オリンパス FE−320について


FE320
スレンダーでクールなルックスを被ったプアカメラ

☆ジャンク度☆
不具合なし
撮影可能



FE320 FE320
2008年登場時を考慮しても、36mmから始まるズームレンズは凡庸と言わざるを得ない。
800万画素級という撮像素子はスペックで言えば充分すぎるが。

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非常に薄いスレンダーなボディ。
一ボタン一機能のポリシーが生きているため、操作性は犠牲になっていない。


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操作系はエクスリムとルミックスのいい所取りに思える。

FE320
大型で見やすい液晶ビュワーだが、ピンボケが確認できるほどの精度ではない。

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親切なヘルプ。

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FAQ集(ガイド)は見ているだけでも暇つぶしになる。

FE320
この頃のオリンパスは、まだxDピクチャーカードだ。

 かつてオリンパスにキャメディアX3桁シリーズというのが存在した。キャメディアXシリーズは、そもそもは「マニアル機能を豊富に搭載した、ちょっと高級なIXYデジタル」として出発したのだが、X三桁シリーズはμデジタルから防水機能を排除し、他にも撮影の為の最低限の機能以外を天使のように大胆に省略したロワーデジカメとなった。X−100に至っては、オリンパスのポリシーであるスライド式レンズカバーも止めてしまった。但し、X三桁シリーズはCR−3Vでないと実用にならないほど燃費が悪かったが、撮影画像はそれなりに納得行くクオリティを形成していた。明度の差があると、ナーバスなラチュードが危なっかしかったが、破綻まで至ることは稀だった。その後にオリンパスのロワークラスを担うのがFEシリーズである。
 初期のFEシリーズのFE−110を所有していたことがある。これは有機的な直線で構成したコロッとしたキュートなボディであった。当時、ロワークラスでは珍しかった500万画素級の撮像素子を搭載し、一ボタン一機能の簡便な操作系で初心者にも扱いやすい工夫を施していた。電源も汎用性の高い単三型電池2本の仕様である。しかし、撮影画像の記録に時間がかかったり、電池消耗に著しくシビアだったり、スペック表では見えない使い勝手の悪さが目立ち、コストダウンの痕跡を感じさせた。肝心の画像も、当たれば美しいがカラーバランスもまちまちで、特に逆光には弱かった。これも撮像素子とレンズのパワーがプアなのだろう。そのFEシリーズの本カメラも、素性は良く分からないがロワークラスの流れを経ているのだろう。
                    ☆             ☆
 オリンパスの公式HPによれば、FEはフレンドリー&イージーを意味する。ルックスはずんぐりしていたFE−110とは比べ物にならないモダンなもので、物理的にもスリムでスマートな外観である。これなら、見た目は中級クラスコンパクトデジカメに見える。電源は単三型電池から、薄く小型の専用電池のLI−40Bになった。これは新世代のμデジタルの他、ニコンやフジフィルムのコンパクトデジカメが幅広く採用しているものである。
 登場は2008年である。レンズはライカ判換算で36〜108mmF3.1〜5.9の光学3倍ズームレンズに800万画素級撮像素子を組み合わせる。2008年に登場したコンパクトカメラの割にはレンズのスペックは平凡である。最短撮影距離が分からないのだが、オリンパスらしくスーパーマクロモードを搭載するので、かなりの近接撮影が出来る。この点では不満は無い。カシオのエクスリムも見習って欲しい物だ。
 手に取るとボディの薄さに驚く。外装はは恐らく金属製で、梨地にアクセントとして鏡筒周辺やボディ上部に鏡面を組み合わせ、直線基調でエッジの効いたスタイリングはとてもスマート。率直にカッコいいと思う。液晶ビュワーは大型で見栄えも良い。明るさを調節して視認性を上げる機能がついているらしいのだが、そのような機能を使わなくても、ほぼ満足である。ボディ上面には電源スイッチとレリーズボタン、レリーズボタンを中心軸としたズーミングレバーを配置する。ズーミングレバーはルミックスのような前面にレバーが張り出しているタイプで、ボディを構えた時に右手の人差し指で操作する。個人的にはボディ背面のシーソーボタンでズーミングを行うより操作感はいい。背面には撮影と再生のショートカットキー、モードダイヤル、ディスプレイ表示キー、センター付き十字キーに2つのコマンドボタンを配置する。撮影と再生のショートカットキーはエクスリムQV−40Rかもしれない)が最初に採用した物で、電源ボタンを介せずにダイレクトに撮影モード、再生モードに遷移する。素早い操作性に貢献する物である。エクスリムはショートカットキーに固執するあまり、電源ボタンが異様に小さく押し辛かったりするが、本カメラの電源ボタンは存在感を残している。
 電源ボタン、若しくは撮影ショートカットキーを押下すると3秒ほどで撮影可能状態に遷移する。このレスポンスは合格点であろう。モードダイヤルには「オート撮影」「P(プログラム)撮影」「手ブレ軽減撮影」「ポートレイトモード」「遠景モード」「シーンモード」「ガイド」「ムービー撮影」を割り当てている。クリック感も適度で安っぽい感じはしない。全てのモードを説明すると長くなるので掻い摘んで紹介したい。「手ブレ軽減撮影」だが、本カメラは手ブレ補正機構を搭載していない。「手ブレ軽減撮影」は積極的に感度を上げてシャッタースピードを稼ぐモードである。拙僧は良く知らずに「P」でのみ撮影したが、雲天下では酷くシャッタースピードが遅くなり、ブレ画像を大量に撮影してしまった。このモードを活用すれば、歩留まりは高くなっただろう。「シーンモード」は夜景やスポーツといったシーンモードの選択を行う。コマンドダイヤルを「シーンモード」に設定すると、画面の左側にアイコンを表示し、カーソルを選択するとヘルプガイドを表示して適切なモードの選択に寄与する。「ガイド」はFAQ集であり、例えば「撮影効果を比較して設定する」を選択すると「ズームを比較する」「露出を比較する」といった項目別のメニューを表示し、「ズームを比較する」を選択すると、画面が4分割して広角から望遠までの4パターンの焦点距離に対応したプレビュー画像を表示し、画角別のイメージを分かりやすく表示するのだ。とてもきめ細かな対応で、これを弄っているだけでも暇つぶしになる。
 大型液晶ビュワーに追いやられた小型の十字キー、コマンドボタンだが、タッチングは良好で安っぽい感じはしない。十字キーの上下左右には露出補正やフラッシュモードを割り当てており、1ボタン1機能のポリシーを形成している。センターキーは「FUNC(ファインクション)」と「OK」を兼ねており、「FUNC」にはホワイトバランスや画素数モードなど、撮影に直結する機能を割り当てている。「MENU」ボタンの押下ではより細かな画質モードやカード設定など諸設定を行う。
                    ☆             ☆
 本カメラは室内でテスト撮影をしている分には良いカメラである。実売、2万円を若干切る価格帯だったと言うが、安っぽい感じはしないのだ。ところが、実際に屋外で撮影をすると簡単に馬脚を現す。本カメラのデビュー戦は雨天下の山車祭りだったのだが、まずシャッターが異様に遅くなるのである。よって手ブレ画像を続発させた。これは「手ブレ軽減」を選択しなかった拙僧も悪いのだが、暗い被写体なのは分かっているのだろうからISO64でシャッタースピードが1/30なんていう値を弾くのは如何なものかと思う。また、フォーカスが合わない。これは晴天下でも結構外すのでAFの精度がプアなのだと思う。合っているように見えても中心部と周辺部ではかなり差があるので、レンズのパワーも低いのではと想像する。本カメラを最初に買った方は次もオリンパスを買おうとは思わないのではないか。個人的には当時の価格で2000円ほどで転がっていたファインピクス6800Zの方がよっぽどあてになる。本カメラで撮影した画像をキャビネよりも大きく引き伸ばしたいとは思わないので、補完600万画素級モードのファインピクスで沢山である。
 本カメラの最も罪が重いのは、ルックスと操作感では素性の安さが分からないのである。防水機能を省略したμデジタルだと勘違いすると痛い目にあう。どうも、オリンパスという会社は、時折ユーザーを馬鹿にしたカメラを出すような気がするのだが。

   では、撮影結果その1(秩父祭り編)を見て頂きたい。

(了:2011/12/7)

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