニューへ戻る
「意してプラカメ拾う者なし」へ戻る

inserted by FC2 system