オリンパス C−770について


C770
飛び道具を持った光学10倍ズーム機

☆ジャンク度☆
不具合無し
撮影可能



C770 C770
真面目な光学10倍ズームレンズ。
描写は文句なし。


C770 C770
グリップは効果がある。ズーミングレバーの引っ掛かりも良い。

C770
ズームしてもレンズ長は変わらない。


C770 C770
ツインフラッシュだそうだ。ホットシューも装備して本気を感じる。


C770
EVFの見栄えは良好。


C770
電源スライドスイッチに耐久的な不安が残る。


C770 C770
十字キーと液晶ビュワーに表示したアイコンを組み合わせてバーチャル十字キーとして操作する。


C770
専用電池はオリンパスμデジタル等と共用の物。
今更、xDピクチャーカードが玉に傷。

 オリンパスがC−700で立ち上げた高倍率ズームレンズにコンパクトカメラの組み合わせは一つのジャンルを開拓して低迷期のオリンパスを支えたと言えよう。200万画素級でパワー不足であったが、翌年には300万画素級のC−720C−730が登場。オリンパスらしくマニアル機能を搭載して画質面でも十分なパフォーマンスを発揮した。パナソニックから手ブレ補正機能付きの対抗馬のDMC−FZ1が登場するが、200万画素級の上に面積の小さい撮像素子に無理があったのか、画質はかなり見劣りした。本カメラの登場時には画質を大幅に向上したDMC−FZ10が登場していたが、大柄で高価になったからクラスが異なるだろう。事実上、この頃の普及クラスの高倍率光学ズームレンズ機は「手ブレ補正機能付きで画質がイマイチ」「手ブレ補正機能は無いが画質は良い」「手ブレ補正機能付きで画質は良いが高額」と3種類の選択肢があった事になる。
                    ☆             ☆
 撮像素子は400万画素級でサイズは1/2.5だからクラス上のDMC−FZ10に迫る。レンズはライカ判換算38〜380mmF2.8〜3.7の光学10倍ズームである。手振れ補正機能は搭載していない。代わりにアンチバイブレーションプログラムという機能を用意している。もっともらしい名前だが、実際は単純に感度を上げてシャッター速度を稼いでいるだけである。そのような機能は普通のコンパクトデジカメでも搭載しているので、ワザワザそれらしい命名をするのも何かと思うのだが、実際の撮影では案外役に立つものである。最短撮影距離は通常モードで広角側が60cm、望遠側が2mである。マクロモードだと広角側が7cm、望遠側が1.2mまで寄れる。更にスーパーマクロモードが存在し、画角は固定されるが3cmまでの接写が可能である。
 1年前に登場したC−740とパッケージング上異なるのは電池が単三型電池から専用電池になって、背が低くなった。されど厚みがあるのでずんぐりしており、ファインピクスF700に似た間延びした雰囲気である。専用電池はμデジタルXシリーズで採用した当時のオリンパスに幅広く使われたものである。大きさの割に持ちはイマイチだが放電にはそこそこ強い。
 細かい違いとしてはそれまでのC−7x0シリーズが電源ボタンによって起動したのに対し。本カメラではスライドスイッチに変更された。スライドスイッチには「電源OFF」「再生モード」「スチル撮影モード」「ムービー撮影モード」が割り当てられている。伝統的なオリンパスのスタイルだと、背面に電源ボタンがあり、「再生モード」や「ムービー撮影モード」はボディ上部のコマンドダイヤルで行うのだが、この変更は不思議である。手持ちのC−755も伝統的なオリンパスのパッケージングを踏襲している。拙僧個人は電源ON時に親指に力を入れ続けて起動を待つのは好きでないのでスライドスイッチは好感触だが、どうも耐久性にイマイチ信頼を任せきれない。
                    ☆             ☆
 まずは手に取ってみよう。実際には背が低くなったのだがレンズが左側にオフセットされているので、本来はコンパクトだったボディを右側に引き延ばしたように見える。ただ、流石のオリンパスで抑え気味のバルジで形成するグリップの効果も高く、ホールディングは良好である。これならEVFでしっかりホールディングすれば手振れ補正機能など無くても相当スローシャッターが切れるだろう。大きなレンズが張り出しているのは、フラットボディに見飽きた現在からみると、光学的なアドバンテージがあるように見えて好印象である。
 スライドスイッチを右にスライドして電源ONする。一瞬、無反応だが2秒後からオープニングアニメーションと共に「ひーほーーん」という起動音がを発し7秒後に撮影可能状態になる。これは1GBのxDピクチャーカードを使用した時で、16MBのメモリーだと5秒弱で起動した。遅いと言えば遅いが、撮影可能状態になるまで13秒も掛かったμデジタル20に比べれば実用の範囲だ。起動時にレンズが伸長するがズーミングして画角を変えてもレンズ長は変わらない。そうそう、本カメラはレンズカバーは別体しきだから、電源ON時には忘れずに外す必要がある。怖いからやったことはないが、付けっぱなしでレンズが伸長したら鏡筒に負担がかかりそうだ。レリーズボタンを軸にしたズーミングレバーは、それなりの節度はあるののの動作は遅め。AFは晴天下のはっきりした被写体ならそれなりの速度で合焦するが、桜の枝先や暗い場所では時間が掛かる。AFの精度そのものは悪いものではないが、本カメラの性格上MFモードや置きピンモードがあれば運動会の徒競走でも活躍できたのではと思える。オリンパスの公式HPにはゲージ表示によるMFが可能とあるのであちこち弄ってみたがMFモードへの遷移の仕方が分からなった。ネット上の取説を見つけたので見てみると、1秒以上「OK(メニュー)」ボタンを押し続けるとMFモードに切り替わるのだ。それは分からないよ。中央部が拡大され、十字キーの上下でフォーカシングするのだが拡大表示が荒すぎてピント合わせは困難である。距離ゲージで大体を合わせて撮影するのが現実的だろう。MFモードの状態で電源OFFし、再度起動するとMFモードのままなのだがフォーカシングは出来ない状態になる。フォーカシングをやり直したい場合は再び「OK」ボタンを押し続けてモード変更のオプションを表示させる必要がある。前回の焦点を覚えていのはありがたいが、フォーカスを固定してしまうのは不便な気がするな。本カメラの設定モードには「設定保持」の「する/しない」の選択が可能で、設定を保持すればズーミング位置まで覚えている。これは運動会のようなシチュエーションには便利だろう。AFモードはiESP(ワイドエリア?)モードとスポットモードがあり、スポットモードでは十字に配列した9点のフォーカスポイントを選択できる。
 EVFはこの時代のこの種のカメラとしては良い物だろう。広角側ではイマイチどこに合焦しているのか分かりづらいが、望遠側ならよくわかる。リフレシュレートも良好で、光学ファインダーのような情緒的な美しさを求めるのは無理があるが使い物にはなりそうだ。望遠側でスローシャッターを切りたいときは右手でグリップを掴み、左手でオフセットされた鏡筒基部を支えてEVFを覗くとイイだろう。伸長したレンズ鏡筒部には触れない方が良い。確か、取説にも書いてあったと思う。
 本カメラの不満はマクロモードが階層メニューに隠れているところだ。今までのオリンパスのデジカメだったらマクロモードは独立していたのに、この不便には理解しかねる。直前のモデルのC−755だってマクロモードは独立したボタンで遷移する。スーパーマクロモードは階層メニューを掘り起こす必要があるが、本カメラでは通常のマクロモードまで階層メニュー化に押し込んでしまった。若い連中の写真を見ても、妙にクローズアップした花のめしべやパスタに乗ったバジルなどを撮影する需要は多いので、これはマイナスのデザイン変更としか言えないな。
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 手ブレ補正機能付きの高倍率ズーム機がライバルとして台頭してもオリンパスは中々採用しなかった。ライカ判換算と言っても実際には焦点距離は63mmだから野外なら余裕だし、室内でもしっかりしたホールディングで対処は可能だろう。本カメラで手ブレが抑えられないような暗さなら手振れ補正機能があっても被写体ブレしてしまう気がする。多彩な機能からして本カメラは玄人志向なところがある。しかし、本音を言えばパパママにも買ってほしいのは当然だ。
 どうもオリンパスは過去にキヤノン製手部補正機能付き高倍率ズーム機のC−2100ウルトラズームという高額モデルを出して大失敗をしており、もしかしたらその傷を引きずっていたのかもしれない。しかし、本カメラには飛び道具が隠されている。それは動画がMPEG4なのである。高倍率ズームレンズを搭載し、コンパクトなデジカメはそうは無いから注目したファンは多かったらしい。ただ、それも値が下がってからのようでオリンパスにとってどの程度利益になったのかは分からない。それでも低迷期のオリンパスを支えたのはたしかだろう。
 余ったxDピクチャーカードをお持ちなら500円くらいで拾ってほしいところなのだが、本カメラは専用電池なので色々と揃えると高くつくだろうなあ。この後のモデルでは単三型電池仕様に戻っている。

   では、撮影結果(岡崎散歩編)撮影結果(家康行列編)を見て下さい。

(了:2011/04/14)

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