オリンパス キャメディア C−40について


C-40
ころんと可愛いカメラである。

☆ジャンク度☆
不具合なし
撮影可能


C-40 C-40
 オリンパス伝統のカプセル型ボディ。


C-40 C-40
 レンズは光学2.8倍ズームレンズ。
 ファインダーはレンズ後軸上にあり、パララクスを極力抑える。

C-40 C-40
 ボディ上に液晶パネルを装備する。
 時代を感じるが、なかなか便利である。


C-40 C-40
 所狭しと詰め込んだボタン・ダイヤル。


C-40 C-40
 ある程度は使用を想定した光学ファインダー。


C-40 C-40
 液晶ビュワーは小型だが、操作系が犠牲になっていないのは好感触。


C-40 C-40
 電源は単三型電池2本使用。
 記録媒体はスマートメディア。

 

 もう10年も前からクラシックデジカメを提唱しているのが拙僧のコンテンツである。当初は「35万画素級のリコーDC−3がMFでカメラらしくない外観がマクロ撮影と盗撮に良い。」と、かなり苦しい痩せ我慢の快楽で始めたのだが、とうとう1000万画素級のペンタックスオプティオE70が登場するに至っている。クラシックの枠に入れるには少々苦しいかもしれないが、市場の記憶の消え具合からすればクリップイットDS−8と比べたって大した違いはない。この10年で起きた事件と言えばコニカ&ミノルタの消滅が挙げられるが、拙僧が恐れたいたほどフィルム文明は悲惨でないと思う。確かに120判のモノクロフィルムが店頭で手に入らないのは残念だが、随分前から拙僧は中国から買っているし、ローライや新生アグファのブランドのフィルムが複数のセラーの手によって日本でも手に入る。カメラ資源もコシナの台頭で豊富であり、若い見どころのある連中がディスタゴンだのウルトロンだのをニコンFマウントボディに付けている。そろそろアラフォーのお声のかかる拙僧は混乱してしまうのだが、よい事であろう。
 フィルムカメラが安泰であれば、焦らず彼岸の彼方にあるクラデジカメ(古典数馬相照机)を使えるわけである。そこでこれからクラデジカメにデビューしたい骨のある若者諸君(実年齢はともかく)にお勧めしたいのが本カメラである。以下、そのような視点から本カメラを紹介しよう。
                 ☆             ☆
 本カメラの登場は2001年10月である。同じ時期にデジカメ史上注目すべきカメラが登場している。パナソニックのルミックスDMC−F7である。200万画素級は当時としても普及クラスであったが、ライカブラントと飛ぶ鳥を撃つ落とす覇者である浜アユを引っ提げて華々しくデビューした。モンロー主義で煮え切らないカメラを出していたパナソニックの本格的な参戦に対し、枢軸国は冷静な対応だったが翌年の光学12倍ズームを搭載したルミックスDMC−FZ1の登場あたりから明確な脅威となる。当時のコンパクトデジカメの主流200〜300万画素級で普及機には130万画素級も用意されていたから、本カメラの400万画素級撮像素子は奢ったものである。C−800LやC−1400Lでいち早く高画素化を図り、シェアを伸ばしてきたオリンパスだが、この後に高画素化の打ち止めを宣言する。「コンパクトデジカメに搭載できる撮像素子の大きさは限られており、高画素化によって素子のピッチを狭めれば高画質は望めない。」というのがオリンパスの言い分である。同時に、「今後は付加価値やデザインで勝負する」とされた。実際、コンセプトが明快な望遠ズーム機のC−700シリーズや防水機能付きでファッショナブルなスタイリングのμデジタルシリーズで屋台骨を支えるのだが、他社はちゃくちゃくと高画素化を続け、レンズ交換式の一眼レフデジカメに出遅れたこともあって、オリンパスは難しい局面を迎える。上位機種として500万画素級のC−5050を出すのだが既にC−2000を継承したスタイリングは既に新鮮味は無く、同時に発売した高級志向のX−2も実際に撮影してみると肝心の画質はイマイチで市場の反応は鈍かったようだ。そういう意味でも本カメラは旧帝政オリンパスが最後に輝いていた時代のカメラである。
 当時のコンパクトデジカメの仮想敵種としてはキヤノンIXYデジタルを考慮せざるを得ない。本カメラは明確にコンセプトの差別化を図っている。それは単三型電池使用とマニアル機能だ。電源を単三型電池2本とするためか、ボディが妙に厚い。表面積を抑えて小型化している為に妙に丸っこいボディがチャーミングである。シーンモードの他、マルチモードAEでの撮影が可能で、趣向性の強い撮影に耐える。背面の大きなダイヤルが並みのオートカメラとの違いを主張するようだ。それに対し、液晶ビュワーが妙に小さく見えるが、ダイヤルやボタンと言った操作系に重視しているのは好感が持てる。液晶ビュワーなんていうものはフレーミングと大体のフォーカスが確認できればいいのだ。本カメラの最もチャーミングなのはボディ上部にモノクロの液晶パネルを装備するところだ。ここには撮影可能枚数の他、フラッシュモードやマクロモードを表示する。光学ビューファインダーを使用して液晶ビュワー非表示での撮影が可能だ。大型液晶ビュワーで腕を伸ばした撮影スタイルに慣れている我々にとって、クラデジカメで撮影する充実感が得られる。オリンパス伝統のカプセルタイプボディも、どこかフィルムコンパクトカメラの通じるものがあって心地よい。
 レンズバリアを開くとゆっくりとレンズが伸長する。起動にはかなり時間が掛かるのが玉に傷だが、ここは「ちゃららーん」という起動音とともにオープニングアニメを眺める余裕が欲しい。低い位置からにょっきり出てくるので、ボディが丸っこいからタニシみたいである。そこがかわいいところなのだが。レンズが下に追いやられているのはパララックスを抑えるために、光学ファインダーをレンズの真上に持っていったからであろう。実際、この光学ファインダーはこの種のカメラにしてはあてになる。旧世紀のオリンパスのデジカメはデフォルトで液晶ビュワーがOFFであり、電池消耗が激しかった黎明期のデジカメの苦悩を髣髴させるが、本カメラはそこまで徹底していない。液晶ビュワーの表示はマクロモードやフラッシュモードと共に電源OFFでも記憶している。これは本当に便利だ。マクロモードは広角側で10cm、望遠側で25cmまで寄れる。マクロモードでも遠景を撮影できるがフォーカスが合うのが遅くなるようだ。AFユニットはそれほど凝ったものでないはずなのだがよく合う。それなりに遅いが目くじらを立てる程ではないな。すれ違いの娘さんを撮影するのは不可能だが、それが可能なデジカメが登場するのはもっと先になる。オリンパスの公式HPによるとMFもできそうなことが書いてあるのだが、拙僧にはやり方が分からなかった。レンズの焦点距離はライカ判換算で35〜98mmF2.8〜4.8で2.8倍と抑え気味のズームレンジだが、実際の撮影に困ることはないだろう。
 電源は単3型電池2本で、当時は緊急時に乾電池がメリットとされただろうが、実際には消耗に相当シビアなので満足に使えたかどうかは怪しい。本カメラで完全に使えなった電池もオプティオE70なら充分に使える。100円ショップの充電池では心細いが、エネループなら満足だろう。そもそも、電池を入れっぱなしにして数百枚の画像を貯めこんで液晶ビュワー代わりに使う時代のカメラではない。ネックなのはスマートメディアだが、ここは一つ32MBあたりを680円くらいで拾っていただきたい。30枚くらいは撮影できるはずである。クラデジカメの撮影枚数はその程度が丁度いいだろう。リーダーもハードオフのジャンクコーナーなら380円くらいのはずだ。
                 ☆             ☆
 当時のコンテンツを見ると400万画素不要論が実に多い。それだけ小さな撮像素子のピッチに心を痛める方が多かったのだな。本カメラは小さいとは言っても1.8型と大き目ではある。その後も何度も画素数は頭打ちだと言われ続けて、現在はやっと1000〜1400万画素級で落ち着いたようだ。
 日本ではとかくスレンダーなボディが好まれるが、本カメラのずんぐりとしたふくよかなボディも評価されてもいいと思う。別に世間は評価しなくても、拙僧は好きだ。

   では、撮影結果を見て下さい。

(了:2011/4/6)

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