ニコン クールピクスS52について


COOLPIX_S52

キムタク時代のニコンデジカメ

☆ジャンク度☆
フォギー(軟焦点)がかかってしまう
撮影可能


COOLPIX_S52 COOLPIX_S52
 屈曲式光学3倍ズームニッコール搭載。レンズシフト式手ブレ補正搭載。
 最大5人までの顔認識AFを搭載している。

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 ボディは極めて薄い。
 なだらかなカーブを描いてグリップを形成している。

COOLPIX_S52 COOLPIX_S52
 左肩に顔認識AFを含めたフェイスクリアーボタン、右肩に電源ボタンとレリーズボタンを配置する。


COOLPIX_S52
 大型の液晶ビュワーは切れがよく見やすい。


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 操作系は右端に追いやられているが、小さなボタンも使い慣れたせいか不便は感じない。


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 電源は専用リチウムイオン電池、記録媒体はSDカード。



 キリンがGSXRでテクノロジーの進化に嘆いていたが、デジカメの進歩も並々ならぬ物がある。それが手ブレ補正程度なら理解の範疇だが、顔認識AFとなると歯が立たない。もっとも、フォーカシングや露光のメカニズムへの理解などと言うのはデジカメ時代には何の役にも立たない物である。以前、夜の薄暗い飲み屋でノーフラッシュ撮影が上手くいかないと若いカメラ女子が言うので、カメラを取り上げたら案の定絞り優先AEモードでシャッタースピードが1秒だった。勿論、アラフォーの冷や水になるので「写真には露出と言う物があります」などと講釈はたれず、黙ってダイヤルを「P」にして返した。ライブビューやアートフィルターで技巧を凝らすのが新世紀の撮影らしいのだ。撮影会でゼニットCなどを振り回すのは変なおっさんなのである。まあ、それはそれで若い方々も一応、一目は置いてくれているようなので遊んではくれる。これはコンタックス爺にポートレイトのボケの背景が醜いなどと講釈をたれられるより余程幸せな境遇だろう。もっとも、そのコンタックス爺も、最近ではトンと見られなくなったから寂しいと思うのは、拙僧も着実に歳を重ねているということだろうな。
                       ☆              ☆
 さて、本カメラである。初めに報告させていただかなくてはならないのは、拙僧の個体は完全ジャンクである。一応、撮影は出来るのだが撮影画像はセンターだけにピントがあって、周辺は極端にアウトフォーカスになってセンターフォギーをかましたような画像になるのだ。これはこれで面白いのだが、当然しても正当な評価にはならないのでご承知頂きたい。どう設定してもフォギーになってしまうのは、拙僧の陣営ではソニーのサイバーショットU30などがあるが、本カメラは手ブレ補正ユニットを初め、込み入った装置が含まれているから故障の可能性の範囲は広いだろう。
 発売は2008年である。バッテリーが2004年登場の500万画素級デジカメのクールピクス5200と共通だが、ボディの設計思想は確実に次世代になっている。拙僧は勝手にキムタク世代と名付けている。受光素子は900万画素級でゾクッとするな。現在においても受光素子の高画素レースはひとまず小康状態のようで、大体1000万画素級で落ち着いているようだ。スタイリングとして目を張るのが薄いボディながらもフロントパネルが絶妙にカーブを描いてグリップを形成しており、背面に大型の液晶ビュワーを搭載している点である。もっとも、グリップとして存在するならカメラを構えて左側が厚くなるより右側が厚くなった方が理にかなっていると思うのだが、これは屈曲光学レンズが左にオフセットされているのでこうなっているのであろう。それでも、驚異的な薄さである。そのレンズはライカ判換算で38〜114mmF3.3〜4.2の3倍光学ズームであり、手ブレ補正機能を搭載している。手ブレ補正機能はレンズシフト式でつまりVRである。VRと言えばニコンが世界に先駆けて搭載した手ブレ補正機能である。ニコンはこれをフィルム時代のコンパクトカメラに搭載した。ズーム700VRと名付けられたそのカメラはニコンのその他のコンパクトカメラ同様に商業的には成功とは言えなかったようである。ボディが大きすぎたとの意見があるが、ズームカルディア2000のようなヘビー級コンパクトカメラだって割りと頻繁にジャンク籠で見つかるから、やはり市場がテクノロジーに追いつかなかったのであろう。ものの資料によると最大4段は補正されるらしいから、これは凄いことだ。
 テクノロジーの面から見ると、他にも素晴らしい機能が満載である。AFエリアはオートで5点だがマニアルでは99点である。階層メニューでAFエリアをマニアルに選択すると、画面中央にカーソルを表示し、十字キー兼コマンドダイヤルでAFエリアを選択できる。もっとも、これは煩雑な作業で実質的にはオートで充分だろう。測光は224分割マルチパターンだが、これは現在のデジカメにおいては大して注目するほどのことはないのかもしれないな。やはり目を引くのは顔認識AFなのだろう。これは赤目を防ぐ「アドバンスト赤目軽減」と暗い部分を明るく補正する「D−ライティング(多分、逆光時の補正などに有効なのだろう)」と3点を合わせて「フェイスクリアー機能」を形成する。ボディ左肩には小さな専用ボタンが用意されていて、これを押すとバストショットのアイコンを表示してフェイスクリアーモードに移行する。これで最大5名までの顔認識AFが有効になるらしい。但し、拙僧の個体は不具合のせいか、特に顔をAFエリアが追随するという事は無く、この機能については検証できない。
 基礎的な仕様としてはマクロモードで4cmまで寄れ、感度はISO3200まで設定できる。手ブレ補正と合わせて幅広い撮影シーンに対応するだろう。約38MBの内蔵メモリー搭載。画素数を落としても数十枚の撮影をしたい場合はあるだろうから、何かと便利だろう。何しろ、ジャンクを拾うときにテスト撮影できるではないか。
 操作系は最近のコンパクトデジカメらしく、大型液晶ビュワーに右端に追いやられている。ボタン類も小さいのだが、そういうのも慣れてしまったのか特に不便とは感じなかった。注目したいのは十字キー兼コマンドダイヤルである。これは一見センター付きコマンドダイヤルに見えるのだが、実際にはプッシュが出来、十字キーとしても操作できるものだ。これによって「MODE」ボタン押下時のバーチャルダイヤルによる撮影モード設定時にはコマンドダイヤルとして機能し、「MENU」ボタン押下時の階層メニュー設定時には十字キーとして機能する。親指で弾く小さな部品なのだが、セッティングがよいのか思いのほか操作性は良好である。インターフェイスもこなれており、新世代のカメラだと思わせる。
 また、電源OFF時にもマクロモードやフラッシュモードを保持する。マクロモードについては賛否があると思うが、スナップ撮影で不用意にフラッシュを焚いてしまい罰の悪い思いをした経験がある方は多いと思う。これは特筆していいと思うな。
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 キムタクを採用してからのニコンは元気のようだ。これは底辺のニコン者としても福音である。本カメラを弄っていると、それは単にCMの効果だけではなく、カメラとしての基本性能がしっかりしていることが基礎になっているのが分かる。ニコンはコンパクトカメラのようなベーシック用途のカメラは弱いとされていたが、現在ではその心配は無用のようだ。
 そうなると、故障してない個体が欲しいものだが、そうなるとたちまち拙僧の懐には手が届かなくなるのだろう。ちなみに、名古屋のサービスセンターに持っていったら、修理見積もりは1万円に限りなく近い価格であった。

   では、撮影結果を見て下さい。

(了:2010/4/6)

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