オリンパス C−3040について


C3040
F1.8のレンズを搭載するオリンパス黄金時代末期の完成された300万画素級カメラ。

☆ジャンク度☆
レンズ前玉に若干の傷有り
撮影可能


C3040 C3040
 別体式レンズキャップ。
 はライカ判換算で35〜105mmF1.8〜2.6と明るい(BRIGHT)3倍ズームレンズ。

C3040 C3040
 伸長したズームレンズ。
 デフォルトでは液晶ビュワーは非表示。サブ液晶パネルは重要である。

C3040
 メインスイッチはボディ上部のコマンドダイヤルに設置されている。
 絞り優先AE、シャッター速度優先AEを使うためにはメニューを表示する必要がある。

C3040 C3040
 操作系はシンプルだが、階層メニューはまだ精錬されていない感じだ。

C3040
 リアビュー。この頃の液晶ビュワーは晴天下で見えなくなってしまう。

C3040 C3040
 電源は単三型電池4本。記録媒体はスマートメディア。

 新世紀も8年も経った今では、デジカメ黎明期の35万画素級の時代から旧世紀末の300万画素級の時代までのオリンパスの黄金時代を思い出すのは多少困難かもしれない。旧世紀末、オリンパスはロワークラスの130万画素機から10倍ズーム手ブレ補正機能付き200万画素機、そして当時としては画期的なレンズ一体型一眼レフ400万画素機のE−10まで発売していた。そんな世紀末も末の2000年12月に登場した究極のベストスタンダードが既に発売されていた300万画素級デジカメC−3030に広角側開放値F1.8の高速ズームレンズを搭載した本カメラ「C−3040」だった。ちなみに、同時に200万画素級のC−2020に同じように広角側開放値F1.8のズームレンズを搭載した「C−2040」が登場している。この当時はベーシック〜スタンダードが200万画素級、アッパーミドルが300万画素級と位置づけられていた。
                 ☆              ☆
 本カメラは前述の通りC−3030から派生したカメラだが、そもそも、C−3030もベストセラーとなったC−2000/C−2020をベースにしている。そのグリップ付きL字型ボディ、ボディ上面にコマンドダイヤルとレリーズボタンをセンターにしたズームレバー、ボディ別体レンズキャップ、沈胴するズームレンズ、単三型電池4本使用というパッケージングは記録媒体がスマートメディアからxDピクチャーカードに変わり受光素子が500万画素級になってもオリンパスのスタンダードスタイルとして継承された。それだけ完成されたスタイルを構築できたのは、やはりフィルム時代にレンズ一体型一眼レフのLシリーズで蓄積されたノウハウが開花しているのだろう。実際、撮影に関する知識のある方なら思い通りの操作を行うのは簡単だろう。
 C−3030から派生したカメラだけあって長所も欠点も同じように継承している。唯一変わったのがレンズだが、ライカ判換算で32〜96mmF2.8と広角側に寄った3倍ズームレンズはライカ判換算で35〜105mmF1.8〜2.6と明るくなった代わりに常識的な焦点距離になっている。最短撮影距離は20cmとC−3030と同様である。撮影範囲は80cm〜無限大、マクロモードで20〜80cmと抑え気味である。一応、MFも可能でその際にはフォーカスゲージを参考とする。液晶ビュワーにも反映されるが、一眼レフカメラのファインダーの様な正確なフォーカスの確認は難しいだろう。
 ボディ側の緒元はC−3030と変わっていない。測光方式はESP測光、スポット測光、マルチ測光とオリンパスらしい機能を搭載している。露出制御はプログラムAE、絞り優先AE、シャッター速度優先AE、マニアルと一通りの設定が可能である。絞りは虹彩絞りで無段階に設定が可能である。この時代のデジカメは絞り優先AEを搭載していても、選択できる絞りが2〜3種類と制限されている物も普通に有ったので、本カメラの長所としてあげることができるだろう。コマンドダイヤルにはプログラムAEの「P」とその他の「A/S/M」が用意されており、絞り優先AEやシャッター速度AEを使用する場合はコマンドダイヤルを「A/S/M」に設定し、メニューボタンを押下してメニューから各露出モードを選択する必要がある。
                  ☆              ☆
 では実際に撮影してみよう。本カメラのボディキャップは本体と別体式で電源をONする前に外さなければならない。これを忘れると「ガガガガガッツ」っと伸長するレンズにストレスを与えることになる。電源ONはコマンドダイヤルを「OFF」から「P」若しくは「A/S/M」に回転することによって行う。勿論、動画や再生モードに移行することも可能だ。当時のオリンパスのデジカメは電源ON時に液晶ビュワーが非表示であり、階層メニューによる設定でも変更することは出来ない。これは当時のデジカメの液晶ビュワーの電力消費が大きく、光学ファインダーで撮影を行う事が多かったのに因を発している。現在のように充分なパワーを持った電池環境では多少鬱陶しい。本カメラの欠点の一つに電源OFFでカメラの諸設定を忘れてしまう事があり、液晶ビュワーの表示の他にもフラッシュモードや画質のクオリティ等もすっかり忘れてしまう。特に画質モードを忘れてしまうのは致命的で標準のHQからイチイチ高画質のSHQに階層メニューから切り替えるのは苦痛ですらある。なので、拙僧は諦めてHQでのみ撮影を行った。PCの表示で何処が異なるという事は無いが、高画質に拘る方は電池消耗を覚悟で電源を入れっぱなしにするか、電源ON毎に設定をしなおすしかない。
 液晶ビュワーは晴天下でかなり見え辛いがフレーミングに致命的な障害を与えるほどではない。光学ファンダーも見やすいが、現在の電池環境では充分に液晶ビュワーを使うことができるのでこれを活用するのが良いだろう。AFは正確だが多少タイムラグある。そもそも、この時代のデジカメはレリーズボタンの押下から画像の記録までタイムラグがあるため不規則に動く被写体の撮影は困難である。これは特に本カメラが劣っているのではなく、当時のデジカメに共通する欠点である。これを解決するまでには世紀を跨いで数年の時間が必要となった。撮影後のメディアへの記録は素早く待たされる事は無いが、撮影画像のプレビューが表示されないため、実際にどのように写ったのか分からず、これはかなり不便である。いちいち、再生モードに切り替えるのは現実的ではないだろう。
 ISO感度はオートと100、200、400が設定可能で、F1.8の明るいレンズと組み合わせれば効果的な撮影が可能である。高感度であればそれなりにノイズが走る筈だが、拙僧はあまり試していないので明言は避ける。何れにしろ効果的なグリップと適度なボディマスでしっかりとしたホールドが可能でスローシャッターにも対応できるだろう。
 広角側のF1.8よりは望遠側の105mmF2.6の方が効果は高い。とくにマクロ撮影では美しいボケを味わうことができる。色再現は抑え目で年式の新しい高コントラストで派手な発色のデジカメと比べると物足りないと思う方と抑え目で良いと思う方がいるだろう。ラチュードはこの年代のカメラとしてはかなり健闘しているが、日陰で肌色が気持ちの悪い色になってしまう場合がある。全体的にシャープネスが強く感じる。場合によってはざらりとした印象を感じてしまうかもしれない。
 本カメラの致命的な欠点は記録媒体がスマートメディアである事だ。スマートメディアは言われる程信頼性の低い物ではないが(注:本稿執筆後、撮影中にスマートメディアの書き込み中にフリーズし、再フォーマットせざるを得なかった事件が起きた。スマートメディアの信頼性は完全とはいえないだろう。)、上限が128MBであり、当時でも割高だったが2GBのSDカードが600円かそこらの現在ではかなりの高額になってしまう。この記録媒体の問題はxDピクチャーカードの時代になってもフジフィルムとオリンパスのデジカメの足かせとなった。
                  ☆              ☆
 熟成されたボディに高性能のレンズを搭載するという率直な手段は効果的でユーザーを迷わせない。本カメラは300万画素級コンパクトデジカメの一つの完成形と言えるだろう。その後、レンズ一体型デジカメのレンズにF2を上回る明るさのものは登場しなかったが、代わりに高感度化が進みISO3200というフィルム時代では制限の有った高感度でも充分に実用的な画像を再現するカメラが登場している。つまり、光学的なアプローチより電気的な技術の向上の方がコスト安という事なのだろう。
 本カメラは汎用性の高い単三型電池を使用するので電源に困ることも無く、手元にスマートメディアがあれば拾ってみるのも一興だと思う。オリンパスの黄金時代の燐片を感じられるはずだ。但し、充分な容量のスマートメディアを入手しようとすると本体より大幅な出費が必要となる。

   では、撮影結果を見ていただきたい。

(了:2009/10/7)

クラデジカメ系列メニューへ戻る
「意してプラカメ拾う者なし」へ戻る

inserted by FC2 system