ニコン クールピクスS8について


COOLPIX_S8

ウェーブサーフェスデザインが特徴の薄型デジカメ

☆ジャンク度☆
不具合無し
撮影可能


COOLPIX_S8 COOLPIX_S8
 屈曲式光学3倍ズームニッコール搭載。電子式手ブレ補正搭載。
 顔認識AFの搭載も特徴である。

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 薄型デジカメもニコンの手にかかると個性的なカービングフェイスに。

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 軍艦部には小さなボタン・レバーが並ぶ。
 見てくれよりは操作に難は無い。

COOLPIX_S8
 大型の液晶ビュワーは切れがよく見やすい。


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 操作系はニコン自慢のロータリーマルチセレクターだが、メニューの設計のツメが甘く操作感覚も今一歩。



 クールピクスSシリーズはニコンの屈曲光学系ズームレンズ搭載の薄型モデルとして登場した。既にソニーのサイバーショットTシリーズがニーズを開拓者したミノルタのディマージュXシリーズを無かったことにしてしまうほど覇権を握っていた。この分野ではファインピクスZシリーズなども健闘していたのだが、巨人キヤノンは参戦していない。「女帝」の立花彩香に重ねれば、「正攻法で勝つつもりです」ということなのだろう(か?)。関係ないけど、あっしは今回のコンテンツ執筆まで「女帝」と「男喰い」の”まどか”さんを混同していた。10年以上前の漫画だしなあ、今でも連載しているのだろうか。
 それで強引にカメラの話題に修正すると、2005年にニコンの屈曲光学系薄型機としてクールピクスS1が登場した。ニコンも光学系だけで戦争をするのは不安だったらしく、「フェイスクリア」を旗印に挙げている。簡単に言うと人物の顔に優先的にフォーカスを合わせて、明るさも自動調整するものだ。本カメラはクールピクスS1の延長上にあり、基本的なコンセプトを継承している。顕著な進化は手ブレ補正機能の搭載である。レンズには「VR」の称号を与えているが、ニコンの公式HPにも「電子式手ブレ補正」と書いてあって、どうも光学系の一部やCCDをシフトするのではなく、ソフトウェアで補正しているように思える。無論、結果的にブレていない画像を撮影できれば問題ないのだが、ちょっと騙されている感は否めない。もう一方の特色である「フェイスクリア」は友人同士のポートレイトを撮るのに効果的だし、高感度モードもダイアナとかつまらないトイカメに高価なナチュラを贅沢に詰めるニーズにも魅力だろう。
                       ☆              ☆
 さて、本カメラである。レンズはライカ判換算で35〜105mmF2.8〜5.0のズームニッコールである。これに710万画素級撮像素子を組み合わせる。本カメラの姉妹機としてクールピクスS7とクールピクスS7cが同時発売された。基本的には同じスペックだがクールピクス7は液晶ビュワーが本カメラよりも少々大きく、クールピクスS7cは更に「無線LAN(Wi−Fi)通信機能を搭載。公衆無線LANアクセスポイントを経由して「ニコンオンラインアルバム」にアクセスし、パソコンを使わず画像データをアップすることができる。旅先で撮影た画像をリニアに公開したい方には便利であろう。
 売りの手振れ補正なのだが、前述の通り機械的に手振れを補正しているのではなく、ジャイロがブレをセンサーで感じ、ソフトウェアによる画像補正処理が行われているようだ。実際、ブレた撮影画像を後から内蔵ソフトで補正できる。これを自動でやっているだけな気がするなあ。オート撮影モードでも積極的に感度を上げるし、BBSの効果もあってか、手ブレは確かに抑えることが出来る。ISO感度を上げることによって増えるノイズを嫌がる方もいらっしゃるだろうが、拙僧はノイズに寛容なので気にならないな。本当にノイズも手振れも嫌なら2万円くらい大目に金を払って、光学系なりCCDなりのシフトで行う本格手ブレ補正機構付きカメラをお買い求めになったほうがイイ。BBSは「ベストショットセレクター」の略で、1回のレリーズで最大10カットの連続撮影を行い、もっともブレていない画像を自動的に選択する機能である。この機能はかなり初期のニコンのデジカメが搭載しており、特に三脚を使用した物撮りなどに効果的である。フロントパネルのレンズ名記載の末端に「VR」の文字を追記しているので期待してしまうが(確信的だろう)、手振れ補正機構は画像補正処理とISO感度アップによって実現しており、効果は限定的である。ISO感度の話を続けると、撮影モードに高感度撮影モードが存在する。これは一層積極的に感度を上げるもので、室内程度の明るさ(暗さ)ではそれほど気にならないが、夜景となるとノイズが激しく画質も荒くなる。これは、本気で夜景を手持ちで撮影しようというよりは、荒々しい画像の楽しさの供給が狙いだろう。
 本カメラの特色は手ブレ補正よりは「フェイスクリアー機能」であろう。これはニコンの公式HPの言葉を借りると、ニコン独自の3つの機能、「顔認識AF」「アドバンスト赤目軽減」「D−ライティング」の総称である。「顔認識AF」はカメラを構えてボディ上部左側にあるフェイスクリアーボタンの押下で、画面上の正面を向いた顔を認識してフォーカスを合わせる。最近では珍しくないが、本カメラの搭載は早い方だろう。「アドバンスト赤目軽減」はフラッシュ撮影時に、赤目現象が起きた時に自動的に画像を修正するもので、それほど画期的な物ではない。「D−ライディング」は再生時の画像補正機能であり、再生時にフェイスクリアーボタンを押下すると、逆光やフラッシュ撮影時の露光不足で暗くなった部分を検出して、明るい部分はそのままで暗い場所を明るく自動補正するものだ。逆光の失敗は良くあるミスなのでPCを介さずに補正が出来るのは便利である。
 外観上の特徴はフロントパネルの緩やかなカービングである。これが艶やかな光沢との相乗効果でなかなか美しく、アウターシェルは金属製である。鏡筒周りと両サイドのパネルをシルバーで引き締めてアクセントになっている。ただ、ニコンが言うほどボディ形状がほーりディングに貢献しているとは思えない。レンズ格納部の方がボディが厚く、右手で掴む方が薄くなっているが、ホールディングを良好にするなら逆だろう。どちらかというと、ギリギリまでボディをシェイプアップした結果、レンズ格納部が厚くなっただけな気がする。表面もツルツルしているので、ストラップに手首を通して落下を防ぐ必要がある。ボタン類は極めて小さく、特にズーミングレバーはミニチュア細工のようである。ただ、タッチングは見かけほど不便ではない。右手の親指と中指でボディを前後に挟み、人差し指でレリーズを行い、左手の親指と人差し指でボディを上下に挟み、人差し指でフェイスクリアーボタンを押下するのが標準的な構え方だろう。如何にもデジカメの構え方で恰好は悪いが、それは本カメラのせいではない。液晶ビュワーは大型で見やすい。
 本カメラの特徴の一つがマルチロータリーセレクターを中心とした操作系である。メニューの選択をセンターキー付きジョグダイヤルで行うのだが、ジョグダイヤルは十字キーも兼ねている。MODEボタンを押下すると、液晶ビュワーにバーチャルダイヤルを表示する。「撮影」「HiISO(高感度)」「SENE(シーンモード)」「音声」「動画」「セットアップ」の6つのアイコンを表示し、マルチロータリーセレクターで選択する。この場合は操作性は良好である。「MENU」ボタンの押下で、画像サイズやISO感度など、撮影画像に関する諸情報を設定するのだが、この場合はメニューは縦に表示し、カーソルは上下に移動するので、マルチロータリーセレクターの回転による選択はちょっと違和感を覚える。ただ、使っているうちに慣れてきたので問題は無いだろう。勿論、十字キーとしても使えるのだが、ちょっと節度がイマイチなのだ。メニューのデザインのツメはあと一歩と言ったところだが、ストレスを感じる程ではないだろうな。
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 本カメラは14MBの内蔵メモリを搭載している。この点からも初心者向けの性格が見れる。もっとも、メモリーカードを挿し忘れて、内蔵メモリでなんとかしのいだ経験があるのは、ある程度使い込んだ方だろうか。起動・AFのレスポンスは大抵の場合は不満は無い。しかし、本カメラと手ブレ補正機構の無いファインピクスV10を同時に携帯したが、レスポンスはファインピクスの方が明確に良い。歩きながら、自転車に乗って向かってくる娘さんに気づいて撮影できるかできないかの差がある。やはり、ソフトウェアによる手ブレ補正処理が影響しているのだろうか。本カメラのコンセプトは強力なパワーではなく、気軽に友人やパートナーの笑顔を撮影する楽しさだ。特徴的な屈曲光学系ズームレンズだが、クールピクスSシリーズも後には常識な沈胴ズームレンズ搭載機になった。
 電子式手ブレ補正で「VR」を冠してしまうなどというのは、かつてのニコンのプライドなら許されないだろうが、これも時代なのだろう。実際、それで売れているのだから結構な話だ。バブル時代の不祥事が原因とはいえ、デジペンで気を吐くオリンパスだって、危うく為るのだからニコンが健全な経営を続けているのは、拙僧のような底辺のニコン者にとっても福音である。

   では、撮影結果(三河散歩編)を見て頂きたい。

(了:2012/2/9)

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